円成寺 (奈良市)
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境内
正門にあたる楼門の前には平安時代の面影を残す、池を中心とした浄土式庭園(名勝)が広がる。楼門を入ると本堂を中心に鎮守社の春日堂、白山堂、宇賀神本殿、多宝塔などが建つ。
- 本堂(阿弥陀堂、重要文化財) - 室町時代の建築だが、全体の意匠は寝殿造風である。入母屋造で妻入(屋根の形が三角形に見える方向を正面とする)とするのは仏堂建築には珍しい。寺の説明には文正元年(1466年)建立とあるが、文化庁の資料では棟木銘から文明4年(1472年)建立としている。春日造社殿に両廂付で局・宝蔵・経蔵・籠堂・御堂を設け、向拝に舞台がある。内部には本尊阿弥陀如来坐像と四天王立像を安置する。内陣の柱には阿弥陀如来に随って来迎する二十五菩薩の像が描かれている。須弥壇の上は折上格天井、大壇の上は小組格天井、そのまわりに四方流化粧天井を張り巡らし、藤原時代の阿弥陀堂を表している。本尊を安置している三方開放高御座型大形厨子や、四本柱に描かれた聖衆来迎二十五菩薩は全国的にも珍しい。
- 多宝塔 - 1990年(平成2年)再建。
- 鐘楼
- 護摩堂
- 春日堂(国宝) - 春日堂と白山堂は本堂の脇に建つ2棟の社殿で、2棟とも同規模・同形式である。安貞2年(1228年)に春日大社の本殿を移築したもので、春日造社殿の現存最古の例として国宝に指定されている。明治初期の神仏分離令による破壊をまぬがれるため、仏堂風に「堂」と称した。表は入母屋、裏は切妻、桧皮葺。棟木、千木、堅魚木をのせ、蟇股・懸魚・勾欄・斗栱などは鎌倉時代初期の社殿の特色である。
- 白山堂(国宝)
- 宇賀神本殿(重要文化財) - 鎌倉時代の建立。
- 鎮守社拝殿(奈良市指定有形文化財) - 延宝3年(1675年)建立。
- 楼門(重要文化財) - 応仁2年(1468年)再建。三間一戸入母屋桧皮葺で、上下層とも和様三手先を使い、下層出入り口の上に、正・背面とも花肘木を入れている。
- 庫裏
- 相應殿 - 運慶作の国宝・大日如来坐像を安置している。
- 十三重石塔(重要美術品) - 平安時代の建立。
- 庭園(国指定名勝) - 浄土式庭園。平安時代後期の作庭。寛遍僧正が築いたとされ、浄土式と舟遊式を兼備した寝殿造系庭園。
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本堂より楼門と多宝塔を望む
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境内風景(秋景)
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多宝塔(秋景)
- ^ a b “柳生街道散策ガイドブック”. 奈良市奈良ブランド推進課. 2022年9月11日閲覧。
- ^ (清水、1990)、pp.141, 184, 185
- ^ (清水、1990)、pp.142, 186
- ^ (清水、1990)、pp.142 - 143, 148, 186
- ^ (清水、1990)、pp.144, 167 - 168
- ^ (清水、1990)、pp.142, 160 - 162
- ^ (清水、1990)、p.143 - 144, 148
- ^ a b (清水、1990)、p.158
- ^ a b 『週刊朝日百科 日本の国宝』58、pp. 252 - 253
- ^ a b c 『月刊文化財』358、p.4
- ^ a b c (清水、1990)、p.159
- ^ 『週刊朝日百科 日本の国宝』58、p. 253
- ^ (清水、1990)、p.157
- ^ 『週刊朝日百科 日本の国宝』58、p. 252
- ^ なら旅ネット(奈良県観光公式サイト)
- ^ 寺公式サイトによる。
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