富山敬
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エピソード
出演作に関して
初の主演作となった『佐武と市捕物控』の佐武役は、1978年に一番思い出深い出演作として挙げている。また、当時は大人向けを意識したものの視聴率の問題などで実現できなかった部分があり、スタッフに再会するとその都度「ちゃんと大人の鑑賞に堪えうる作品」にしての続編やリメイクを切望していたという[4]。
「タイムボカンシリーズ」では、「説明しよう!」で始まるナレーターをはじめ、おだてブタ、ささやきリポーター等多くのキャラクターを担当。このうち『逆転イッパツマン』では、主役のイッパツマン(豪速九)の声を担当した。また作中では、富山自身をモデルにデザインされた「トミー・ヤマ」というキャラクターも登場した。『ゼンダマン』には、一度だけ富山の娘がゲスト出演したことがある。
洋画吹き替えでは、持ち役のリック・モラニスをはじめ、ロディ・マクドウォールやマーティン・シーン、スティーヴ・マーティン、ウディ・アレン、ウィリアム・カット、エディ・マーフィ、デニス・ホッパー、チャールズ・マーティン・スミス、ジョン・ハード、ジェームズ・ベルーシ、アントニオ・ファーガスなどを担当していた。
吹き替えは、常に「映画を日本語で視聴者により深く理解してもらうための手助けの役割だ」と心にとめていた[10]。自身が吹き替えを担当する俳優は「皆演技がうまいため、安心してアテられていた」とする一方、表情が乏しい俳優の場合は苦労したという[10]。
富山がエディ・マーフィを吹き替えた『ビバリーヒルズ・コップ』(テレビ朝日版)は同業者間でも評価が高く、例として花輪英司(後に『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ』のコンプリート ブルーレイBOX追加収録部分で富山の代役を務めた)は「俺のバイブル」と称し、DVD収録を熱望していることを自身のTwitterで明かすなど、現在もなお根強く支持されている[29][30][31][32]。
『ちびまる子ちゃん』のさくら友蔵役はオーディションではなくオファーで決められた。担当スタッフによると、当時50歳を過ぎたばかりの富山にとって相当な老け役だったため断られるのではないかと懸念していたが、いざオファーを出すとすんなり了承してくれたという[33]。
『銀河英雄伝説』のヤン・ウェンリー役に関しては、反対に富山が当時青年役をほとんど演じていなかったことから音響監督の明田川進が難色を示し、富山のイメージに近い若手でオーディションを行なったものの該当者が見つからなかったことで、最終的に富山を起用することになった[34]。富山自身も、当時ファンから二枚目の主役を演じて欲しいという要望を受け取ってはいたが、多くの後進が台頭する中で世代交代を意識していたため最初はかなり抵抗があったという。だがその後、ファンからの励ましの手紙をもらい嬉しかったといい、次第とその気になり抵抗がなくなったと語っている[16]。
事務所との関係
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河の会が解散した際、納谷六朗を通して、江崎プロダクション(現:マウスプロモーション)社長の江崎加子男(現:アイムエンタープライズ社長)を訪ねたが、「うちは納谷六朗を売ってるから難しいよ」と断られ、青二プロダクションを紹介される[35]。富山の没後、江崎は「出来る事なら自ら富山も売りたかった。だから、青二に任せた後もヤマトで飛躍した時は我が子のように嬉しかった。富山をもっと自分の手で売りたかった。あいつともっと仕事がしたかった……」と語っている。
1979年に青二プロダクションを退社しぷろだくしょんバオバブへ移籍した際には事務所の設立そのものにも関わった。だが、この動きは円満な形ではなかったことから両社の間に確執を生むこととなり、バオバブ所属声優は2000年代初頭まで東映アニメーション制作作品に出演できない[注釈 4]事態となってしまう。そんな状況にもかかわらず、富山だけは『あさりちゃん』(浜野イワシ役)や『夢戦士ウイングマン』(北倉俊一 / キータクラー役)、『ゲゲゲの鬼太郎(第3作)』(ねずみ男役)などの東映作品にレギュラー出演していた。
仕事に対する姿勢
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声をあてた人間が素顔をさらすと、視聴者に対するそのキャラクターの印象を変えかねないとの配慮から、「声優は表に顔を出すものではない」とも語っていた。ただし歌手・ナレーターとしてはレコードジャケットなどに顔写真を載せていた他、「タイムボカンシリーズ」では自身がモデルのキャラクターが登場していた。また、1988年によみうりテレビが開局30周年で放送した特番『よみうりテレビ・アニメ30年史』にゲスト出演してホスト役の神谷明と対談した際に、『タイガーマスク』で伊達直人役を演じていた当時、あるクイズ番組で伊達直人役が誰かというのを当てさせる問題に出演したことを語っている[注釈 5]。
仕事第一主義の人物として知られている。1994年頃から体調が悪くなっていたが「自分が休むことで他人に迷惑がかかる」と体調をおして仕事を優先しており、1995年8月21日に倒れた際もやはり仕事を優先しようとしていた。
本人によれば「教えるのはあまり得意ではない」という理由から、声優養成所の講師など後進の育成や指導にはあたっていなかった。
シリーズ一覧
注釈
- ^ O型と書かれた資料もある[4]。
- ^ 後半で病気により降板し、34話より井上真樹夫に後任を譲っている。
- ^ 初の受賞者は古谷徹だった。
- ^ 東映アニメーションは青二プロダクションとの関係が深いことで知られている。富山の生前時は、ほぼ全ての作品において青二プロダクション所属声優を独占的に起用していたほどであった。
- ^ この時は回答者の誰も正解できなかったという。
- ^ 青野の死後は島田敏に引き継がれた。
- ^ 郷田は青年期の「若き日のヤン」としてキャスティングされており、富山が演じていた時系列のヤンが登場する作品では、郷田は起用されずに他キャラクターのモノローグで処理されている[34]。
- ^ リメイク版は旧版の声をそのまま使用。
- ^ 第16話のゲストキャラ[55]。
- ^ 挿入歌「明日に……」も歌唱。
- ^ テレビアニメにおける遺作。
出典
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