発泡プラスチック
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その他
シリコーンフォーム
シリコーンフォーム(SIフォーム)の開発は、1975年にアメリカで起こったブラウンズフェリー原子力発電所の火災事故を契機に始まった。貫通孔のシールに難燃性硬質PURフォームを使用していた発電所は、気密性の確認にろうそくをかざして炎のゆれを目視する手段を取っていたが、この炎がフォームに引火して大火災となり[34]、総額2億ドルに達する損害を被った。これを受けてアメリカ合衆国原子力規制委員会は使用材料に3年間の耐火性を備える指針ASTM-E119を設け、この規格を満足する材料としてダウ・コーニングが常温硬化(RTV)型SIフォームを開発した。
高比率の無機充填剤を加えたシリコーンオリゴマーを白金やロジウム系触媒存在下で混合し、重合とともに発泡させるSIフォームは現場施工に対応し、またブロック発泡も可能である。独立気泡でゴム弾性を持ちながら、酸素指数値30 -40でUL規格V-0を取得したSIフォームは優れた難燃性と耐炎性を持ち、プラントやビルの貫通孔充填剤として、また航空宇宙工学分野でも使用されている。
ポリ塩化ビニルフォーム
熱可塑性汎用樹脂の中で最も古く工業生産が始まった塩化ビニル(PVC)は、1940年代にはフォーム(PVCフォーム)が上市された。初期は可塑剤を用いた連続気泡の軟質PVCフォームが普及し、以後に独立気泡や硬質PVCのフォームも開発され、発泡倍率も多様に揃った。
PVCフォームは主に有機または無機の分解型発泡剤や、安定剤、不燃特性を与えるための充填剤、着色剤などを加えたPVCを加熱発泡させる。懸濁重合PVCを用いる場合は溶融発泡成形法を用いて成形される。それに対し乳化重合PVCは直径数ミクロンの微細粒子状(ペーストレジン)の形状を利用し、これを可塑剤に溶かして流動性を持たせ、型やシート上で加熱して発泡成形することができる。軟質PVCフォームはパッキングやレザー、壁紙、床材、印材などで用いられる。硬質PVCフォームは断熱材用や建材、家具などで利用される。
ユリアフォーム
熱硬化性樹脂のユリア樹脂(尿素樹脂 - UL)は古くから開発されフォームもコルク代替として製造されていたが、建築物の断熱材には現場発泡法が開発されたにもかかわらず硬質PURフォームが主流を占め、また元々強度や衝撃強さに劣り加水分解することも広い普及への阻害となり、限定的な採用に留まっている。
1970年代にドイツのBASFが親水性と分解性を逆手に土壌改良分野での用途開発を進め、1972年にオリンピックが開催されるミュンヘンの都市緑化に使用された。競技場周辺の植栽時に土壌に注入され、保水性と通気性を高めニレなど樹木の育成に効果を上げた。これら農業分野での展開は芝育成土壌や寒冷期に樹木の根を守る断熱材という検討がなされたが、用途の広がりには至っていない。
アクリルフォーム
アクリルフォームは強靭で耐光性に優れた性質を持ち、耐薬品性にも優れる。積水化学工業やドイツのローム(Röhm)が実用化した。経済性から普及は限定的だったが、接着用両面テープ基材などに使用される。
ポリイミドフォーム
ポリイミド(PI)を用いたフォームは、素材の特性を生かした耐熱・耐寒性を特徴とし、また難燃性や吸音性も有している。1968年頃から芳香族ジカルボン酸無水物に、芳香族ジアミンもしくは芳香族ジイソシアナートを反応させ、得られた中間体を電子オーブンで加熱して発泡させたブロックを切削して成形する。船舶や自動車およびなどでエンジンの吸音と断熱用途の他に、音響機器分野や航空宇宙工学分野でも用いられる。
EPDMフォーム
エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を発泡させたEPDMフォームは不飽和基を持たず、耐候性や耐オゾン性に優れる。難燃化が容易で、気密・水密などシール性に優れる性質も備えている。この点から、電子電器機器、自動車、建築分野などにて防水・気密・断熱用材料として採用される。
注釈
出典
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