パルクール
パルクール
パルクール(parkour)とは、道具を使わず、身体能力を駆使し、壁を上ったり飛び越えたり飛び降りたりしながら素早く移動する運動・スポーツ、あるいは概念のこと。身ひとつでアクロバティックに(身軽に)を駆ける、あるいは障害物を乗り越えていくことを特徴とする。
パルクールの上級者となると、市街地の高い建物を屋上づたいに飛び移ったり飛び降りたりして、その中で大胆なアクロバティックな技を決めたりする。動画共有サイトには高度で華麗なパルクールの実践動画が投稿されており、トップレベルのパルクールがどういうものかを窺い知ることができる。その姿は忍者さながらである。
パルクールの概念はフランスを起源としており、パルクール(parkour)という呼称もフランス語の parcours(=経路)が語源とされている。英語圏でもパルクールはそのまま parkour と呼ばれる。パルクールを指して free running(フリーランニング)と呼ぶこともある。ただし、パルクールはフリーランニングとは別物と考える見解もある。
パルクールは元々スポーツとして考案された競技ではなく、起訴身体能力の向上を旨とする訓練法を起源とする。この訓練法がアクロバティックなパフォーマンスとして昇華され、早期に映画の題材にもなりエンターテイメントとしても注目された。最初の頃は、映画などで披露された派手でアクロバティックでダイナミックな技を真似しようとして怪我する者や事故を起こす者が続出したという。今日ではパルクールの始め方を指導する教室や練習会も多く、パルクールを実践できる環境も整備されつつある。
パルクールには専用の特別な道具や装備はない。必要なものは身軽な服装と運動に適したシューズ、そして自分の身体である。五体と五感を活用し、全身を使って、障害物を飛び越えたり、よじ登ったり、飛び降りたりして、できるだけ素早く移動することがパルクールの醍醐味といえる。
パルクールは、筋力トレーニングをはじめとする体作りが欠かせない。十分な筋力と柔軟性と身につけてこそ、思い通りに体を動かし、街中を駆け巡ることができる。
パルクールでは全身の運動能力を総動員して複雑に駆使する必要がある。たとえば、跳躍力だけでは障害物を飛び越えきれない場合、あるいは傾斜を下って速度が付きすぎてしまった場合、鉄筋や階段の手すりなどを手がかりとして、一旦の着地点としたり、速度を殺したりする技術が求められる。つまり、疾走には脚力だけでなく腕力・握力・判断力や機転なども重要になってくるわけである。
パルクールには技術の水準や下限のような概念も特にない。つまり、「ここまでできなければパルクールとは呼べない」「これは必ず習得しなければならない」というような線引きはない。あえて危険なアクションに挑まなくてもパルクールは成立する。自分の限界を把握してその範囲内で頑張るという楽しみ方が望ましい。周囲と比べる必要はない。
パルクールは、慢心や準備不足が思いがけない失敗や怪我に繋がる可能性の色濃いスポーツである。経験不足の初心者はなおさら危険が高い。かっこいい技に憧れていても、いきなり挑もうとせず、基礎的な指導を受けつつ自分の力量を見定めて段階的にできることを増やしていく姿勢が重要となる。
初心者がパルクールを始めるに当たり、用意しなくてはならないものは、動きやすい服装と健康な体である。および、念入りな準備運動と、決して無茶はしないという姿勢である。
パルクールは道具と同様に特別な施設・設備も要しない。自然や都市の環境を利用して行えるスポーツであり、やろうと思えばどこでもできる。公園でも広場でも、極言すれば市街地すべてがフィールドたり得る。他面、それだからこそ、周囲への配慮をしっかりと行って臨まなければならない。
パルクールは、身の程を超えたやり方で挑むと、自身が大けがを負う危険も高いが、同様に周囲の無関係な人を巻き込んでケガを負わせる危険も高い。設備を損壊する可能性もある。周りの人に不快な思いをさせる可能性もかなり高い。場違いなパルクールの実践は当事者だけでなくパルクールというスポーツそのものの存続も揺るがしかねない。プレイヤーには周囲への十分な配慮が是非とも求められる。
パルクールは、他人と競うスポーツというよりも、むしろ自分の限界との闘いという側面が色濃い。今までできなかったこと、己の限界を知ることによって、できることとできないことを明確にし、これを乗り越えていく。肉体的な鍛錬だけでなく、精神的な成長にもつながる。
パルクールを実践するプレイヤーも多い近年、パルクールに競技性を持たせる動向も出てきている。たとえば、スタートからゴールまでのタイムを競ったり、技の完成度を競ったり、あるいは自由演技の芸術点を競ったり、というふうに一定の基準を設けて競う趣向である。
スポーツ化されたパルクールは「スポーツパルクール」と呼ばれることがある。スポーツパルクールには「スピードラン」「フリースタイル」「スキル」「チェイスタグ」という4つの種目がある。それぞれ、欧米を中心に、競技会や大会が行われて盛んになりつつある。
スピードランとは、スタートからゴールまで設置されているあらゆる障害物を飛び越え、最速でゴールを目指す競技である。スタートとゴールのみ設定されており、フィールド内のどこを通ってもよいルールや、スタートとゴールの他に、チェックポイントが指定されており、ゴールまでの間に指定されたチェックポイントを通る、もしくは順番にタッチするというルール、ルートと障害物が指定されており、決められたルートと障害物を通らなければならないルールの3種類がある。
フリースタイルは、フィールド内に設置されている障害物を利用して演技を行い、その出来栄えを競う競技である。一番開催されているのがこのタイプの大会であり、自由に演技を行って、審査員がジャッジを行う。ただし、明確な審査基準はなく、ジャッジをするため、同じ演技を行っても大会によって違う点数が出ることもある。正確性や流動性、難易度、創造性の4つを総合的に判断し、総合得点で順位が決まる。
スキルは、パルクールの、基本動作の速さや高さ、距離など、出来を競う競技であり、基本的に課題の達成率で勝敗が決まる。指定された回数、もしくは時間内に成功できた課題の数を競うルールや、ひとつの課題ごとの難易度設定により、成功した中で難易度が最も高かったものが得点になるルールなどがある。
チェイスタグとよばれる競技は、いわゆる鬼ごっこのようなものであり、障害物が多数設置されているフィールドの中を、二人もしくはチームで行う競技である。基本的な大前提として、危険プレイの禁止、手でのタッチのみ有効、フィールドの大きさなどのルールが存在する。試合形式は、チームで行われるチームチェイスオフ、一人が多数を追いかけるマルチプレイヤー、1対1で行われるシングルチェイスオフ、2名以上で行われる勝ち抜け方式のウィナーステイズオンの4種類の試合形式がある。
世界各地で様々な大会や練習会、教室が開催されている。大会の内容も様々で、本格的な世界大会から、お祭り気分で楽しめる大会まで、それぞれの特色が生かされた大会が開催されている。練習会や教室は、誰でも参加ができるものもあり、気軽にパルクールに触れることができる。
パルクール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/21 05:57 UTC 版)
パルクール(仏: parkour、略:PK)は移動動作を用いて、人が持つ本来の身体能力を引き出し追求する方法および運動である。
- 1 パルクールとは
- 2 パルクールの概要
パルクール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 01:05 UTC 版)
「ソニック ロストワールド」の記事における「パルクール」の解説
ダッシュ状態のまま壁や段差にぶつかると、立ち止まらずにパルクール走行を行う。壁をパルクール走行するとWii U・PC版では放物線を描くように、ニンテンドー3DS版では直線的に進むが、徐々に減速するのでスピンダッシュを行って再加速するか、別の壁に飛び移らなくてはならない。
※この「パルクール」の解説は、「ソニック ロストワールド」の解説の一部です。
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