発泡プラスチック
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ポリエチレンフォーム
PSフォームと比較し、吸水性が低く低温での脆性破壊が起きにくく、切削など二次加工が容易であり、また可撓性を持ちながら圧縮強度に優れるポリエチレンフォーム(PEフォーム)は、1958年にアメリカのダウ・ケミカルが高発泡の無架橋押出製造技術を確立[25]、窒素含浸発泡は1960年にイギリスのExpanded Rubberが[26]、発泡剤を用いる製法は1962年に日本の古河電工が開発した[27]。以後、数多いメーカーによってPEフォームの製造方法やプロセス開発が進められた。
- 原材料
- PEフォームには、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、リニアポリエチレンのいずれもが原料として使用され、さらにエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)やエチレン-プロピレン共重合体も用いられる。発泡剤は、分解型有機系ではアゾジカルボンアミドやN,N-ジニトロソペンタメチレンテトラミンなど、揮発性ではブタンやペンタンなどの炭化水素類またはハロゲン化炭化水素類、不活性ガスでは二酸化炭素や窒素などが使われる。架橋発泡法における架橋剤には、ジクミルパーオキサイドなど有機過酸化物系が使用される。
- 製法・性能・用途
- 溶融発泡成形では、あらかじめPEに発泡剤など原料を混練したものを再度加熱する手法が取られる。架橋が必須となり、方法も電子線と化学架橋の二種類がある。発泡シートを得るには、あらかじめ各種原料をソリッドのシートとして成形し、次工程でこれに電子線を放射して架橋した後に加熱発泡させ連続的に成形する。加熱方法も縦置きの炉に上からシートを通して発泡させる形式と、混塩など熱媒で満たした浴槽に浸漬して発泡し洗浄工程を得て製品を得る形式がある。各種の断熱・シール用として土木建築分野で使用される他、パイプ状に二次加工が施され水道やエアコンなどの配管断熱材としても使われる。また、耐水性から水周りで使われる玩具類もPEフォームが採用される。
- 化学架橋では、架橋剤を添加したシートを用い、もっぱら横置きの炉が用いられる。自由発泡法[28]は炉内で加熱する工程こそ支持用ベルトが設置されているが、発泡する部分はエアークッションでの垂れ下がり防止と自由回転ロールでの補助のみで、発泡は支持が無い自由な状態で行われる。ベルトコンベアー上発泡法[29]は、無数の小穴がついたエンドレスベルトコンベアーの上で加熱発泡させる。これらのシートは気泡がシートの長手方向に延伸されるため、異方性を持つ。これもシートの特徴を生かした断熱用途や、独立気泡型ではサッシのガラス板止め目地にも用いられる。
- 化学架橋ブロック発泡は、一段法と二段法がある。一段法(加圧一段発泡法)では、テーパーがついた金型内部にコンパウンドされた各種原料を投入し、加熱加圧して発泡剤や架橋剤を分解させる。そして金型を開放すると発泡が一気に起こり、フォームが飛び出す。この方法では急激な発泡時にクラックが生じるため15倍を超える発泡品は得られない。二段法ではあらかじめ加熱加圧発泡を施した中間体を製造し、次に常圧下でさらに加熱して成形品を得る。これらブロック成形フォームは表面に気泡を含まない層が残るためスライスして用いなければならないが、逆に二次加工で寸法の調整が行われるために幅広い梱包用途で採用されている。
- その他、以下のような製法がある。ビーズ法はEPSに準じ、成形装置は同じものが使える。架橋させない押出発泡法もXPSやPSPの方法で製造される。無架橋フォームは果物の包装用で広く用いられている。窒素ガス含浸法は、化学架橋させたPEシートを160℃下、密度380kg/ cm3の窒素ガスで4時間加熱加圧し、一旦除圧冷却後再び100 – 130℃に加熱して発泡シートを得る。この方法では均一な気泡フォームを得ることができ、異方性も抑えられる。
注釈
出典
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