日本の公務員 一般職の採用、任用

日本の公務員

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/25 20:23 UTC 版)

一般職の採用、任用

国家公務員法、地方公務員法はともに、一般職の職員(一般職に分類される職(国家公務員にあっては官職ともいう)にある公務員のこと)の任用は、公開の競争試験(一般に「公務員試験」と総称されている)に基づいて行うことを原則としている。

採用試験に合格した者はいったんは「採用者候補名簿」に登載され、その上で国や地方公共団体の定員補充として採用されることになる。このため、「公務員試験に合格=公務員に内定」ではない。

なお、通常の採用試験では適格者を得がたい場合には、任命権者は、適任者を選考によって採用することも可能である。選考を公開の試験によって行う場合、これを選考採用試験という。

採用後は守秘義務等を厳正に遵守することが求められる代償として、また権力者の意向によって恣意的に罷免される(つまり大臣や首長の胸先三寸でクビにされる)ことがないようにするため、本人の事情により退職する場合のほか、基本的には懲戒または分限処分によらず免職されることはない。

公務員は、「安定している」「整理解雇(公務員の場合は定数減に伴う分限免職)がほとんどない」「休みもきちんとある」等の理由から、特に不況時には人気の職業となる。右肩上がりの成長を多くの国民が期待しなくなった今日、税収が落ち込み、天下り規制法、待遇面(福利厚生の削減)の悪化、人員削減とそれによる労働強化(サービス残業の常態化)、給与の伸び悩み(昇給抑制、ベースの引き下げ)、正規から非正規雇用への置き換えが続く現在にあってもなお、2004年以降で国家公務員、地方公務員ともに公務員採用試験の受験者数は増加している[1]。国家公務員、地方公務員共に、民間同様、中途採用や受験時の年齢制限拡大、撤廃等の改革が進んでいることも受験者数増加の一因である。


注釈

  1. ^ 第19条 この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。
  2. ^ 「職務上の命令」には、現場における命令や、組織の長等による通達等による組織の指揮監督としての命令、上部機関による訓令国家行政組織法14条2項)を含む。
  3. ^ ただし、上司の職務上の命令は、その内容が法規に抵触しないことの要求を具備することを要する。この事に反し、その内容が法律上不能である場合、重大かつ明白な瑕疵がある場合(法に反し重大かつ明白な瑕疵がある例としては、例えば、検事正が公務員の汚職の罪の告発を受理しないよう検察官に命じる等)は、職務命令は無効となり、受命公務員を拘束する力を持たない。この事が示されたものとしては、例えば、昭和25年1月30日付人事院公平局世話課長世話甲第19号での「法第九十八条の職務命令に従う義務について」や、東京高裁昭和47年(行コ)第22号 免職処分取消請求控訴事件 昭和49年5月8日 判決 棄却(上告審 最高裁判所第三小法廷 昭和49年(行ツ)第79号 懲戒免職処分取消 昭和53年11月14日 判決 棄却 集民125号565頁)(伊藤校長事件)、などがある。
  4. ^ それぞれの宮家で私的に雇い、雇用者である皇族の「御手元金」から給料が出る家庭内労働者の人達は宮内庁職員ではない。

出典

  1. ^ WEB特集 「非正規公務員」の声に向き合ってほしい - NHK
  2. ^ 国家公務員法第十六条
  3. ^ 労働基準法第二条、第十四条第二項及び第三項、第二十四条第一項、第三十二条の三から第三十二条の五まで、第三十八条の二第二項及び第三項、第三十八条の三、第三十八条の四、第三十九条第六項から第八項まで、第四十一条の二、第七十五条から第九十三条まで並びに第百二条の規定
  4. ^ a b OECD goverrnment at a glance 2019, OECD, (2009), doi:10.1787/8ccf5c38-en. 
  5. ^ Public employment and management Production costs in general government
  6. ^ OECD.StatExtracts LFS by sex and age
  7. ^ Government at a Glance 2013 PUBLIC SECTOR EMPLOYMENT AND PAY
  8. ^ a b 国家公務員法 第六十条, 地方公務員法 第二十二条の三
  9. ^ 地方公務員法 第二十二条の二
  10. ^ a b OECD Factbook 2014: Economic, environmental and social statistics, OECD (2014)





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