エコノミークラス‐しょうこうぐん〔‐シヤウコウグン〕【エコノミークラス症候群】
エコノミークラス症候群(えこのみーくらすしょうこうぐん)
国際便などの飛行機では、座席に10時間以上も座り続けることがある。すると、同じ姿勢を長時間保つことになるので、腰痛、足の痛み、息苦しさなどの症状に悩まされることもある。これら一連の症状は、エコノミークラスの乗客に現れることが多かったため、エコノミークラス症候群と呼ばれるようになった。
医学的には、長時間にわたって太ももを圧迫したままの状態が続くため、足の血流が悪くなり、静脈に血栓(小さな血のかたまり)ができやすくなっていると説明されている。
エコノミークラスだけでなく、ファーストクラスの座席に座っていても起こる。また、バスや電車の旅行であっても、長時間におよぶと、エコノミークラス症候群に襲われるので注意が必要である。
最悪の場合には、発生した血栓が肺の血管をふさいで、呼吸困難や心肺機能の停止を招き、死に至ることもある。実際、成田空港では、1992年以降の8年間で、高齢者を中心に25人が死亡している。
このような症状の発生を防ぐには、積極的に水分を補給し、なるべく足を動かすことが大切である。
(2001.01.12更新)
【エコノミークラス症候群】(えこのみーくらすしょうこうぐん)
旅客機のエコノミークラスで多発した、循環器系急性疾患の一種。
医学における正式名称は「急性肺動脈血栓塞栓症(きゅうせいはいどうみゃくけっせんそくせんしょう)」。
「旅行者血栓症」「ロングフライト血栓症」などという別名もある。
本来、「症候群」とは原因が未解明の疾病を指す言葉であり、既に原因が解明されている疾病をこう呼ぶのは適切ではない。
とはいえ、患者や報道関係者に「急性肺動脈血栓塞栓症」という正式名称で説明して理解を得るのもいささか難しいものである。
通り名の通り、この症状は長距離国際線のエコノミークラスで最初に確認された。
とはいえ、ビジネスクラスやファーストクラス、また鉄道や自動車でも発症し得る。
実際、トラックやタクシーなどの職業運転手や、車内で避難生活を送る被災者などが発症した例がある。
また、自力で動けない入院患者が発症した例もある。
直接の原因は、脚が圧迫される事による局所的な水分不足である。
水気の不足によって粘度を増した血液は固まって血栓を作り、血管に付着して血流を阻害する。
こうした血栓は脚が圧迫から解放された時に血管から剥がれ、肺動脈に詰まって循環系にダメージを与える。
それによって呼吸困難・胸焼け・動悸・冷や汗・血圧低下などの症状を呈し、最悪の場合は死に至る。
また、血栓が脳や心臓に流れついて脳梗塞や心筋梗塞を引き起こした事例も確認されている。
なお、災害や空爆に際し、瓦礫などで手足を挟まれて動けなくなった場合にも類似の症状を呈する。
特に重篤な場合は手足が完全に壊死し、塞がれていた血流が戻った途端に破壊された組織から流れ出たカリウムなどの影響でショック死する危険がある。
クラッシュ症候群と呼ばれるそうした重篤な事例において、救助が遅れて壊死が始まってしまった場合手足を切断せずに命を救う方法は未だ知られていない。
「下半身を動かして体を解す」「適度に水分を取る」などを心がける事で予防できるとされる。
従って、湿度の低い環境や、小さな座席に押し込められるような狭い乗り物では特に発症しやすい。
また、下肢の疾病、妊娠、経口避妊薬、肥満、喫煙後などは特にこの疾病を誘発する。
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