因美線 運行形態

因美線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/09 08:52 UTC 版)

運行形態

全線を通して運転される列車はない。正式には東津山駅が終点であるが、智頭駅・美作加茂駅 - 東津山駅間に運転されているすべての列車が津山駅まで乗り入れる。

因美線内では特急列車を除き鳥取駅 → 津山駅の方向が下り、逆が上りである。山陰本線(米子方面)・智頭急行線直通の普通列車は山陰本線内・智頭急行線内で下り・上りの方向が逆転するので、鳥取駅・智頭駅で列車番号を下りとなる列車は奇数、上りとなる列車は偶数に変更する。特急列車は鳥取駅に向かう列車が下り、逆が上りである。

1997年11月29日に急行「砂丘」が廃止された後、鳥取駅 - 津山駅間を直通する交通機関はなくなっていたが、2004年12月10日に従来運行されていた鳥取 - 岡山間の高速バス(鳥取エクスプレス)が津山(中国道津山北バス停)に停車するようになったため直通の交通機関が復活。しかし2014年9月30日限りで廃止され、以後は直通の交通機関はなくなっている。また、特に高野駅 - 津山駅間では並行する路線バス(中鉄北部バス行方・小坂線)の方が本数が多いため、利用者はそちらへ流れてしまう傾向がある[注釈 2]

特急列車

鳥取駅 - 智頭駅間では、智頭急行線を経由する倉吉駅・鳥取駅 - 京都駅間の特急「スーパーはくと」と鳥取駅 - 岡山駅間の特急「スーパーいなば」が運転されており、鳥取駅 - 津ノ井駅間で110km/h、津ノ井駅 - 智頭駅間で95km/h運転を行っている。かつては85km/hで運転され、鳥取 - 智頭間では最新の高性能車「スーパーはくと」も旧型車両の急行「砂丘」と同じ所要時間であったが、地元負担による線路改良が行われ、所要時間の短縮が実現した。

普通列車

普通列車については、おおむね鳥取駅 - 智頭駅間と智頭駅 - 津山駅間の2つの運転系統に分かれている。

鳥取駅 - 智頭駅間

因美線を走行する智頭急行の気動車HOT3500形(2009年4月3日 国英駅 - 河原駅間)

この区間はおおむね1 - 2時間に1本程度が運行されている。基本的に鳥取駅 - 智頭駅間の運行であるが、那岐発鳥取行き、郡家発鳥取行き[注釈 3]や山陰本線の米子行き、智頭急行線直通の大原駅発着列車、上郡駅発着列車も設定されている。また、郡家駅から若桜鉄道若桜線に直通して鳥取駅 - 若桜駅間を運行する列車が6往復あり、2022年3月12日改正時点で鳥取駅 - 郡家駅間では若桜鉄道直通を含めて18往復の普通列車が設定されている[7]

鳥取駅 - 津ノ井駅間で95km/h(キハ121・126形気動車は100km/h、智頭急行HOT3500形気動車は110km/h)、津ノ井駅 - 智頭駅間で95km/h運転を行っている。第三セクター鉄道の若桜鉄道・智頭急行各路線への直通列車の乗務員は、前者は郡家駅、後者は智頭駅で交代する。ただし、2010年3月12日まで、若桜鉄道直通列車については乗務員交代を行わず全区間で車両所属会社の乗務員が担当していた。

朝5時台の鳥取発智頭行きの始発列車は、智頭駅で折り返し6時台の米子行きの始発列車になっており、この列車に限りキハ121・126形気動車で運転されている。2010年3月13日の改正から土曜・休日は山陰本線内を快速「とっとりライナー」として運行されていたが2011年3月12日の改正で智頭駅から米子駅まで土曜・休日も普通として運転されるようになった。

2008年3月15日のダイヤ改正では鳥取駅 - 智頭駅間で夜間の一部列車時刻が大幅に変更された。この影響で夕方の時間帯に鳥取発の普通列車が2時間程間隔が開くようになり、地元(特に高校生)が猛反発し[8]2009年3月14日のダイヤ改正で夜間に普通列車が1本増発された[9]

2021年10月2日からは、鳥取発の最終が22時台から21時台に繰り上げられた。なお、1987年4月1日時点では21時台であった[10]

智頭駅 - 津山駅間

智頭駅 - 津山駅間で運転されるキハ120形(2009年11月8日 美作加茂駅 - 知和駅間)

この区間は智頭駅 - 津山駅間の列車が1日7往復(1 - 3時間に1本)運転され、加えて美作加茂駅 - 津山駅間の折り返し列車があるが、5時間近く運行のない時間帯がある[7]。朝には那岐発鳥取行きの列車が設定されている[7]。この列車は前日の夜に智頭駅で夜間滞泊した車両同士の連結で運行され、朝に智頭駅から那岐駅まで回送されて折り返し鳥取行きとなる。以前は朝に智頭発那岐行き、昼過ぎにも那岐駅折り返しが設定されていた。

朝の那岐発鳥取行きとその送り込みの智頭発那岐行き回送列車を除き、全列車がキハ120形気動車で運転されている。智頭駅 - 那岐駅間では、智頭駅 - 津山駅間の列車(津山寄りが1号車)と前述の朝の鳥取駅・智頭駅 - 那岐駅間の列車(智頭・鳥取寄りが1号車)は編成の向きが逆になる。2005年3月1日に、智頭駅・美作加茂駅 - 津山駅間の列車のうち、那岐駅・美作加茂駅 - 津山駅間が実質的に回送となる朝の上り列車と夕方以降の下り列車が快速列車に変更された。線内で使われる車両の方向幕に「快速」を含むパターンが少ないこともあり、快速列車は方向幕に行先のみを掲出、前面窓に「快速」(白地に赤文字)と記載された行先標を挿入したうえで運転されていた。 2019年頃より、方向幕が更新され、快速列車は「快速 智頭」「快速 津山」と表示して運転されている。

2010年3月13日のダイヤ改正で、朝の美作加茂駅発着の列車が休日運休に変更された。

2022年3月12日のダイヤ改正で、朝の智頭発那岐行きの列車が回送に変更された。

みまさかスローライフ列車

智頭駅 - 津山駅間で運行されたみまさかスローライフ列車(2010年5月9日 美作加茂駅 - 知和駅間)

2007年から毎年春と秋に、臨時列車「みまさかスローライフ列車」が智頭駅 - 津山駅間(2011年春は延期[11]、2007年の秋のみ那岐駅 - 津山駅間[12])で運転されている[13][14][15][16]

車両は、2010年秋まで岡山気動車区に所属する国鉄色キハ28・58形が使用され(2007年春はJR四国のキハ58・65)[17]、2011年秋から同区所属のキハ40・47形で運転されている[18]

この列車は、みまさかローカル鉄道観光実行委員会の協力で行われており、途中の美作滝尾駅美作加茂駅美作河井駅で長時間の停車時間を設け、各種イベントが開催されている。


注釈

  1. ^ 2023年3月11日よりエレベーター設置などバリアフリー化の上で供用を再開した津山駅の跨線橋では、路線記号とラインカラーの使用が拡大されたが、エレベーター・跨線橋・改札口の方面案内では青色()で「B」と表示されている。その一方、3月18日にのダイヤ改正で更新された時刻表では、見出しでは青色()に「B」で、下部の停車駅案内図では本来ので表示される変則様式となっている(構内の案内板で背景が黒色の箇所での視認性と、暖色系のラインカラーを使用している津山線・姫新線との区別の明確化を考慮したものとみられる。その他の因美線岡山エリア各駅の時刻表では、見出しも本来ので表示している)。なお、姫新線()・津山線()については正式な路線記号が使用されている。
  2. ^ 高野駅 - 津山駅間においては、因美線の列車は1 - 3時間に1本(ただし5時間近く運行のない時間帯がある)と少ない。その一方で、中鉄北部バス行方・小坂線は1時間に1本で、因美線の列車よりもはるかに多く運転されている。
  3. ^ 若桜鉄道若桜線からの接続列車。智頭急行の車両による運転で鳥取駅から回送列車で郡家駅まで運転され、折り返し郡家発鳥取行きとなる。

出典

  1. ^ 日本国有鉄道電気局『鉄道電報略号』1959年9月17日、22頁。 
  2. ^ 岡山・福山エリアの主な路線に「路線記号」「ラインカラー」を導入します - 西日本旅客鉄道、2015年9月17日、同日閲覧。
  3. ^ 「吉備線・宇野線・岡山駅出入口の愛称名」ならびに「路線記号・ラインカラー」の使用開始について - 西日本旅客鉄道、2015年1月28日、同年2月4日閲覧。路線図イメージでは因美線は灰色扱いとなっている。
  4. ^ お客様によりわかりやすく鉄道をご利用いただくために米子支社エリアに「ラインカラー・路線記号」を導入します! - 西日本旅客鉄道、2016年2月4日、同日閲覧。
  5. ^ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB、1998年。ISBN 978-4-533-02980-6
  6. ^ データで見るJR西日本2016 - 区間別平均通過人員および旅客運輸収入(平成27年度) (PDF) - 西日本旅客鉄道
  7. ^ a b c 『JR時刻表』2022年3月号、pp.312-313
  8. ^ 「部活もできない」新ダイヤ苦情殺到 JR因美線インターネットアーカイブ) - 日本海新聞 2008年5月27日
  9. ^ 「部活できる」と高校生 JR西が因美線ダイヤ見直し(インターネット・アーカイブ)- 日本海新聞 2009年2月18日
  10. ^ 『交通公社の時刻表』1987年4月号復刻版
  11. ^ 「みまさかスローライフ列車」の運転延期について(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2011年3月30日
  12. ^ みまさかスローライフ列車の運転(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2007年10月9日
  13. ^ a b 津山「懐かしの鉄道展示室」のオープンと「みまさかスローライフ列車」の運行(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2007年4月20日
  14. ^ 旧津山扇形機関車庫とリニューアルした懐かしの鉄道展示室の一般公開および「みまさかスローライフ列車」の運転について(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2008年3月12日
  15. ^ みまさかスローライフ列車の運転について(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2008年10月17日
  16. ^ 「みまさかスローライフ列車」5周年記念イベントの実施について - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2012年4月27日
  17. ^ “みまさかスローライフ列車”運転 - 『鉄道ファン交友社 railf.jp鉄道ニュース 2010年11月7日
  18. ^ “みまさかスローライフ列車”運転 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2011年11月7日
  19. ^ 「鉄道省告示第109号」『官報』1922年9月2日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  20. ^ a b c ジェー・アール・アール『JR気動車客車編成表 2011』交通新聞社、2011年。ISBN 978-4-330-14710-9
  21. ^ 「JRワンマン運転線区一覧表」『JR気動車客車編成表 '92年版』ジェー・アール・アール、1992年7月1日、191頁。ISBN 4-88283-113-9 
  22. ^ 『データで見るJR西日本 2001』西日本旅客鉄道
  23. ^ 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '94年版』ジェー・アール・アール、1994年7月1日、189頁。ISBN 4-88283-115-5 
  24. ^ データで見るJR西日本 2007 Archived 2010年3月25日, at the Wayback Machine.』には記載されているが、『データで見るJR西日本 2008 Archived 2012年4月3日, at the Wayback Machine.』には記載されていない
  25. ^ 因美線12日から全線運転再開 - 山陽新聞 2011年9月9日
  26. ^ 平成30年台風第7号及び前線等による被害状況等について(第7報) (PDF) - 国土交通省 災害情報、2018年7月7日 5:00現在
  27. ^ 平成30年台風第7号及び前線等による被害状況等について(第11報) (PDF) - 国土交通省 災害情報、2018年7月9日 5:30現在
  28. ^ “広報情報【2018年7月17日】運転状況について”. 西日本旅客鉄道米子支社. (2018年7月17日). オリジナルの2018年7月17日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180717092607/http://www.westjr.co.jp/press/article/items/180717_00_yonago_2.pdf 
  29. ^ a b “31日に岡山のJR全在来線再開 作業順調で見通し早まる”. 山陽新聞デジタル. (2018年8月24日). オリジナルの2018年8月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180825000653/http://www.sanyonews.jp/article/775429/1/?rct=kurashiki_sojya 2018年8月25日閲覧。 
  30. ^ 須田寬『須田寛の鉄道ばなし』JTBパブリッシング、2012年、53-54頁。ISBN 978-4-533-08618-2 






因美線と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「因美線」の関連用語

1
100% |||||

2
100% |||||

3
100% |||||

4
100% |||||

5
100% |||||

6
100% |||||

7
100% |||||

8
100% |||||

9
100% |||||

10
100% |||||

因美線のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



因美線のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの因美線 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS