「地獄より」の手紙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/07 14:25 UTC 版)
「キャサリン・エドウッズ」の記事における「「地獄より」の手紙」の解説
10月1日、Saucy Jacky postcard(英語版)と呼ばれる葉書がセントラル・ニュース・エージェンシー(英語版)に届けられた。その葉書には「ジャック・ザ・リッパー」と署名されており、自身がストライドとエドウッズを殺した犯人であると主張していた。また、この2つの事件を「ダブル・イベント」と表現しており、この呼称はその後も使用されることになる。葉書は殺人事件が公表される前に郵送されており、単なるいたずらであれば事件についてそこまでの知識があるとは考えられないと論じられてきた。しかし、消印は殺人が起きてから24時間以上後に押されており、事件の詳細が記者やその地域の住民に知れ渡ってからかなり時間がたっていた。後に、警察当局は葉書を書いた記者を特定したと主張し、葉書をいたずらとして退けた。警察のこの評価は切り裂きジャック歴史研究家たちのほとんども同意している。 1888年10月16日、ホワイトチャペル自警団(英語版)の団長のジョージ・ラスク(英語版) (英: George Lusk) の元に、人間の腎臓の半分が入った包みが送られてきた。包みと一緒に手紙が送られており、この手紙は"Lusk letter"や"From hell" letterとして知られている。この手紙は"From hell" (直訳すると「地獄より」) という書き出しから始まる。手紙の書き手は腎臓の残りの半分を揚げて食べたと主張している。手書きの筆致や体裁は"Saucy Jacky" postcardのそれとは似ていなかった。腎臓は近くのロンドン病院のトーマス・ホロックス・オープンショー(英語版) (英: Thomas Horrocks Openshaw) 医師の元へ送られた。オープンショーは、この腎臓は人間の左側のそれであり、アルコールで保存されているという見解を抱いた。デイリー・テレグラフ紙は10月19日に、このジン臭のする腎臓は45歳女性から最近摘出されたものであるとオープンショーが述べたと報じた。しかし、同日のスター(英語版)紙で、オープンショーはデイリー・テレグラフの報道を強く否定し、腎臓の持ち主の年齢や性別は判別できないし、アルコールに保存されていた期間も分からないと述べた。スミスは自身の回顧録で、送られた腎臓はエドウッズから取り去られていた腎臓と一致していたと主張した。送られてきた腎臓に付いていた腎動脈の長さが、遺体から無くなっていた腎動脈の長さと一致していたという。また、エドウッズの遺体と送られてきた腎臓の両方にブライト病 (蛋白尿などを伴う腎炎) の形跡が見られたとも書かれていた。この回顧録の記述は調査を担当した病理学者が提出した医療報告書や警察の記録と一致していない。警察医のブラウン医師は、送られてきた腎臓は整えられており、腎動脈は完全に無くなっていたと述べていた。ロンドン警視庁のメモには、腎臓の出所はどのような遺体でもあり得るし、病院の死体安置所に由来する可能性もあると記されていた。スミスの話は歴史家からは劇的な話を創作するために放埓に書いたものと見なされている。また、腎臓は医学生のいたずらである可能性もあった。検死に立ち会ったソーンダーズ医師は報道に対して、エドウッズの右の腎臓は構造の面で完全に通常で健康だったと述べ、学生がふざけて腎臓を送りつけたと考えていると語った。捜査の調整を行っていたドナルド・スワンソン(英語版) (英: Donald Swanson) 警部は、同じような腎臓は検死を受けた死体から入手が可能であり、学生や解剖室の掃除人にもできると記した。
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