噴火 マグマ噴火

噴火

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/21 21:33 UTC 版)

マグマ噴火

マグマ(本質物質)が直接地表に噴出する噴火をマグマ噴火という。
ハワイ式噴火
キラウエア山マウナ・ケア山など、ハワイ島の火山でよくみられる噴火様式。流動性が高く、揮発性成分が少ないマグマが起こす噴火。爆発は起こらず、大量の溶岩が高速で流出する。
ストロンボリ式噴火
イタリアストロンボリ火山でよくみられる噴火様式。ハワイ式噴火より少し流動性の低いマグマが、間欠的に小爆発を繰り返し、スコリア火山弾を放出する。液体状の溶岩流も見られる。
ブルカノ式噴火
ストロンボリ火山に近いブルカノ火山でよくみられる噴火様式。流動性が低い粘性が高い安山岩質マグマの場合に多く、近年における桜島浅間山の噴火に相当。爆発に伴って、火山灰、火山礫火山岩塊を大量に噴出する。溶岩流は、半ば固化した塊状溶岩(ブロックラバー)となって、流動速度は遅い。ブルカノという名称は、英語Volcano(火山)の語源となった。ちなみに、日本の火山はこの噴火が最も多い。
プレー式噴火(プリリー式噴火)
成長中の溶岩ドームがプリニー式噴火など爆発的な噴火によって破壊され、block-and-ash flowタイプの火砕流が発生する噴火。ムラピ山2006年)、セント・ヘレンズ山1980年)など。語源となったプレー山1902年)はプリニー式噴火。
プリニー式噴火
ローマ時代ポンペイヘルクラネウムなどを埋めたことで有名な、79年ヴェスヴィオ火山の噴火の様式。この噴火を詳細に観察し、後世に記録を残したプリニウスにちなんで、プリニー式と命名された。基本的には、ストロンボリ式噴火の大規模なものである。火山灰や軽石などから構成される噴煙柱は、成層圏に達する。この噴煙柱が崩壊すると、巨大な火砕流(中規模火砕流)が発生し、広範囲に被害を及ぼす。富士山宝永大噴火)、浅間山(1783年天明噴火)など。
準プリニー式噴火
プリニー式噴火とストロンボリ式の中間のような噴火を準プリニー式噴火といい、間欠的に軽石の降灰や空振を伴う噴火を繰り返す。
ウルトラプリニー式噴火(カルデラ噴火、破局噴火
プリニー式噴火の中でも火山爆発指数(VEI)6以上の噴火を指す。発生頻度はそれほど多くないが数十万年から数百万年周期で発生し、火山の噴火としては最大級。VEI6レベルの噴火で最も最新のものは1991年のフィリピンの、ルソン島にあるピナトゥボ山であり、VEI7 - 8クラスの噴火を起こした火山は、トバ湖イエローストーン鬼界カルデラ等がある。カルデラ噴火と呼称されることもあるが、爆発的ではないハワイ式噴火でもカルデラは形成されることがある。
洪水玄武岩
洪水玄武岩は、数千万年に1回程度発生する。地表が大規模に割れ、大量の溶岩が短期間に地表に供給される。例えば、インドデカン高原玄武岩面積は、日本全土の約1.5倍に相当する。発生原因について、最近、プルームテクトニクスで議論されている。

註釈

  1. ^ 火口を除く。
  2. ^ 例えば玄武岩でもプリニー式噴火が起こりえるが、ここでは単純化して詳細な記述は省いた。
  3. ^ 噴出堆積物が溶岩の場合、比重はマグマと同程度なので、DRE換算体積はぼマグマの体積に一致するが、見かけの体積で2.5 km3の降下火砕物の場合、DRE換算体積では1 km3となる。[10]

出典

  1. ^ 奥野充、降下テフラからみた水蒸気噴火の規模・頻度 金沢大学文学部地理学報告 第7号 (1995) p.1-24, hdl:2297/1514
  2. ^ [防災メモ] 噴火の記録基準について” (PDF). 火山活動解説資料:月間火山概況(2005年). 気象庁 (2005年5月9日). 2015年5月30日閲覧。
  3. ^ Glossary”. volcanoes.usgs.gov. アメリカ地質調査所 火山ハザードプログラム. 2020年7月4日閲覧。
  4. ^ Vic Camp. “How Volcanoes Work”. http://sci.sdsu.edu/. Project ALERT. 2020年7月4日閲覧。
  5. ^ R.A.F. Cas; J.V. Wright (1987) (英語). Volcanic Successions, Modern and Ancient: A Geological Approach to Processes, Products, and Succession. Unwin Hyman. p. 528. ISBN 978-0045520213 
  6. ^ 防災メモ 噴火の定義と規模 (PDF) 気象庁
  7. ^ 松田時彦、中村一明、水底に堆積した火山性堆積物の特徴と分類 鉱山地質 20巻 (1970) 99号 p.29-42, doi:10.11456/shigenchishitsu1951.20.29
  8. ^ 島村 2017, p. 33.
  9. ^ 早川由紀夫、「噴火マグニチュードの提唱」 『火山』 1993年 38巻 6号 p.223-226, doi:10.18940/kazan.38.6_223
  10. ^ a b 日本の火山 - データ表記法”. 産総研. 2017年12月7日閲覧。
  11. ^ a b c d e f g h i j k アメリカ地質調査所; 国際火山学及び地球内部化学協会; 都市火山委員会; ニュージーランド地質核科学研究所. 火山灰の健康影響. インターナショナル・ボルケニック・ヘルス・ハザード・ネットワーク (IVHHN). http://www.geocities.jp/ychojp/ivhhn/guidelines/health/ash_health_japanese.html 2016年1月22日閲覧。 






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