第3世代光ディスク 消費者の反応

第3世代光ディスク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/26 14:03 UTC 版)

消費者の反応

規格分裂は消費者にとって利益とならないため、規格争いが決着するまで購入を手控えている消費者が多いことが各種調査で指摘されていた[要出典]

互換性の確保

そのため市場ではHD DVDおよびBDの両方に対応する機器の開発およびパッケージソフトの発売をした。

DVDとの互換性

HD DVD・BDの再生/記録機器はDVDにも対応しているが、メディア側でも従来のDVD機器への互換性を保とうとする動きがある。HD DVDで製品化されているツインフォーマットディスクがその例である。

DVD版の同梱

バンダイビジュアルは「BD+DVD」または「HD DVD+DVD」の2枚組製品を発売することを決めた[17]

またこれらの製品は現在流通している「BD用ケース」または「HD DVD用ケース」ではなく主に市販のDVDに用いられるトールケースを採用しているため、一般的なBD/HD DVDソフトとはケースのサイズが異なり、判りづらいという指摘や、サイズを一般的な「BD(HD DVD)用ケース」に合わせてほしいという意見も多い[要出典]。その後、バンダイビジュアルは販売形態をBDに一本化し、「BD+DVD」で販売されていた製品をBD単品で再発売した。なお、OVAビデオアニメカーニバル・ファンタズムの1st Seasonから3rd Seasonまでの初回生産分が「BD+DVD」で発売された。

BD・HD DVD両対応機器

数少ない両規格対応ドライブ

2006年、NECエレクトロニクスがBDとHD DVDの両方に対応したLSIを発表[18]。その後LG電子サムスン電子がBDとHD DVDの両方を再生可能なプレーヤーを発表し、2007年前半に発売された[3][19][20]。またPC用のBD記録再生・HD DVD-ROM再生に対応したドライブが製品化され、2007年後半以降に市場に出回っている[5]

双方の書き込み規格に対応可能なピックアップレンズやLSIが製品化されている[18]が、HD DVDは書き込み規格の製品化が進まないまま2008年3月で終息し、双方の書き込みに対応するドライブやレコーダーは未発売のままとなった。

Total Hi Def

2007年1月、両規格を支持するワーナー・ブラザースがBD・HD DVDの双方を両面に記録した再生専用ディスクTotal Hi Def(トータルハイデフ、略:Total HDTHD)を発表した[21]Total Hi Def DiscTotal Hi Defディスクとも表記される[22][23]

しかし以下のような理由で多くの冷ややかな反応・批判を受けていた[24]

  • 製造コストが極めて高いとされ、実売価格も高く設定されるとすれば消費者に余分な負担を強いることになる。
  • ワーナーはHD DVD・BDの片面ディスクも併売すると発表していた。同じ映画タイトルでHD DVD・BD・THDの3種類の次世代ディスクが発売されれば流通業者に余計な負担がかかることになり、当然消費者にも混乱を与える。
  • THDの製品化以前に発売された再生機器との互換性に疑問が残る。
  • 両面記録メディアのため「レーベルが印刷できない」、「取り扱いに注意を要する」などの難点。

これらの反響を受けてか、ワーナーは2007年6月、同年後半としていたTotal Hi Defの発売を2008年に延期した[25]

さらに2008年1月にワーナーがHD DVD撤退を発表し、Total Hi Defソフトが継続的に発売される可能性はほぼ無くなった。開発が既に打ち切られたとの報道もなされた[26]

なお、ワーナーでは片面にBD、HD DVD、DVD、CDのいずれか2規格の記録面を持つことのできる光ディスクの特許も出願した[27]が、製品化されていない。


注釈

  1. ^ ただしDVDへのAVCRECなど、ハイビジョンを録画可能な規格が出現した。
  2. ^ BD陣営はを素材の一部に採用したディスクを開発している。詳細はBlu-ray Discを参照。

出典

  1. ^ HD DVD事業の終息について - 東芝 プレスリリース 2008年2月19日
  2. ^ 【CES 08】HD DVD vs ブルーレイレスポンス
  3. ^ a b LG、初のBlu-ray/HD DVD対応コンボプレーヤーを公開CNET Japan
  4. ^ HD DVD陣営よ、引き際を知れ--消費者のために規格戦争の早期終結をCNET Japan
  5. ^ a b 規格争いは徒労に? Blu-ray/HD DVD両対応ドライブがついに発売日経XTECH
  6. ^ BDA 会員リスト
  7. ^ HD DVDプロモーショングループ 会員リスト
  8. ^ 米ワーナー、ブルーレイ単独支持・DVD規格争い、早期決着も - NIKKEI NET
  9. ^ Intel社、HD DVD/Blu-ray両方式のサポートを表明 - EDN japan 2007年9月19日
  10. ^ 次世代DVD製品購入における最重要ポイントは“画質”-みずほ情報総研ら調査。普及状況や価格も考慮 - Impress AV Watch 2007年6月4日
  11. ^ 北川 2003, pp. 70, 72.
  12. ^ 「パナソニック ハリウッドブルーレイテストセンター」を開設』(プレスリリース)パナソニック、2007年2月2日https://news.panasonic.com/jp/press/jn070202-32022年8月30日閲覧 
  13. ^ a b 北川 2003, p. 70.
  14. ^ a b c 北川 2003, p. 69.
  15. ^ Blu-ray Disc、Ascii.jp
  16. ^ デジモノ家電を読み解くキーワード:「次世代DVD統一」――なぜHD DVDは敗れたか、ITmedia LifeStyle
  17. ^ バンダイビジュアル、BD/HD DVD 11作品を7月より発売 - Impress AV Watch 2007年3月22日
  18. ^ a b NECエレ、HD DVDとBD両対応のLSIPC Watch
  19. ^ Samsung、BD/HD DVD両対応プレーヤーを年末商戦に投入ITmedia NEWS
  20. ^ Samsung、BDとHD DVDのコンパチプレーヤーを発売ITmedia NEWS
  21. ^ 片面HD DVD、片面Blu-rayの「Total Hi Def」発表ITmedia
  22. ^ Warner、HD DVD/Blu-rayを1枚にした「Total Hi Def」 AV Watch
  23. ^ 「1枚のディスクにBDとHD DVD」,Warnerが光ディスク「Total Hi Def」を発表日経XTECH
  24. ^ HDパッケージを強化するワーナー、「Total Hi Def」の詳細を発表ITmedia
  25. ^ 米Warner、「Total HD」ソフトの発売を2008年に延期 - ファイル・ウェブ 2007年6月29日
  26. ^ TotalHD gets the axe - EngadgetHD 2007年11月15日
  27. ^ Warner Bros.,片面でBlu-rayとHD DVDの両形式に対応可能な光ディスク特許を出願日経XTECH
  28. ^ 池田信夫 (2008年2月19日). “東芝のHD DVD撤退は「朗報」──パッケージメディアの終わりの始まり”. ASCII.jp. 池田信夫の「サイバーリバタリアン」 第4回. 角川アスキー総合研究所. 2022年8月17日閲覧。
  29. ^ HDD/SSD最安値情報【調査日:2008年3月6日】AKIBA PC Hotline! - ウェイバックマシン(2008年3月10日アーカイブ分)
  30. ^ 西田宗千佳 (2008年5月26日). “バックアップに何を使う?”. 朝日新聞デジタル. てくの生活入門. 朝日新聞. 2022年8月17日閲覧。
  31. ^ 西田宗千佳 (2015年8月21日). “Ultra HD Blu-rayは何を狙うのか”. マイナビニュース. 西田宗千佳の家電ニュース「四景八景」. マイナビ. 2022年8月17日閲覧。
  32. ^ Windows 11時代 徹底検証!パソコン選び10のポイント 2021年秋冬モデル 最新パソコン一挙紹介(1)”. NIKKEI STYLE. MONO TRENDY デジタル・フラッシュ. 日本経済新聞 (2021年11月9日). 2022年8月17日閲覧。





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