郵便貯金
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オンラインシステム
1978年8月1日の郵便貯金オンラインシステム開始以来、日本全国の郵便局・ATMをオンラインで結ぶ専用線網(ISDN PNET)が整備されてきた。このオンラインシステムは、貯金事務計算センター(東日本は千葉県印西市、西日本は兵庫県神戸市)と貯金事務センター、郵便局、ATMを専用線網で結んでいる。
かつては離島や山間部などを中心に電話回線の数が不足していてオンライン端末機CTMを設置していないオフライン郵便局が数多く存在したが、2005年3月31日をもって奈良県東の川簡易郵便局が廃止、山形県的場簡易郵便局が一時閉鎖(その後2007年4月30日まで営業再開することなく廃止)されたため、民営化時点では全ての郵便局がオンラインで結ばれていた。
CTMの故障時や通信異常時などは特別措置として、通帳の入出金や振込はオフライン扱いで回転式金額スタンプ代用など手動により一時的に行う手法が民営化以前には存在した。しかし、民営化以降はそのような措置は行われず、故障対策としてCTMを2台以上置くことや窓口業務の一時休止などで対応する。よって手動扱いで入出金する業務は臨時の場合も含めて廃止されたといってもいい(手動扱いをしたがゆえ、後に入力ミスなどで実際に入金されている口座の金額と通帳の金額が違う、振込処理がされていない、などといったトラブル防止のためであると思われる)。
イメージキャラクター
郵便貯金にはリスの「ユウちゃん」というイメージキャラクターが存在した。1962年11月に郵政省職員デザインによる初代の「ユウちゃん」が制定され、1990年5月にはサンリオデザインによる2代目の「ユウちゃん」が制定され、郵政省・総務省・公社と組織が変わっても「郵便貯金イメージキャラクター」として郵便局などで見かけることができた。しかし、郵政民営化により郵便貯金が廃止されると同時にイメージキャラクターの「ユウちゃん」も使用不可となった。
郵便貯金の普及のため、その周知宣伝に必要な施設
旧郵便貯金法第4条により[12]、日本郵政公社は、郵便貯金の普及のため、その周知宣伝に必要な施設を設置した。
これらは、「郵便貯金会館(メルパルク)」、「郵便貯金地域文化活動支援施設(ぱ・る・るプラザ)」、「郵便貯金総合保養施設」と称された。
注釈
- ^ ただし、JAバンクなどの通帳が非課税となった根拠は、印紙税法第5条の但し書き規定によるもので、郵便貯金の非課税の根拠とは異なる点に注意が必要。なお、ATMの明細は、郵便貯金では郵便貯金法により非課税だったが、JAバンク等では印紙税法上、非課税の対象に指定されていないため、明細については、印紙税の課税文書となっている。また、一般の銀行の納税準備預金は、印紙税法第5条の但し書きの例外規定を根拠とし、印紙税法そのものの規定ではなく、別途、租税特別措置法第92条を適用することで非課税となっているため、一般の銀行が必ず課税されるとは限らない状況もあることに注意が必要。
- ^ ゆうちょ銀行でもインターネットバンキングの「ゆうちょダイレクト」に限らずテレホンバンキングのサービス(電話・FAXとも)も継続している。
- ^ 2000年(平成12年)3月より実証実験を開始。
- ^ ゆうちょ銀行の「ゆうちょダイレクト」でも、この形が長く続いていたが、2016年時点では、各通帳毎のログイン時のパスワードを一旦統一した上で、代表としたい通帳の契約で操作すれば、代表とする通帳の会員番号で複数の通帳の操作は可能となった。ただし、それ以前に導入されたハードウェアトークンは、1通帳に1つ使用する点は変わりはない。
- ^ ゆうちょ銀行の「振替口座」でも同様に発行されない。
- ^ MTなどの自動化できる取引は殆どが入金の通知や送金に関するものである。
- ^ 移替基準額は、取引全体について行うのに対して、オートスウィング基準額の場合は、通常貯蓄貯金や複数の通常貯金の取引がある場合については、それぞれの記号番号ごとに設定を行うため。つまり、総合口座通帳1冊以外に貯金の預け入れがない場合は、移替基準額とオートスウィング基準額とは、ほぼ同じととらえて差し支えない。ただし、貯金の上限額の1000万円(2016年4月以降は、1300万円までの範囲で利用者が個々に設定している金額)については、民営化前と同じで、財形のうち別枠対象とされる取引と振替口座に入金している金額を除いて全貯金取引が対象とされるため、これを全体として超過している場合は、オートスウィング基準額の設定額に満たない場合でも、限度額超過として、払戻要請の対象とされる。定額貯金や定期貯金を含めた全体が超過していない場合でも、移替基準額から通常貯金と通常貯蓄貯金の残高合計が超過している場合は、トータルから超過した分は預り金となる。
出典
- ^ a b 新村出「ゆうびん-ちょきん【郵便貯金】」『広辞苑 第六版』株式会社岩波書店、2008年1月11日。ISBN 9784000801218。"郵便局で扱う貯金事業。1875年(明治8年)創設。第二次大戦後の制度は1947年の郵便貯金法によって定められ、郵政省が所管。2003年より日本郵政公社が、07年より株式会社ゆうちょ銀行が運営。通常貯金・通常貯蓄貯金・定額預金・定期貯金などがある"。
- ^ a b 金田一春彦・金田一秀穂「―ちょきん【―貯金】」『学研 現代新国語辞典 改訂第五版』株式会社学研プラス、2012年12月19日、1444頁。ISBN 9784053036100。"ゆうちょ銀行でとりあつかう貯金事業。郵貯"。
- ^ a b “郵便貯金・金融商品のお取扱い” (HTML). ゆうちょ銀行. 株式会社ゆうちょ銀行 (2016年). 2023年2月9日閲覧。
- ^ “定額郵便貯金” (HTML). ゆうちょ銀行. 株式会社ゆうちょ銀行 (2016年). 2023年2月9日閲覧。
- ^ “定期郵便貯金” (HTML). ゆうちょ銀行. 株式会社ゆうちょ銀行 (2016年). 2023年2月9日閲覧。
- ^ 『郵便貯金の払戻金に関する権利消滅の防止について(概要) -行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-』(PDF)(プレスリリース)総務省、2008年9月8日 。2023年2月9日閲覧。"定期性の郵便貯金は機構に承継:約 131 兆円(平成 19 年 10 月1日)"。
- ^ ロイター (2015年3月31日). “焦点:ゆうちょ・かんぽの国債離れ、償還再投資見送りなら30兆円に”. ロイター (東京: Thomson Reuters Corporation) 2023年2月9日閲覧. "ゆうちょは民営化後の131兆7000億円(07年10月末)から22兆円4247億円(15年2月末)、かんぽも108兆4206億円(08年3月末)から63兆7414億円(14年3月末)となり、「安全運用の『縛り』が薄れつつある」(政府関係者)ことが、国債離れの背景にある"
- ^ a b “通常郵便貯金” (HTML). ゆうちょ銀行. 株式会社ゆうちょ銀行 (2016年). 2023年2月9日閲覧。 “「通常郵便貯金」と「通常貯蓄貯金」は、平成19年10月1日をもってゆうちょ銀行に承継され、それぞれゆうちょ銀行の「通常貯金」「通常貯蓄貯金」となりました。”
- ^ “通常貯金” (HTML). ゆうちょ銀行. 株式会社ゆうちょ銀行 (2016年). 2023年2月9日閲覧。
- ^ “通常貯蓄貯金” (HTML). ゆうちょ銀行. 株式会社ゆうちょ銀行 (2016年). 2023年2月9日閲覧。
- ^ 新村出「郵便貯金[ユウビンチョキン]」『ブリタニカ国際大百科事典 小項目電子辞書版』ブリタニカ・ジャパン株式会社 / Encyclopædia Britannica, Inc.、2008年3月。ISBN 9784000801218。"総務省郵政事業庁貯金部の傘下にある約2万の郵便局を活用して大衆零細貯金を吸収したもので,郵政事業民営化後も最も庶民に親しまれた貯金"。
- ^ “法律第百四十四号(昭二二・一一・三〇)” (HTML). 衆議院トップページ >立法情報 >制定法律情報 >第001回国会 制定法律の一覧. 衆議院 (1947年11月30日). 2022年3月18日閲覧。 “第四條(郵便貯金の業務に從事する官吏) 郵便貯金の業務に從事する官吏の身分、給與及び服務に關する事項は、別に法律でこれを定める。”
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