ヒドロン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/07 10:48 UTC 版)
ヒドロン | |
---|---|
![]() |
|
識別情報 | |
CAS登録番号 | 12408-02-5 |
PubChem | 1038 |
ChemSpider | 1010 ![]() |
KEGG | C00080 ![]() |
ChEBI | |
|
|
|
|
特性 | |
化学式 | H+ |
モル質量 | 1.00739 g mol-1 |
精密質量 | 1.007276466812(90) g mol-1 |
熱化学 | |
標準モルエントロピー S |
108.95 J K-1 mol-1 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ヒドロン(Hydron)は、H+という記号で表される、水素原子の陽イオンの一般名である。
概要
「プロトン」という言葉は、最も多い同位体である軽水素の陽イオンを意味する。「ヒドロン」は、その同位体組成に関わらない陽イオンを表す。そのため、プロトン(1H+)、デューテロン(2H+, D+)、三重水素(3H+, T+)を含む名称である。他のイオンと異なり、ヒドロンは裸の原子核のみから構成される。
ヒドロン(裸の水素原子核)は、反応性が高すぎるため多くの液体中では存在できない。自由なヒドロンは、液体中で分子と反応し、より複雑な陽イオンを形成する。例としては、水中における水素イオンの水和型であるヒドロニウムイオン(H3O+)や最も強い超酸であるフルオロアンチモン酸の不安定な陽イオンH2+がある。このため液体中では、ヒドロンは複雑なイオンと接触して、グロッタス機構により拡散する[2]。水中においてヒドロニウムイオンは、スヴァンテ・アレニウスによる酸の定義の鍵となる。
他の水和型には、1つのプロトンと2つの水分子からなるズンデルカチオン(H5O2+)や1つのプロトンと3つの水分子からなるアイゲンカチオン(H9O4+)があり、グロッタス機構に従う「水素ホッピング」において重要な役割を担っている。ヒドロン自体も、より一般的なブレンステッド-ローリーの酸塩基理論において重要な役割を果たしている。
陰電荷を持つヒドロンのカウンターパートは、ヒドリド(H-)という。
ヒドロンの同位体

- プロトン -
- ヒドロンのページへのリンク