肩章 ショルダーストラップ

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肩章

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/21 08:00 UTC 版)

ショルダーストラップ

大将昇進を祝して参謀総長(左)と夫(右)にアーミーブルー・ユニフォーム用の新しいショルダーストラップを付けてもらうアン・ダンウッディ陸軍大将、2008年。

一般的には後述の帯状タイプを指す場合が多いが、アメリカ陸軍ではこのタイプのみをショルダーストラップと呼ぶ。

肩の線と直角(進行方向と平行)に取り付ける長方形の肩章で、フランス軍の常装に用いられていたものである。アメリカ陸軍やフランス軍、チリ陸軍(将官)等では現在でも使用されている。

日本陸軍でも、明治38年制式「陸軍戦時服服制」1905年)にて将校准士官・下士官兵ともにショルダーストラップタイプの肩章が階級章として定められ、翌1906年明治39年制式「陸軍軍服服制」および1912年明治45年制式(四五式)にも採用となった。

ショルダーループ

アーミーブルー・ユニフォームの米陸軍下士官。アーミーブルー・ユニフォーム用の肩章は、将校が上記のようにショルダーストラップだが、下士官・兵はショルダーループとなっている。

一般的にはショルダーストラップと呼ばれている。背嚢などの革帯を潜らせて安定させるという機能が重視されて発達したものである。帯状又は短冊形で、上着と同じ或いは類似した材質の布を肩側で縫い付け、襟側をボタンで留めるのが一般的であり、自衛隊では曹士用制服がこの方式である。民間で使用されているトレンチコートやミリタリー風シャツ、サファリジャケットの肩章もこの類である。上着が折り襟や開襟の場合、襟側端部が襟に隠れていることが多い。戦闘服に付いているものは上着と同じ布がほとんどだが、常装や礼装用の上着の場合、色違いの布を用いることもある。

常装用上着の場合、礼装用肩章と付け替えるために取り外し可能にしてあるものもある。この場合、礼装用肩章のための留め金通しを覆う形で、襟側は上記のものと同様にボタン留めし、肩側を飾緒用の隠しボタンに留めたり、自衛隊の尉官以上の制服に見られるように、マジックテープで留めたりする。これは主に将校のオーダーメード服に見られる。一方、戦車兵等は狭い所で突起物に引っかからないように全周を縫いつける場合もある。

士官の肩章としてはエポーレットやショルダーノッチが主流であった時代も、機能性がより強く要求される兵・下士官用の肩章はこのタイプが多く用いられた。かつては服生地の色とコントラストをなす鮮やかな色(兵科色等)が好んで用いられていたが、第一次世界大戦後は服生地と同色、あるいは同系のやや濃い色のものが主流になった。逆に正装が簡略化されたため、エポーレット等に代わってこのタイプの派手なものが付けられるようになったケースもある。特に第二次世界大戦後は士官用も含めてこのタイプが主流となり、現在に至っている。

このタイプは取り外すことが出来ないものがほとんどであり、洗濯の際階級章が支障となった。そこで、固着された肩章に通す筒状の階級章(アメリカ陸軍: Shoulder mark、アメリカ海軍: Shoulder board (soft))が生まれた。

冬服の航空幕僚長

日本の自衛隊の制服も、ほとんどこのタイプである。陸上航空自衛隊幹部は、冬服及び第1種夏服用の上着用を取り外し可能にしていることが多い。この場合、襟側はボタン、袖側はマジックテープにより固定されており、取り外すと2カ所のループ状の固定具があり、礼装用階級章はそこに金具を通すことで装着できるようになっている。また、陸上自衛隊の通常演奏服装用は刺繍を施した派手なもので、取り外し可能である。但し、装着方法は幹部用とは異なり、長い帯状の肩章を肩側に一カ所ある肩章通しの所で折って、両端を襟側のボタンで留めるようになっている。

筒状の着脱式階級章(自衛隊)は陸上・海上・航空自衛隊簡易制服と陸上・航空自衛隊の第2種及び第3種夏服、海上自衛隊の第2種夏服及び作業服に採用されている。

昭和期には日本海軍の士官特務士官准士官用の陸戦服および略衣(のち第三種軍装)にショルダーループが一時使用された。戦後の警察官の常装にはショルダーループが付き、礼装時にはショルダーノッチを着ける。

ショルダーボード

第3種夏服の海自海将とサマー・ホワイトの米海軍将官。
メスユニフォームのアメリカ空軍将官と将校及び下士官(左から)。陸軍でも同型のものが大佐以下の女性将校用として採用されている。

短冊形の板状で、襟に近い方の先端の形状が尖ったもの、台形状のもの、丸くなったもの等がある。台地の材質は厚手のラシャが一般的であり、そこにモールやしま織の布を貼り付けたり、刺繍が施してあるものが代用的なものである。装着方法はショルダーノッチと同様、縫いつけ式と留め金式がある。留め金式は着脱可能であるが、帯革固定の機能はない。

縫いつけ式のものは「ショルダーループ」との区別が曖昧であり、それらは「ショルダーループ」として、留め金式のものと「ショルダーノッチ」を合わせて「ショルダーボード」とする場合もある。

ほとんどの国の海軍士官夏服には、長方形に近い五角形で紺又は黒地に金線が入ったものが用いられている。かつては、海軍の礼装にはエポーレットが用いられていたが、現在ではほとんどの国で礼装にもこのタイプが用いられている。

第3種夏服の海将。

日本では、陸軍の明治19年制式1886年)下士官兵用被服にショルダーボードが付けられていた。このショルダーボードには所属連隊ないし大隊の隊号(連隊番号)が標記されていた(階級章は袖章、兵科は襟章)。のちの昭和13年制式1938年)下士官兵様被服ではショルダーボードが制定され、昭和18年改正の陸軍生徒・士官候補生被服には専用肩章が定められていた。

海軍では明治33年に士官特務士官准士官士官候補生用の第二種軍装における夏衣に採用された。陸海軍以外では、警察官び総督府文官の制服の正肩章がエポーレットタイプで、略肩章がショルダーボードであった。

戦後の海上自衛隊では、幹部用第1種及び第3種夏服と第2種礼装夏服に使用されている。また、海上自衛隊音楽隊の通常演奏服装には装飾としてこのタイプの肩章が付く。航空自衛隊では新しい礼服用階級章としてこのタイプが採用された。しかし、2009年頃は旧式のショルダーノッチタイプが依然として多く見られた。


  1. ^ Army Regulation 670–1
  2. ^ UNITED STATES NAVY UNIFORM REGULATIONS






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