原罪 東方教会

原罪

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/07 23:59 UTC 版)

東方教会

正教会

正教会において原罪(ロシア語: Первородный грех, 英語: original sin)に対する認識は西方と幾分異なっている。[33]

正教会においては、西方教会における原罪の概念を否定的に捉えることから原罪という術語を用いる事にさえ慎重な見解をもつ者もいれば[4][5]、他方、原罪という術語を用いる事自体は忌避していない者もいる[34][35]。いずれにしても、西方教会における原罪についての理解・論争からは距離をとっている事は共通している。

西方教会では人間全てが完全に堕落し、十字架にかけられ罰を受けるべきだったがキリストが代わりに十字架にかかった、と強調し、東方教会では人間は完全に堕落したわけではないので罰を受ける必要はなかったが、完全な神の像のときアダムが罪を犯したため、完全な神の像であるハリストス(キリスト)が十字架にかかり罪を贖った、と強調する[4]

正教会は、カトリック教会における教義(1854年決定)である、聖母マリアの無原罪の御宿りを認めない[35]。原罪の結果に対するアウグスティヌスの考え方に同意しない正教会において、無原罪懐胎の教理は、「誤り」であるというよりも、むしろ「不要」なものであると評される[36]

参考文献

関連項目


  1. ^ a b J・ゴンサレス著/鈴木浩訳『キリスト教神学基本用語集』p87,88 (2010年)
  2. ^ カトリック大辞典 II, p172 昭和42年
  3. ^ SIN - JewishEncyclopedia.com (英語)
  4. ^ a b c 罪と救い - 日本正教会公式サイト
  5. ^ a b 生神女マリヤへの理解 - 名古屋ハリストス正教会ホームページ
  6. ^ a b ウェア、松島, p8 (2003)
  7. ^ a b Иустин (Попович), преп. - О первородном грехе
  8. ^ "Orthodox Study Bible" p6
  9. ^ a b c d バルバロ, p10 (1980)
  10. ^ 『旧約聖書略解』p14
  11. ^ 新聖書注解 (旧約 1)』 p91
  12. ^ a b c 『旧約聖書略解』p16
  13. ^ "Orthodox Study Bible" p8
  14. ^ 新聖書注解 (旧約 1)』 p95
  15. ^ a b Laudate | カテキズムを読もう
  16. ^ 『旧約聖書略解』p17
  17. ^ a b c J・ゴンサレス著/鈴木浩訳『キリスト教神学基本用語集』p87,88 (2010年)
  18. ^ a b c キリスト教大事典 改訂新版』p390 (昭和52年)
  19. ^ CATHOLIC ENCYCLOPEDIA: Councils of Orange
  20. ^ a b Historic Church Documents at Reformed.org About the Council of Orange
  21. ^ a b CATHOLIC ENCYCLOPEDIA: Council of Trent
  22. ^ a b CATHOLIC ENCYCLOPEDIA: Teaching of St. Augustine of Hippo
  23. ^ ウェア、松島, p10, p11, p14 (2003)
  24. ^ a b c 『カトリック教会の教え』p53 (2003)
  25. ^ a b 『カトリック教会の教え』p52 (2003)
  26. ^ a b 教皇ベネディクト十六世の161回目の一般謁見演説
  27. ^ カトリック大辞典 II, p174 昭和42年
  28. ^ a b 『カトリック教会の教え』p55 (2003)
  29. ^ 『カトリック教会の教え』p54 (2003)
  30. ^ カトリック大辞典 II, p175 昭和42年
  31. ^ Lutheran Church - Missouri Synod - Christian Cyclopedia "Sin, Original"
  32. ^ a b Methodism (By Dr. Richard P. Bucher)
  33. ^ "Orthodox Study Bible" p1784
  34. ^ アルフェエフ、高松 p56 - p58, 2004
  35. ^ a b 「正教会とローマ・カトリック教会の相異」 - 東方正教会内ページ、長司祭 イオアン長屋房夫による翻訳
  36. ^ 府主教カリストス・ウェア著、司祭ダヴィド水口優明・司祭ゲオルギイ松島雄一訳『カリストス・ウェア主教論集1 私たちはどのように救われるのか』17頁 - 18頁、日本ハリストス正教会 西日本主教区


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