アクアリウムにおいて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/11/28 09:33 UTC 版)
近年は生態学や環境学の分野のみならず、アクアリウム(水棲生物飼育装置の一般総称)においても用語の一つとして使われる様になった。 アクアリウムで魚類など水生生物を飼育すると、飼育生物の排泄物、粘液などの分泌物、脱皮殻などが日々生じ、当然のことながらこれらは微生物の分解を受けつつデトリタスを生じる。 デトリタスは放置しておくと水槽内を汚し、飼育生物の健康を害する原因になる。特に海産動物は、デトリタスが分解される過程で発生する有害物質に対する耐性が低い。今日の海水アクアリウムでは、デトリタスが分解される以前にプロテインスキマーと呼ばれる気泡にデトリタスを吸着させる装置で強制的に水槽内から除去し、残りを、ライブロックと呼ばれるベントスと細菌が多数住みついた多孔質の自然岩石(死後、時間が経過した造礁サンゴの骨格が用いられることが多い)を用いて、デトリタス食のベントスや微生物に腐食連鎖を行わせて分解させるベルリン式システムが普及している。また、水槽内に嫌気層を作り、嫌気性細菌を繁殖させ、ライブロックのベントス、好気性細菌と組み合わせることによって、有機物の分解のみならず、窒素化合物の脱窒も水槽内で引き起こすことで、最終的に水と二酸化炭素と窒素にまで分解を進めるモナコ式システムという飼育方法も実用化されている。 水槽における濾過装置は、当初はその名の通りに水中の異物を物理的濾過によって除去するとの意味合いを強く持っていた。次いで微生物による分解を利用して窒素排泄物の神経毒性の強いアンモニアを硝酸塩に変換することにより水質を維持する方法が定石となったが、さらにデトリタス食動物、デトリタス、微生物三者からなる腐食連鎖を再現することによって、より高度な水生生物飼育技術に結実したのである。
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