B-2 (航空機)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/06 08:06 UTC 版)
爆撃
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B-2では、搭載する航法コンピュータに備わる敵の軍事地理の情報を利用し、最も安全な飛行ルートを設定可能である。また、標的から半径8マイル(約13km)以内にまで到達できれば、250-5,000lbsのJDAM(Joint Direct Attack Munition)装着誘導爆弾によりピンポイントでの目標破壊も可能である。JDAMの高空からの滑空距離は27km程度である。この爆弾は、B-2上に搭載されたSBRA(Smart Bomb Rack Assembly)上で再プログラム可能であり、天候やターゲットの変更などに応じて臨機応変に対応できる。B-2には通常16発の2,000lbs爆弾が搭載される。他にも、AGM-158巡航ミサイル(JASSM)や5,000lbs(約2.8t)のEGBU-28バンカーバスター(ペイブウェイ)を最大8発、B61 Mod 11貫通型核爆弾なら最大16発搭載することができる。今後、SDB小直径誘導爆弾の運用能力付加が予定されている[4][2]。
価格と製造数
B-2は1機20億ドル以上(1ドル100円として約2,000億円)という高価な航空機で、世界一高価な飛行機としてギネスブックにも登録されている。例えば、世界的に見ても巨大かつ高価なイージス艦、あたご型護衛艦は1隻約1,453億円であり、B-2の価格の高さがうかがい知れる。
開発当初は132機製造を予定していたが、取得費だけでなくステルス性確保のため、7年に一度コーティングの再塗装が必要など維持費も高額で、また冷戦終結もあり結局、試作機を含む全21機しか製作されていない。量産されれば単価は下がるが、先進軍事技術が多数使用された特別な航空機のため友好国への供与は現在も行われていない。
維持費は殆どがその滑らかな機体を研ぐためのものである。F-117の開発責任者、スカンクワークスのベン・リッチは費用対効果の観点からこの機体を酷評した。ただしF-117もレーダー波吸収用特殊素材コーティングのチェックのため、維持費が高額であるのは同様で、この為2008年をもって退役している。
運用部隊情報
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B-2はステルス性維持が最重要なため、かつては、湿度・気温などを完全にコントロールされるホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)の専用ハンガーにのみ駐留し、ほかの基地に展開することは無かった。アフガニスタン空爆などの際もホワイトマン空軍基地から離陸し、空中給油を繰り返して爆撃を行った。このため 1回の作戦行動に40時間を超える事もあった。それ以降は、B-2用簡易ハンガーが開発され、これを設置した基地からの発進が可能となり、2003年のイラク戦争ではディエゴガルシア島から出撃した。現在グアム島のアンダーセン空軍基地にも時折派遣されることがある。設計開始時と異なり、担当ミッションは核攻撃ではなく通常爆弾(誘導爆弾)投下が主任務である。
2013年3月27日、2機のB-2がホワイトマン空軍基地から無着陸で韓国沖の黄海に飛来、デモ飛行をして北朝鮮を抑止した。
リビア空爆
2011年リビア内戦に投入されたほか、2017年1月には再びリビア国内に展開し、ISIL軍事訓練キャンプを空爆している。2017年のケースでは、2機のB-2をホワイトマン空軍基地から出動させ、34時間かけて北アフリカ入りさせた[5]。
配備状況
詳細な配備状況に関しては以下に記載する。
- 第509爆撃航空団(509th Bomb Wing)、ホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)
- 第13爆撃飛行隊(13th Bomb Squadron)
- 第393爆撃飛行隊(393rd Bomb Squadron)
- 第394戦闘訓練飛行隊(394th Combat Training Squadron)
- 第53航空団(53rd Wing):エグリン空軍基地(フロリダ州)
- 第72試験評価飛行隊(72nd Test and Evaluation Squadron):ホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)
- 第57航空団(57th Wing):ネリス空軍基地(ネバダ州)
- 第325兵器飛行隊(325th Weapons Squadron):ホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)
- 第715兵器飛行隊(715th Weapons Squadron): 現在未稼働
注釈
- ^ B-2一機の価格は約2,000億円。2018年2月時点での金価格は1gあたり3,700円超。B-2一機分の質量45tの金は約1,665億円超。
- ^ オハイオ州デイトンにある国立アメリカ空軍博物館に一機が収蔵、展示されているが、この機体は静的強度試験に供された機体で、実戦に配備された実績は無い。主脚等一部の部品に、運用中の他機の部品が取り付けられている。
- ^ 但し、塩化フッ化スルホン酸は皮膚に付着すると爛れる等の重大な害を及ぼす毒劇物であり、取り扱いに細心の注意が必要であることと、腐食性の強い液体であることから液体を積み込むタンクやポンプなどのメンテナンスにも手間が掛かるため、現在では使用を見合わせているものとみられる。そのため、コントレイルの航跡を残しながら飛行するB-2が度々目撃されている。
- ^ a b 実在するMOP(大型貫通爆弾)の発展改良型という設定の架空の兵器。地中貫通型爆弾。
- ^ 原作の小説版では北朝鮮。
- ^ 全兵器の中で最も高価なのは「ドラゴン」(架空の生物)。また、価格順ではB-2の次に高価なのは潜水艦「オハイオ」。
出典
- ^ a b The Encyclopedia of Modern Military Aircraft (ISBN: 1-904687-84-9)
- ^ a b 軍事研究 2007年8月号
- ^ 空中給油の様子 - YouTube - USAミリタリーチャンネル『B-2スピリット ステルス戦略爆撃機』
- ^ America's deadliest weapon the B-2 stealth bomber (DVD)
- ^ “米ステルス爆撃機、リビアでIS戦闘員80人超殺害 異例の空爆作戦”. AFP. (2017年1月20日)
- ^ イカロスmook 世界の名機シリーズ「B-2スピリット」 Jウイング編集部 イカロス出版 42-44頁
- ^ “Archived copy”. 2009年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月6日閲覧。 CI Center page on Gowadia
- ^ “B-2 Stealth Bomber Crash Scene Photos: Exclusive First Look” (英語). Popular Mechanics. (2008年7月14日) 2008年7月16日閲覧。(離陸から墜落に至るまでの図解説明有り)
- ^ “エンジン火災で損傷したB-2A「スピリット・オブ・ワシントン」が完全復帰”. FlyTeamニュース. (2013年12月29日)
- ^ “米戦略爆撃機「B-2」が不時着、火災で損傷”. スプートニク (2022年12月14日). 2022年12月14日閲覧。
- ^ 日高義樹のワシントン・リポート2006年8月13日放送「TV初公開B-2爆撃機と新鋭空母グアム演習」
- ^ “The Pointy End Of Northrop's Flying Wings Then And Now”. Foxtrot Alpha. Jalopnik (Gizmodo Media Group) (2015年9月7日). 2022年12月2日閲覧。
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