水中翼船 日本国内の水中翼船

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水中翼船

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/30 02:57 UTC 版)

日本国内の水中翼船

日本では1960年代に商業用半没型水中翼船が相次いで登場している。新明和工業の小型船(約15人乗)、三菱造船下関の小型・中型船(80人乗)、日立造船神奈川の小型~大型船(130人乗)がそれである。

とりわけ、シュプラマル社のライセンス契約により水中翼船を建造していた日立造船神奈川は、型式PT20(70人乗)やPT50(130人乗)を中心に50隻ほどの水中翼船を生産し、これらは瀬戸内海を中心に運航された。代表的な運航会社として、瀬戸内海汽船石崎汽船阪急汽船名鉄海上観光船等がある。また東海汽船による東京湾横断航路でも使われていたため首都圏でも見ることができた。

しかし、低燃費で高速航行が可能な反面、の影響を受け乗り心地が悪い上に維持コストが高く、水中翼の接触を防ぐ専用の接岸施設のない港に入港することができない等の欠点があり、次第に他の高速船やジェットフォイルにシェアを奪われていった。

1999年5月9日、石崎汽船の松山尾道航路の最終運航を以って、半没型水中翼船は国内定期航路から姿を消した。この航路で1997年12月まで活躍した「金星」(1966年日立神奈川製、PT20)が、広島県呉市2005年(平成17年)に開館した海事博物館(大和ミュージアム)に2014年まで屋外展示保存されていた。

その後日本国内ではジェットフォイルが多く利用されている。これは、高速軍用艇向けに開発された技術を民間移転したもので、折りたたみ式の水中翼を持つ水中翼船の一種であり、コンピュータによる姿勢制御装置を持ち、耐荒天性能や乗り心地を改善している。

小型船では、ヤマハ発動機1988年東京国際ボートショーに二人乗り全没型水中翼船「OU-32」を出展したが、市販されることはなかった[10]

海上自衛隊1993年から95年にかけて、全没型水中翼式の1号型ミサイル艇(PG)3隻を建造した。これもジェットフォイルをベースとしたイタリア海軍スパルヴィエロ級ミサイル艇をタイプシップとしたものである。


  1. ^ 「人力水中翼艇」サイエンス1987年2月号、日本経済新聞社など
  2. ^ http://moth-sailing.org/
  3. ^ え?ヨットって飛ぶの!?空飛ぶヨットを徹底解剖! - ソフトバンクニュース・2016年11月9日
  4. ^ THE AMERICA'S CUP CLASS AC75 BOAT CONCEPT REVEALED - アメリカスカップ公式サイト・2017年11月20日
  5. ^ フォイル vs 非フォイルの戦い。大西洋アフリカ沖を南下して赤道地帯へ - BULKHEAD magazine Japan・2016年11月14日
  6. ^ hovercraft-museum.org. “Musthorn1”. 2009年9月9日閲覧。
  7. ^ Diego Brozzola. 1999. Aerei Italiani - "Il mio Idroplano" (Italian) 2009-12-10閲覧
  8. ^ SRI International (1961年). “The Economic Feasibility of Passenger Hydrofoil Craft in U.S. Domestic and Foreign Commerce.”. 2009年9月9日閲覧。
  9. ^ foils.org. “Enterprise”. 2009年9月9日閲覧。
  10. ^ ヤマハ 30年を経て湖上に蘇った夢の「水中翼船」”. ワールドジェットスポーツマガジン社. 2023年1月30日閲覧。


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