第3世代光ディスク BDの普及およびフラッシュメモリ・ハードディスク・ネット配信との競争

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第3世代光ディスク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/26 14:03 UTC 版)

BDの普及およびフラッシュメモリ・ハードディスク・ネット配信との競争

ハイビジョン映像に対応したテレビの普及と共に第3世代光ディスクの需要も増えることが見込まれた。実際に2007年度の年末商戦では、規格争い中にもかかわらずBDレコーダーが販売シェアで2割、金額ベースで4割ほどを占めたとBCNにより発表された。特に第3世代光ディスク全体に対するBDの販売シェアは9割以上を占め、翌年の規格争い終結へとつながった。

第3世代光ディスクにおいてBDがデファクトスタンダードとなったのち、その容量を上回るUSBフラッシュメモリの登場と価格低下からフラッシュメモリと競合し、ハードディスクドライブSSDの大容量化と光ファイバー網、また5Gの広がりから、ネット配信クラウドストレージとも競合するようになった[28]

しかしハードディスクドライブは容量あたりの単価は安い[29]が、その構造上耐久性に問題が多い[30]。ネット配信によるオンデマンド配信も快適に楽しむには高速なネット環境が必要となる。特にストリーミング形式の場合、通信速度が低い場合はコンテンツの再生ができないこともある。

デジタルコンテンツの配信・保存に重要なコピー制御に関しても特にフラッシュメモリについては、特に家電向け据付録画機の分野において普及したコピー制御技術が日本では存在しないか主流となっておらず、そのためコピー制御の掛かっているデジタルコンテンツをフラッシュメモリに格納してやり取りすると言うスタイルは、携帯機器向けに品質を大幅に落としたダウンコンバートを施してコピーすると言う場合以外には、特に家電向け据付録画機の分野において一般的ではない。

一方BDは拡張、後継規格としてBDXLやUHD BDが開発され、UHD BDでは「CMP Export」と呼ばれる外部媒体コピー技術をサポートするが、BDでの放送の録画需要は日本国内にほぼ局在しており[31]、よってBDXL対応録画機器の流通も日本国内にほぼ局在している。

映像のネット配信は4Kの場合15から30 Mbps程度だが、激増するインターネットのトラフィックによるネットワークの混雑が足かせとなる。一方BDでは約54Mbps、UHD BDでは約92から123 Mbpsの安定したストリームをサポートできる。

以上のように記録媒体としてBDはフラッシュメモリ・ハードディスク・ネット配信と比較して利点はあるが、2020年代以降、無料で使用できるGoogle DriveなどのオンラインストレージサービスやSSD、フラッシュメモリーのさらなる低コスト化・大容量化に伴い、光ディスクが必要となる機会は減少し、PCでも光学ドライブを搭載しない機種が増えている[32]。AV分野に関しても、DVDやBlu-rayで映画が供給されるが、Amazon primeNetflixなどの定額制配信サービスの普及によりその使用機会は減っている。


注釈

  1. ^ ただしDVDへのAVCRECなど、ハイビジョンを録画可能な規格が出現した。
  2. ^ BD陣営はを素材の一部に採用したディスクを開発している。詳細はBlu-ray Discを参照。

出典

  1. ^ HD DVD事業の終息について - 東芝 プレスリリース 2008年2月19日
  2. ^ 【CES 08】HD DVD vs ブルーレイレスポンス
  3. ^ a b LG、初のBlu-ray/HD DVD対応コンボプレーヤーを公開CNET Japan
  4. ^ HD DVD陣営よ、引き際を知れ--消費者のために規格戦争の早期終結をCNET Japan
  5. ^ a b 規格争いは徒労に? Blu-ray/HD DVD両対応ドライブがついに発売日経XTECH
  6. ^ BDA 会員リスト
  7. ^ HD DVDプロモーショングループ 会員リスト
  8. ^ 米ワーナー、ブルーレイ単独支持・DVD規格争い、早期決着も - NIKKEI NET
  9. ^ Intel社、HD DVD/Blu-ray両方式のサポートを表明 - EDN japan 2007年9月19日
  10. ^ 次世代DVD製品購入における最重要ポイントは“画質”-みずほ情報総研ら調査。普及状況や価格も考慮 - Impress AV Watch 2007年6月4日
  11. ^ 北川 2003, pp. 70, 72.
  12. ^ 「パナソニック ハリウッドブルーレイテストセンター」を開設』(プレスリリース)パナソニック、2007年2月2日https://news.panasonic.com/jp/press/jn070202-32022年8月30日閲覧 
  13. ^ a b 北川 2003, p. 70.
  14. ^ a b c 北川 2003, p. 69.
  15. ^ Blu-ray Disc、Ascii.jp
  16. ^ デジモノ家電を読み解くキーワード:「次世代DVD統一」――なぜHD DVDは敗れたか、ITmedia LifeStyle
  17. ^ バンダイビジュアル、BD/HD DVD 11作品を7月より発売 - Impress AV Watch 2007年3月22日
  18. ^ a b NECエレ、HD DVDとBD両対応のLSIPC Watch
  19. ^ Samsung、BD/HD DVD両対応プレーヤーを年末商戦に投入ITmedia NEWS
  20. ^ Samsung、BDとHD DVDのコンパチプレーヤーを発売ITmedia NEWS
  21. ^ 片面HD DVD、片面Blu-rayの「Total Hi Def」発表ITmedia
  22. ^ Warner、HD DVD/Blu-rayを1枚にした「Total Hi Def」 AV Watch
  23. ^ 「1枚のディスクにBDとHD DVD」,Warnerが光ディスク「Total Hi Def」を発表日経XTECH
  24. ^ HDパッケージを強化するワーナー、「Total Hi Def」の詳細を発表ITmedia
  25. ^ 米Warner、「Total HD」ソフトの発売を2008年に延期 - ファイル・ウェブ 2007年6月29日
  26. ^ TotalHD gets the axe - EngadgetHD 2007年11月15日
  27. ^ Warner Bros.,片面でBlu-rayとHD DVDの両形式に対応可能な光ディスク特許を出願日経XTECH
  28. ^ 池田信夫 (2008年2月19日). “東芝のHD DVD撤退は「朗報」──パッケージメディアの終わりの始まり”. ASCII.jp. 池田信夫の「サイバーリバタリアン」 第4回. 角川アスキー総合研究所. 2022年8月17日閲覧。
  29. ^ HDD/SSD最安値情報【調査日:2008年3月6日】AKIBA PC Hotline! - ウェイバックマシン(2008年3月10日アーカイブ分)
  30. ^ 西田宗千佳 (2008年5月26日). “バックアップに何を使う?”. 朝日新聞デジタル. てくの生活入門. 朝日新聞. 2022年8月17日閲覧。
  31. ^ 西田宗千佳 (2015年8月21日). “Ultra HD Blu-rayは何を狙うのか”. マイナビニュース. 西田宗千佳の家電ニュース「四景八景」. マイナビ. 2022年8月17日閲覧。
  32. ^ Windows 11時代 徹底検証!パソコン選び10のポイント 2021年秋冬モデル 最新パソコン一挙紹介(1)”. NIKKEI STYLE. MONO TRENDY デジタル・フラッシュ. 日本経済新聞 (2021年11月9日). 2022年8月17日閲覧。


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