特別救助隊 横浜市消防局の特別救助隊

特別救助隊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/08 07:04 UTC 版)

横浜市消防局の特別救助隊

横浜市消防局の特別救助隊のYRマークの入った救助工作車
横浜市消防局能見台特別救助隊の機動震災救助車

横浜市消防局は戦後の開発や高度経済成長期の突入で都市環境が急速に変化したことから、様々な事故で人命救助活動の必要性が増すと想定し、どんな困難な状況にも対応できる不屈のレンジャー精神を養うために1963年7月より一部の消防隊員を陸上自衛隊富士学校に派遣し、レンジャー技術を習得させ始め[18]米軍消防の装備を参考に油圧式救助器具や空気呼吸器等の装備を導入した。

1963年11月9日には横浜市で発生した鶴見事故において、陸上自衛隊で訓練を終えた横浜市消防局の第一期生の隊員達が出動し、人命救助に活躍した事を受けて横浜市消防局は1964年8月20日に、救助課を新設し人命救助の専門部隊として中消防署伊勢佐木出張所に「消防特別救助隊(通称:横浜レンジャー)」を創設した[19]。さらに1967年には市内に兼任救助隊を10隊配置した[20]

1975年6月に伊勢佐木消防出張所の消防特別救助隊を特別消防隊(特消(とくしょう))に、1982年4月に兼任救助隊10隊を救助隊(後に18隊に増強)にそれぞれ改称した。さらに、1983年に4月に特別消防隊を市民防災センターに配転した。阪神・淡路大震災を教訓として1997年には機動救助隊(スーパーレンジャー)を設置[21]

2008年10月に市民防災センターの特別消防隊と中消防署本牧和田消防出張所の機動救助隊を統合し「特別高度救助部隊(通称:スーパーレンジャー=SR)」[22]を発隊させ、2010年に市内の18消防出張所の救助隊も「特別救助隊(通称:横浜レンジャー=YR)」に改称した。

なお、横浜市消防局では日本で最初に消防救助隊を創設した際に陸上自衛隊レンジャーに隊員を派遣した経緯からレスキューではなくレンジャーと呼称している。

横浜市消防局は救助隊の養成や技術の維持・開発に力を入れているために、毎年、救助隊員を対象に10日間の技術測定試験を行っており、技能が基準に満たなければ即時外され消火隊へ異動となる。そのため、北海道から九州まで全国の消防本部から救助隊が研修に訪れており創設にも携わっている。また毎年、全国各地域で選抜された救助隊員によって「全国消防救助技術大会」が開催されているが、この大会も横浜市で生まれた。


注釈

  1. ^ ポンプ隊の執務服は橙と紺の、救急隊は灰色と白のツートーン
  2. ^ 山口県消防学校救助科は自衛隊及び県警機動隊の隊員を受け入れており、埼玉県や神奈川県、千葉県の消防学校救助科や川越地区消防局も警察の機動隊員を受け入れている。海上保安庁特殊救難隊は東京消防庁特別救助隊から指導を受けて創設されており、現在も消防機関から指導をされている。鳥取西部消防局高度救助隊は管内の陸上自衛隊航空自衛隊、海上保安庁等の隊員と合同訓練を行い救助技術の指導にあたっている
  3. ^ 戦前は消防は警察の一部であり、消防組織法の施行に伴い分離され東京消防庁が発足したのは戦後の1948年である
  4. ^ 考案者でドレーゲル社を興したヨハン・ハインリッヒ・ドレーゲルにちなむ
  5. ^ 戦前は消防は警察の一部であり、消防組織法の施行に伴い分離され東京消防庁が発足したのは戦後の1948年である

出典

  1. ^ 消防士の活動服
  2. ^ 救助隊の服装
  3. ^ 総合的消防力の整備方針 (PDF:20KB) - 仙台市
  4. ^ a b 東京消防庁特別救助隊
  5. ^ 消防救助隊と自衛隊が合同訓練
  6. ^ 消防本部と自衛隊で合同救助救出訓練を実施しました
  7. ^ 建て替え前の豊四季台団地で都市型災害対応訓練を実施
  8. ^ 山口県山口市 第42期山口県消防職員専科教育救助科
  9. ^ “海猿”特殊救難隊レポート
  10. ^ a b 日本で消防特別救助隊の「地獄式」訓練を体験―中国紙
  11. ^ 神田消防署後援会、警視庁消防部へ救助車、救助用具一式を寄贈-専任救助隊設置へ(80年前)1933年(昭和8年)6月10日
  12. ^ プロジェクトX 4Kリストア版「ホテルニュージャパン伝説の消防士たち」”. NHK (2021年5月4日). 2021年5月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月5日閲覧。
  13. ^ 東京消防庁#特別救助隊
  14. ^ 「東京消防庁五十年のあゆみ」より
  15. ^ 特救を志し5回挑戦したが通過出来ず、後に新聞記者となった元消防隊員の記録。消防官たちは、こうやって鍛えている 懸垂にやたらとこだわる理由 withnews、朝日新聞・仲程雄平
  16. ^ 東京消防庁特別救助技術研修に密着
  17. ^ 災害防除
  18. ^ 1963年(昭和38年)の主な出来事
  19. ^ 1964年(昭和39年)の主な出来事
  20. ^ 1967年(昭和42年 )の主な出来事
  21. ^ 1997年(平成9年)の主な出来事
  22. ^ 横浜市就職セミナー
  23. ^ 名古屋消防史、P.238
  24. ^ 京都市消防局:平成27年5月号 あの日あの頃
  25. ^ 平成24年 消防年報(平成25年刊行)
  26. ^ 25年度消防年報(PDF:4503KB) - 千葉市
  27. ^ 救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令


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