B-2 (航空機) 開発経緯

B-2 (航空機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/06 08:06 UTC 版)

開発経緯

ノースロップのステルス技術の原型となったタシット・ブルー

B-2の開発は、ステルス性や長い航続距離などの要求の下に1978年から開始された。その当初は、ソビエト連邦の防空網をかいくぐり、ICBM発射基地や移動式ICBM発射台に短距離攻撃ミサイルにより核攻撃を加えることを主目的としていた。開発初期は極秘プロジェクト(Project Senior C. J.、後にATBと改名)として当初米空軍上層部ですら開発は機密扱いであった。ATB(Advanced Technology Bomber、先進技術爆撃機)という計画名は知られるようになったものの、1988年4月に想像図が公表されるまでは公式情報はほとんどなかった。

B-2の開発は米ノースロップ・グラマン社と米ボーイング社が共同で行い、米ボーイング社がコックピット部と本体の中央部、残りをすべてノースロップ・グラマン社が担当した。1982年に6機のプロトタイプ用の予算が組まれ、1988年11月22日に最初の機体82-1066がパームデールのアメリカ空軍第42プラントからロールアウトされた。セレモニーは非常に慎重に計画され、招待された500名のゲストは地上からはB-2の正面のみ観覧が可能であったが、上空からの規制は手が抜かれていて、小型セスナ機により上空から撮影された写真が残されている。

初飛行は当初1989年7月15日に予定されていたが(予算編成時は1987年の予定だった)、燃料系のトラブルのため延期され、最終的には7月17日エドワーズ空軍基地にて行われた[1]

開発当初は132機の製造が予定されていたが、あまりにも高額な上維持費も高額であることから、結局生産されたのは試作機を含め21機のみで、全機アメリカ空軍に引き渡され、他国への輸出はなされていない。アメリカ空軍は2008年に後述の墜落事故で1機を喪失しており、2021年の時点でB-2を20機保有している[注 2]


注釈

  1. ^ B-2一機の価格は約2,000億円。2018年2月時点での金価格は1gあたり3,700円超。B-2一機分の質量45tの金は約1,665億円超。
  2. ^ オハイオ州デイトンにある国立アメリカ空軍博物館に一機が収蔵、展示されているが、この機体は静的強度試験に供された機体で、実戦に配備された実績は無い。主脚等一部の部品に、運用中の他機の部品が取り付けられている。
  3. ^ 但し、塩化フッ化スルホン酸は皮膚に付着すると爛れる等の重大な害を及ぼす毒劇物であり、取り扱いに細心の注意が必要であることと、腐食性の強い液体であることから液体を積み込むタンクやポンプなどのメンテナンスにも手間が掛かるため、現在では使用を見合わせているものとみられる。そのため、コントレイルの航跡を残しながら飛行するB-2が度々目撃されている。
  4. ^ a b 実在するMOP(大型貫通爆弾)の発展改良型という設定の架空の兵器。地中貫通型爆弾
  5. ^ 原作の小説版では北朝鮮
  6. ^ 全兵器の中で最も高価なのは「ドラゴン」(架空の生物)。また、価格順ではB-2の次に高価なのは潜水艦「オハイオ」。

出典

  1. ^ a b The Encyclopedia of Modern Military Aircraft (ISBN: 1-904687-84-9)
  2. ^ a b 軍事研究 2007年8月号
  3. ^ 空中給油の様子 - YouTube - USAミリタリーチャンネル『B-2スピリット ステルス戦略爆撃機』
  4. ^ America's deadliest weapon the B-2 stealth bomber (DVD)
  5. ^ “米ステルス爆撃機、リビアでIS戦闘員80人超殺害 異例の空爆作戦”. AFP. (2017年1月20日). https://www.afpbb.com/articles/-/3114726 
  6. ^ イカロスmook 世界の名機シリーズ「B-2スピリット」 Jウイング編集部 イカロス出版 42-44頁
  7. ^ Archived copy”. 2009年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月6日閲覧。 CI Center page on Gowadia
  8. ^ “B-2 Stealth Bomber Crash Scene Photos: Exclusive First Look” (英語). Popular Mechanics. (2008年7月14日). http://www.popularmechanics.com/science/air_space/4273248.html 2008年7月16日閲覧。 (離陸から墜落に至るまでの図解説明有り)
  9. ^ “エンジン火災で損傷したB-2A「スピリット・オブ・ワシントン」が完全復帰”. FlyTeamニュース. (2013年12月29日). http://flyteam.jp/news/article/30321 
  10. ^ 米戦略爆撃機「B-2」が不時着、火災で損傷”. スプートニク (2022年12月14日). 2022年12月14日閲覧。
  11. ^ 日高義樹のワシントン・リポート2006年8月13日放送「TV初公開B-2爆撃機と新鋭空母グアム演習」
  12. ^ The Pointy End Of Northrop's Flying Wings Then And Now”. Foxtrot Alpha. Jalopnik (Gizmodo Media Group) (2015年9月7日). 2022年12月2日閲覧。





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