発泡プラスチック
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課題
フロンガス問題
ビーズ発泡PSフォームを除き、気泡形成を行なうには、かつてフロンガスが大量に使われ、特に特定フロンと呼ばれるオゾン層破壊に強い影響を与えるCFC-11、CFC-12、CFC-113が利用されていた。1989年の推計では発泡用に使われる特定フロンの22%、CFC-11に限れば72%が発泡用で消費された[35]。これらはフロン使用禁止法令の施行に伴い代替フロンや発泡剤ガスおよび炭化水素類に切り替わっている。最終的には一部実用化しているイナートガス(不活性ガス)への変更が望まれている。
その一方で、かつて建築用断熱材の現場施工で用いられた材料には気泡内にフロンガスが残留し、時を経て大気中に放散されている問題もある。日本政府は解体工事において、現場吹き付けの硬質PURフォームはフロンを含むものという前提を置き、またブロック発泡PSフォームについても製造会社や製品名を事前調査し、適切な回収処理に当たるよう指針を出している[36][37]。回収後、フロンごと、または分離処理されてから破壊処理が行われる[36]。
再利用問題
合成樹脂はごみではなく石油化学資源として再利用しなければならない[38]。1992年11月には日本・アメリカ・ドイツ・オーストラリアの4カ国がPSフォームのリサイクルについて情報交換を密にして積極推進することで合意するなど、国際的な枠組みでも取り組みが行われている。一般に見られる白いPSフォーム(発泡スチロール)は着色料や加工助剤などが使われていないため、再利用には適した材料である。
PSフォームは、家電用は販売店を、魚箱用は公共卸売市場を通したリサイクルシステムが構築され、PSPではスーパーマーケットや消費者団体または自治体が主体となった回収が浸透している。運送効率を向上させるスクラップの減容も、加熱し半溶融状態にするなどの方法が取られ、1/20 - 1/50への体積圧縮が施される。PSフォームのマテリアルリサイクルとサーマルリサイクル合計の再生利用率は80 %を超える[39]。
その一方で水に浮くという性質から目立つ漂流・漂着ごみとなり[40]、さらに自然分解されず生態系への影響が懸念されるとして、海洋汚染問題の原因ともなっている[41]。
火災問題
1995年栃木県で起こった多目的ホール建設工事の火災[42]、2003年のロードアイランド州ナイトクラブ火災[43]、2009年の中央電視台電視文化センター火災[44]と、当断熱材料の燃焼による火災となった例が多く報告されている。労働省は工事計画や施工において火災発生を防止する対策を関係団体に要請するなど対応を取っている[42]が、難燃加工が施されていないものを使用したり、ファイヤーストップ機能を備えない設計がなされた既存建築物なども多く、潜在的な問題が残されている[45]。また、日本工業規格SA1321難燃性3級準拠のものでも特定の条件下では燃焼する可能性があり、火気管理の徹底が求められている[42]。
注釈
出典
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