iTunes Store
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/12 15:43 UTC 版)
日本での展開
種類 | 株式会社 |
---|---|
市場情報 | 非上場 |
本社所在地 |
![]() 〒106-0032 東京都港区六本木六丁目10番1号 六本木ヒルズ |
法人番号 | 8011101043359 |
代表者 | 代表取締役 服部 浩 |
資本金 | 1億円 |
売上高 |
5745億6500万円 (2023年6月期)[15] |
営業利益 |
358億5300万円 (2023年6月期)[15] |
経常利益 |
356億4300万円 (2023年6月期)[15] |
純利益 |
247億1300万円 (2023年6月期)[15] |
純資産 |
276億8600万円 (2023年6月期)[15] |
総資産 |
3565億5900万円 (2023年6月期)[15] |
決算期 | 9月30日 |
日本では、著作権保護のコピーガードやレコード会社の契約などの問題により、サービス開始が危ぶまれていたが、本国アメリカ合衆国に遅れること約2年、2005年(平成17年)8月4日よりサービスが開始され、世界的に展開するEMIミュージック・ジャパン(現・ユニバーサル ミュージックLLC Virgin Musicレーベル、当時は東芝EMI)などの外国資本の音楽会社と、日本国内資本のエイベックスなどの大手レコード会社および複数のインディーズ・レーベルにより楽曲が提供されてスタートを切り、サービス開始4日間で100万ダウンロード突破とアナウンスされるなど、歓迎ムードで迎えられた。なお、日本国内でのiTunes Storeの運営は、米Apple Inc.の子会社であるiTunes株式会社[7]が行っている。
開始からしばらくは参加していないレコード会社がいくつか存在していたが、2006年(平成18年)10月にBMG JAPAN(現・ソニー・ミュージックレーベルズ アリオラジャパンレーベル)およびアップフロントワークスが、2007年(平成19年)6月にワーナーミュージック・ジャパンが、それぞれiTuens Storeでの楽曲提供を開始した。
サービス開始から長らく楽曲提供を見送っていたソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)も[注釈 2]、主要な洋楽アーティストは2012年(平成24年)2月22日、主要な邦楽アーティストは2012年11月7日より楽曲提供を開始し[16]、7年をかけてiTunes Storeに日本における4大レコード会社が出揃うこととなった。
iTunes Storeの最盛期にはiTunes Store限定での楽曲配信やアルバム一括購入によるミュージックビデオなどの独自特典の添付のほか、CDの店頭販売よりもiTunes Storeで楽曲が先行配信されるミュージシャンも多く、新たな市場として成立している。
2012年(平成24年)2月22日からは、全楽曲が「iTunes Plus」となり、デジタル著作権管理(FairPlay)も撤廃された。それまでは多くの楽曲が128kbpsのDRMつきで提供されてきたが、今後は256kbpsのDRMなしで提供されるため、これによりiTunes販売楽曲の音質が大幅に向上するほか、DRMが撤廃されることで利便性も大きく高まる。一方でiTunes Plusの全面導入を境に、1曲あたりの配信価格が最大250円に値上げされ、ほかの音楽配信サイトもiTunes Storeに付随する形で、同様の価格値上げを実施した。
なお、規模は劣るが事務所別で見てみると、嵐などが所属するジャニーズ事務所所属のアーティストは、所属レコード会社を問わず、原則iTunes Storeに参加していなかったが、2019年11月3日午前11時より、嵐のシングル曲全65曲の配信を開始した[注釈 3][注釈 4][17]。また、サザンオールスターズ、福山雅治などが所属するアミューズもかつては原則として参加していなかったものの[注釈 5][注釈 6]、DRM撤廃と前後してA-Sketch所属アーティスト(flumpool、ONE OK ROCK)など一部が参加しはじめ、2013年6月のPerfumeを皮切りに、2014年(平成26年)12月17日には、サザンオールスターズが全楽曲を配信し、ほとんどのアーティストが段階的に配信を始めた。
2010年(平成22年)11月11日に、映画配信サービスを開始した。主にレンタル方式が中心であるが、一部は販売方式でも配信されている。多くのハリウッドメジャーや日本の主要映画会社から約1,000本以上の映画が提供されてスタートした[注釈 7]。
ソニー・ピクチャーズに関しては、音楽と同様に当初は不参加であったが、2010年(平成22年)12月16日より映画の提供を開始。ソニーのコンテンツが日本のiTunes Storeで配信されるということで、インターネットや新聞などでも大きく取り上げられた(ただし、10月19日にiOS用公式アプリをリリースしていた)[18]。また、当初はレンタルのみで扱われていた作品が、販売方式でも配信されることも増えている。
2016年(平成28年)8月17日より、iTunes Store、App Store、Apple Music、iBooksが日本の大手通信キャリアのau(KDDI・沖縄セルラー電話連合)が提供するau端末の月額料金と合算して支払える「auかんたん決済」を利用した決済に正式対応となった(日本の大手通信キャリアとしては史上初。ただし法人契約者は対象外)[19]。
シェア
日本の音楽配信市場は、主にレコチョクが提供するフィーチャーフォン向けの着うたフルが多数を占める(2011年度は81%)という特徴があり、iTunes StoreはCDなども含めた音楽市場全体の金額シェアで考えると5%に満たず[20]、諸外国に比べ低いシェアとなっている。
諸外国に比べ日本でのiTunes Storeのシェアが低い理由の一つとして、日本独自のレンタルCD店の普及が挙げられることがある[21][22]。
また、配信されている楽曲数こそ増えてはいるものの、配信形式はiTunes Plus(AAC256kbps)から大きく変わっておらず、2010年代以降は他社のサービスでハイレゾ音源の配信が開始され、非圧縮音源ないしロスレスでの音楽再生がデファクトスタンダードになったことで、iTunes Storeが時代遅れのサービスに成り下がったこともシェアが低い要因になっている。
代金請求についての問題
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iTunes Storeの利用者が心当たりのない代金の請求を受けた事例が、2009年(平成21年)4月以降、消費生活センターなどに43件寄せられており、2010年(平成22年)2月12日消費者庁が注意を喚起するとともに[23]、2月17日・19日付で消費者庁が運営会社の「iTunes(株)」や社団法人日本クレジット協会に対して照会を発している[24][25]。これについては、3月4日付で同社より回答があったが[26]、内容が不十分として、同日付で3月12日までに詳細な回答を求める質問状が再度同社へ出された[27]。
違法配信についての問題
2010年1月、iTunes StoreでPerfumeのアルバム『GAME』が違法配信されていることが判明した(Perfume所属のアミューズは前述の備考通り当時日本のiTunes Storeに参加していなかった)[28]。Copyright表記がCDの販売元のTokuma JapanではなくTukuma Japanであったこと、一部楽曲が本来のものではないことから事態が判明した。これを受け徳間ジャパンコミュニケーションズ(以下徳間ジャパン)はAppleに対し調査を要請した結果、海外のレーベルが徳間ジャパンの許諾を受けずに配信したものと判明した[29]。徳間ジャパンは法的措置も検討しており、Appleの音楽配信に対する審査体制への疑問が投げかけられることとなった。
注釈
- ^ 現在ではイギリスなど他国でも行われている。
- ^ ウォークマンを擁するソニーグループの音楽系事業統括会社であり、かつ音楽配信サービスmoraを運営しているレーベルゲートの中核企業である。
- ^ 尚、嵐の楽曲はシングル曲のみで、シングルのカップリング曲やアルバムの曲は未配信となっている。また、嵐以外のアーティストは現在も参加していない。
- ^ 草彅剛が歌唱したCMソング「満足れぼりゅーしょん」が期間限定で配信されたことがある他、アメリカ合衆国国内のみで赤西仁の楽曲が配信されているなど例外はある。
- ^ 2011年3月11日に発生した東日本大震災に対するチャリティとして同年4月2日にユニバーサルミュージックは所属アーティスト79組の楽曲を収録したコンピレーションアルバム「アイのうた〜東日本大震災チャリティ・アルバム」を発売したが、そのアルバムの中に福山雅治の楽曲「群青 〜ultramarine〜」が収録されている。
- ^ 但し、過去のアミューズ所属アーティスト(E・Z・O、DEAD END、SIAM SHADEなど)のアミューズ在籍時の楽曲は配信されている。
- ^ 日本語字幕版、吹き替え版は別作品として配信されている。
- ^ 例えば、アメリカのiTunes Storeから購入するためには、アメリカに住所がなければならない。ただし、アカウントが必要なのは購入・ダウンロード時のみなので、検索・試聴は他国のiTunes Storeでも可能である。
- ^ 仮に複数国のiTunes Storeでアカウントを持っている場合でも、プリペイドカードはそれぞれの国のものを別々に使用しなければならない。
- ^ アメリカでは、新番組の第1話のみを期間限定で、iTunes Storeから無料ダウンロードできることがある。また、北米盤DVDボックスなどの購入特典として、iTunes対応の動画ファイルが無料で付いてくる(もしくはiTunes Store向けの無料ダウンロード用コードが封入される)ことがある。
出典
- ^ “Apple Unveils New iTunes”. Apple (2012年9月12日). 2012年9月27日閲覧。
- ^ Leander Kahney (2003年10月16日). “アップル、ウィンドウズ向け『iTunes』を発表”. WIRED.jp. 2007年9月26日閲覧。
- ^ CNET News.com (2005年7月7日). “「iTunes Music StoreはPtoPネットワークに取って代わる存在に」--米調査”. 2007年9月26日閲覧。
- ^ Apple Inc.. “iTunes Music Store in Europe Sells 800,000 Songs in First Week” (英語). 2007年9月26日閲覧。
- ^ the Mac Observer (2004年11月19日). “iTunes Music Store Coming to Japan in 2005” (英語). 2007年9月26日閲覧。
- ^ Tony Smith (2005年6月8日). “Japan iTunes August launch report 'untrue'” (英語). The Register®. 2007年9月26日閲覧。
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- ^ Apple Inc. (2007年4月3日). “アップル、より高品質なDRMフリーの音楽をiTunes Storeに追加”. 2007年9月26日閲覧。
- ^ Apple Inc. (2007年9月6日). “アップル、iTunes Wi-Fi Music Storeを発表”. 2007年9月26日閲覧。
- ^ Apple Inc. (2009年1月7日). “iTunes Storeに変化が到来”. 2009年1月8日閲覧。
- ^ iTunes Storeでビートルズの楽曲を配信開始,Internet Watch,2010年11月17日
- ^ iTunes Storeでソニー・ミュージック系邦楽配信開始 いきものがかり、西野カナ、ラルク、JUJUなど,AV Watch,2012年11月7日
- ^ これがずっと夢だった。アップルがiTunes Matchを日本でサービス開始!,Gizmodo,2014年5月2日
- ^ a b c d e f iTunes株式会社 第19期決算公告
- ^ 臼田勤哉 (2012年11月7日). “iTunes Storeでソニー・ミュージック系邦楽配信開始”. AV Watch. インプレス. 2023年5月14日閲覧。
- ^ “嵐、SNSアカウント開設&全シングル曲デジタル配信へ 新曲「Turning Up」MVは本日21時にプレミア公開”. Billboard JAPAN. (2019年11月3日) 2011年11月19日閲覧。
- ^ “ソニー、“仇敵”アップルに映画配信 アイチューンズ無視できず”. 産経新聞. (2010年12月17日) 2011年4月15日閲覧。
- ^ ニュースリリース (2016年8月17日). “App Store、Apple Music、iTunesおよびiBookで「auかんたん決済」が利用可能に”. KDDI. 2016年8月17日閲覧。
- ^ 一般社団法人日本レコード協会 日本のレコード産業2012年度版
- ^ 山口哲一、松本拓也、殿木達郎、高野修平『ソーシャル時代に音楽を“売る”7つの戦略 “音楽人”が切り拓く新世紀音楽ビジネス』リットーミュージック、2012年、122頁。ISBN 978-4-8456-2156-9。
- ^ 山口哲一『新時代ミュージックビジネス最終講義 新しい地図を手に、音楽とテクノロジーの蜜月時代を生きる!』リットーミュージック、2015年、55頁。ISBN 978-4-8456-2670-0。
- ^ 音楽情報サイトの利用者が心当たりのない利用代金の請求を受ける事例の発生について消費者庁、平成22年2月12日
- ^ 音楽情報サイト運営事業者に対する照会について消費者庁、平成22年2月17日
- ^ 音楽情報サイトの利用を巡る消費者相談への対応状況の照会について消費者庁、平成22年2月19日
- ^ 照会事項に対する音楽情報サイト運営事業者からの回答について消費者庁、平成22年3月4日、消費者庁
- ^ 音楽情報サイト運営事業者に対する補足的な質問について平成22年3月4日、消費者庁
- ^ http://getnews.jp/archives/45924
- ^ http://www.tkma.co.jp/tjc/j_pop/perfume/itunes.html
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- ^ “Apple Music”. App Store (2022年6月25日). 2023年6月2日閲覧。
- ^ “ライブラリ:Apple TVでミュージックをブラウズする/再生する”. Apple Support. 2023年6月2日閲覧。
- ^ “ダウンロード - iTunes for Mac 12.8.2 (日本)”. support.apple.com. 2023年6月2日閲覧。
- ^ “iTunes はどうなったのか?”. Apple Support (2021年6月18日). 2023年6月2日閲覧。
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- ^ “Android で Apple Music に参加する”. Apple Support (2021年3月15日). 2023年6月2日閲覧。
- ^ Apple Inc. (2004年3月15日). “iTunes Music Store Downloads Top 50 Million Songs” (英語). 2007年9月26日閲覧。
- ^ John Markoff (2004年4月29日). “TECHNOLOGY;Apple Sells 70 Million Songs In First Year of ITunes Service” (英語). The New York Times. 2007年9月26日閲覧。
- ^ Apple Inc. (2005年3月2日). “iTunes Music Store Downloads Surpass 300 Million” (英語). 2007年9月26日閲覧。
- ^ →ウィキニュース
- ^ →ウィキニュース
- ^ Apple Inc. (2007年8月1日). “iTunes Storeの音楽ダウンロードが30億曲を突破”. 2007年9月26日閲覧。
- ^ Apple Inc. (2007年8月1日). “iTunes Storeの音楽ダウンロードが50億曲を突破”. 2007年9月26日閲覧。
- ^ Apple Inc. (2008年7月14日). “iPhone App Storeのダウンロード数、最初の週末で1千万本を突破”. 2008年7月27日閲覧。
- ^ Apple Inc. (2007年9月6日). “アップルとスターバックス、音楽ビジネスの提携を発表”. 2007年9月26日閲覧。
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