陽子 陽子の概要

陽子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/23 14:16 UTC 版)

陽子(プロトン
組成 uud
粒子統計 フェルミ粒子
グループ バリオン
相互作用 弱い相互作用
強い相互作用
電磁相互作用
重力相互作用
反粒子 反陽子(p)
発見 アーネスト・ラザフォード (1917)[1]
記号 p
質量 1.672621898(21)×10−27 kg[2]
938.2720813(58) MeV/c2[3]
電荷 1.602176634×10−19 C(正確に)[4]
荷電半径 0.8751(61) fm[5]
磁気モーメント 1.4106067873(97)×10−26 J/T[6]
カラー 持たない
スピン 12
バリオン数 1
ストレンジネス 0
アイソスピン 12
超電荷 12
パリティ +1
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陽子とともに中性子によって原子核は構成され、これらは核子と総称される。水素(軽水素、1H)の原子核は、1個の陽子のみから構成される。電子が離れてイオン化した水素イオン1H+[注釈 1]は陽子そのものであるため、化学の領域では水素イオンをプロトンと呼ぶことが多い。

原子核物理学素粒子物理学において、陽子はクォークが結びついた複合粒子であるハドロンに分類され、2個のアップクォークと1個のダウンクォークで構成されるバリオンである。ハドロンを分類するフレーバーは、バリオン数が1、ストレンジネスは0であり、アイソスピンは1/2、超電荷は1/2となる。バリオンの中では最も軽くて安定である。

諸定数

電荷

陽子の電荷は、符号が正で大きさが電気素量 e に等しい。その値は

(正確に)

である(2018 CODATA推奨値[4])。

質量

陽子の質量 mp

である(2018 CODATA推奨値[2][3])。電子の質量 me に対する比は

である(2018 CODATA推奨値[7])。

陽子の比電荷

である(2018 CODATA推奨値[8])。

コンプトン波長

陽子のコンプトン波長 λp

である(2018 CODATA推奨値[9])。

荷電半径

陽子のRMS荷電半径 rp

である(2018 CODATA推奨値[5])。

磁気モーメント

陽子の磁気モーメント μp

である(2018 CODATA推奨値[6])。核磁子 μN に対する比(異常磁気モーメント)は

である(2018 CODATA推奨値[10])。

歴史

陽子は1918年アーネスト・ラザフォードによって発見された。アルファ粒子窒素ガスに打ち込むと、水素の原子核固有の反応が検出された。窒素ガスは密閉状態にあるため、水素は窒素から分離されたに違いなく、水素の原子核は窒素に含まれていると推測した。これから、当時水素の原子核は電荷が1でありそれ以上分割することができないとされていたため、最も基本的な物質の構成要素であると結論付けた。ラザフォードはこの物質をギリシャ語の最初を表すプロトス(protos)からプロトン(proton英語発音: [ˈproutɑn])と名づけた。


注釈

  1. ^ 厳密には、水素イオンという語は、水素の陰イオン(ヒドリド)をも指す。
  2. ^ 2個陽子があったとして、1年で1/2の確率で崩壊するとして、1年で1つも崩壊しない確率は(1−1/2)2=1/4=25 %。3個陽子があり、1年で1/3の確率で崩壊するとしたら、1年で1つも崩壊しない確率は(1−1/3)3=8/27=約29.6 %。10個陽子があり、1年で1/10の確率で崩壊するとしたら、1年で1つも崩壊しない確率は(1−1/10)10=(9/10)10=約34.9 %。n個陽子があり、1年で1/nの確率で崩壊するとしたら、1年で1つも崩壊しない確率は(1−1/n)nである。nが十分に大きければ、その値は1/e(ネイピア数の逆数)に近づく。1年で少なくとも1つ陽子が崩壊する確率は前文の余事象なので1−1/eとなる。同様にn個陽子があり、1年で1/nの確率で崩壊するとしたら、2年3年で1つも崩壊しない確率は(1−1/n)2n,3n である。nが十分に大きければ、その値は1/(e2,e3)に近づく。
  3. ^ 統計的には95%以上の確率で起きうることが仮に起きない場合は、仮説を棄却して対立仮説(論理式でいう否定、このケースでは陽子の寿命は少なくとも1033 年よりは明らかに長い)を採択することがある。

出典



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