国際化学オリンピック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/18 00:38 UTC 版)
各国の参加
国際化学オリンピックの出場資格は、「20歳以下の高校生であること」であり、欧米やアジアの多くの国では国際化学オリンピックの国内大会を開催し、代表候補者を選考している[11]。
各国の一次選考への参加人数は2009年の時点で中国が15万人、ロシアが5万人、インドが2万5千人であり、日本の3千人をはるかに上回っている[12](ただ、日本国内の様々な科学オリンピックの中では、最も参加人数が多い)。
日本
代表選考
2003年-2005年度は、前年度7月(1次試験)、8月(2次試験)に夢・化学-21委員会、日本化学会化学教育協議会が主催する化学グランプリの成績優秀者で、なおかつ高校一年生か二年生の生徒の中から4名が選出されていた。
2006年-2007年度は、前年度の化学グランプリで約8名の代表候補を選び、その翌春に代表選抜合宿を実施して理論試験により代表4名を選ぶようになった。
2008年度は、化学グランプリでの賞の受賞に関係なく、参加した高校一、二年の成績優秀者から約20名の代表候補を選ぶように変更され、その翌春の代表選抜合宿で行われる理論試験により代表4名が選ばれた。
2009年度は、2008年度と同様の選考基準で代表候補が約20名選ばれた。代表候補には参考書等が配布され、さらにその約20人の代表候補から8名に絞るための第一回選抜試験が年明け早々に行われ、春の最終選抜合宿で代表4名が決定するように変更された。
代表決定後には実験問題の訓練合宿が行われる。
金メダリスト
\2023年現在、日本の金メダリストは20人いる。
- 川崎瑛生(私立武蔵高等学校)2004年
- 今村麻子(神戸女学院高等学部)2006年
- 小澤直也(駒場東邦高等学校)2009年
- 遠藤健一(栄光学園高等学校)2009年
- 遠藤健一(栄光学園高等学校)2010年
- 齊藤颯(灘高等学校)2010年
- 副島智大(立教池袋高等学校)2011年
- 副島智大(立教池袋高等学校)2012年
- 山角拓也(灘高等学校)2012年
- 福永隼也(白陵高等学校)2014年
- 松本陽行(大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎)2015年
- 吉村耕平(麻布高等学校)2015年
- 坂部圭哉 (海陽中等教育学校) 2016年
- 坂部圭哉 (海陽中等教育学校) 2017年
- 石井敬直 (筑波大学附属駒場高等学校) 2018年
- 末松万宙(栄光学園高等学校)2019年
- 西野拓巳 (東大寺学園高等学校) 2019年
- 直井勝己 (浅野高等学校) 2022年
- 柏井史哉 (伊勢崎市立四ツ葉学園中等教育学校) 2022年
- 石川貴士 (筑波大学附属駒場高等学校) 2022年
- 中地明 (立命館慶祥高等学校) 2022年
- 山之内望花 (久留米大学附設高等学校) 2023年
- 松坂康平 (東海高等学校) 2023年
各年の成績
歴代の日本代表の成績は以下の通り。
- 2003年(ギリシャ)- 銅2敢闘2
- 2004年(ドイツ)- 金1銅3
- 2005年(台湾)- 銀1銅3
- 2006年(韓国)- 金1銀3
- 2007年(ロシア)- 銅4
- 2008年(ハンガリー)- 銅4
- 2009年(イギリス)- 金2銀1銅1
- 2010年(日本)- 金2銀2
- 2011年(トルコ)- 金1銀3
- 2012年(アメリカ)- 金2銀2 第44回国際化学オリンピック代表生徒の成績について
- 2013年(ロシア)- 銀4
- 2014年(ベトナム)- 金1銀2銅1
- 2015年(アゼルバイジャン)- 金2銀2
- 2016年 (ジョージア) - 金1銀3
- 2017年(タイ) - 金1銀3
- 2018年(チェコ・スロバキア) - 金1銀3
- 2019年 (フランス) - 金2銀2
- 2020年 (トルコ) - 銀4
- 2021年 (日本) - 銀3銅1
- 2022年 (中国) - 金4
- 2023年(スイス)- 金2銀2
アメリカ合衆国
アメリカでは、アメリカ化学会の各支部ごとに4月に一次選考を行い、このうちの上位10 %が5月の二次選考に進む。一次選考の参加者は単に「化学の力試し」程度の感覚で出場している。一次選考が日本の大学入試センター試験より少し簡単くらいなレベルであることに対し、二次選考は日本の大学入試の難問くらいのレベルから、化学グランプリ一次選考程度のレベルである。この試験の上位12名が6月の初めに空軍士官学校で行われる約二週間の合宿に参加したあと、最後の選考試験を経て、代表4人と補欠1人が決められる。
中国
中国では、夏休みに開催される市(地区)単位の一次選考に参加し、各市(地区)から30〜60人がブロック(省)単位の二次選考に進む。その後、訓練と試験を経て各省あたり2〜3人が選出される。そして、冬期に三次選考が行われ、10〜14人の代表候補が、さらに3〜4月の訓練合宿を経て、4人の代表が選出される。
その他の地域における代表選考
カナダや西欧、およびアジアの国々では最初から国際化学オリンピックを目指す参加者の中から、2段階選考で選出している。
ロシアやトルクメニスタンなど、旧ソ連邦であった国は、高校生全員を対象とした全国共通学力試験を実施し、これが一次選考を兼ねている。その後、実験審査を含む2、3段階の選考を経て、十数人の最終候補者を選ぶ。そして、旧ソ連邦の各国が主催するメンデレーエフオリンピック大会に参加し、各国の成績上位の4人が代表に選ばれる。
リトアニア、ラトビア、エストニアのバルト三国もロシア同様の選考方法だが、メンデレーエフオリンピックには参加せず、バルチック化学オリンピック大会を独自に開催し、各国が最終選考として利用している。
- ^ “エクスカーションとは? - 国土交通省中部地方整備局”. 2020年1月8日閲覧。
- ^ 渡辺正監修 『化学オリンピック完全ガイド』 化学オリンピック日本委員会編、化学同人、2008年、15頁
- ^ 上野幸彦・菅原義之・本間敬之・森敦紀、米澤宣行著『完全攻略 化学オリンピック』化学オリンピック日本委員会+渡辺正編、日本評論社、2009年、202頁
- ^ 渡辺正監修 『化学オリンピック完全ガイド』 化学オリンピック日本委員会編、化学同人、2008年、18-19頁
- ^ 上野幸彦・菅原義之・本間敬之・森敦紀、米澤宣行著『完全攻略 化学オリンピック』化学オリンピック日本委員会+渡辺正編、日本評論社、2009年、4頁
- ^ 渡辺正監修 『化学オリンピック完全ガイド』 化学オリンピック日本委員会編、化学同人、2008年、36頁
- ^ 上野幸彦・菅原義之・本間敬之・森敦紀、米澤宣行著『完全攻略 化学オリンピック』化学オリンピック日本委員会+渡辺正編、日本評論社、2009年、198頁
- ^ IChO日本大会 ロゴマーク
- ^ 伊藤雄二・沼田治・渡辺正 「座談会 現場が語る 科学のオリンピック」『化学』65号、化学同人、2010年、13頁
- ^ IChO日本大会 スケジュール
- ^ 渡辺正監修 『化学オリンピック完全ガイド』 化学オリンピック日本委員会編、化学同人、2008年、13-14頁
- ^ 『化学』編集部「特集 まもなく開催!!国際化学オリンピック 歴代の日本代表メンバー」『化学』65号、化学同人、2010年、19頁
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