不法無線局 使用に注意が必要な機器

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不法無線局

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/19 22:55 UTC 版)

使用に注意が必要な機器

ここでは、電波の不法使用(不法無線局の開設)につながる可能性のある機器を取り上げる。 周波数の割当ては国によって異なるので、基本的に電波を発する製品はその国でしか使えない。 使用者に悪意がなく、電波法を犯しているという自覚がなくても、罰せられる可能性がある。

トランシーバー
462MHz帯と467MHz帯のFRSやGMRS(メーカーはミッドランド(Midland Radio英語版)、モトローラ(Talkaboutシリーズ、 TLKRシリーズなどの海外販売品[23]))、27MHz帯の不法市民ラジオなど外国規格でありながら日本国内に流通しているトランシーバーがある。
これらを使用すると、業務無線などに妨害を与える可能性がある。「米国規格(FCC rule)に適合している」などと宣伝している場合があるが、これは米国領内で有効であるという意味(技術基準適合証明機器が使用できるのは日本国内のみであるのと同様)しかない。
電波法令の技術基準に適合している証明として、玩具を除き技適マーク又は無線機器型式検定規則による検定マークがあるか確認することは最低の条件である。但し、認証の時期によってはこれらのマークがあっても使用できないものがある。
例外として、アマチュア無線の周波数帯ITU地域により一部例外はあるものの基本的に世界共通である。従って、アマチュア無線機は保証認定されれば免許申請できる(アマチュア局の開局手続きを参照)。
ラジコン
ラジコン用に割り当てられている周波数帯の内、2.4GHz帯を使用するものは小電力データ通信システムの無線局であり、技適マークの表示を要する。
その他の周波数帯は微弱電波によるもので電波法令上に何らかの表示をする義務は無いが、自主規制として27MHz帯用は日本ラジコン模型工業会(JRM)が、40MHz帯用及び72MHz帯用は日本ラジコン電波安全協会(RCK)が証明シールを貼付している。
FMトランスミッターワイヤレスマイク
外国仕様のFMステレオ・トランスミッターやワイヤレスマイクは、電波法令の技術基準とは異なる場合があり、それを知らずに使用していると近傍周波数の放送の受信に妨害、またスプリアス高調波)などで他の通信に妨害を与えるなどの可能性がある。
任意制度であるが、民間団体が微弱無線設備を登録し、微弱無線マーク(ELPマーク)を発行している。
コードレス電話
外国仕様のコードレス電話は、国内用と周波数帯が異なったり大出力の場合があり、他の無線に妨害を与えてしまう可能性がある。「海外向け製品はデザインが優れている、通話距離が長い」などと宣伝して、日本国内に古くから出回っている。
1987年(昭和62年)のコードレス電話自由化前後までは、VHF以下や380MHz帯を使った物が主流であったが、1990年代末頃からは、1.9GHz帯や2.4GHz帯や5.6GHz帯のデジタル式が主流である。
国内で使用できるものには技適マークが表示されている。
2.4GHz、5.6GHz帯ISMバンド機器
上述の2.4GHz帯ラジコン以外にも無線LANWi-FiBluetooth、ワイヤレスカメラ、ベビーモニター等、2.4GHz、5.6GHz帯ISMバンドを使用する機器は様々なものがあるが、これらは小電力データ通信システムであるものでなければならない。日本国外の規格のISMバンドの無線通信機器は、小電力データ通信システムと比較すると概して出力が大きくこのバンドの使用者に妨害を与えてしまう可能性がある。国内で使用できるものには技適マークが表示されている。
5.6GHz帯の利用は室内およびこれに準ずるものとして航空機内、船舶内または車両内のみに許可されており、屋外での利用は禁止されている[24]
野生生物生態調査用ビーコン、ドッグマーカー
ドッグマーカーは猟犬マーカーとも称し、外国製のものは144MHz帯を用いている製品が多いが、これはアマチュア業務(=アマチュア無線)の周波数である。また「周波数を上下に調整可能」と謳う物があるが、アマチュア用周波数の直下の143MHz帯、直上の146MHz帯はともに官公庁の公共業務用、放送事業者の放送事業用、その他民間の各種事業者の一般業務用として割り当てられて[25]おり、これらの業務を妨害することとなる。
日本では特定小電力無線局の一種である人・動物検知通報システム用(旧称動物検知通報システム用)に規定された142MHz帯のものを使用しなければならない。
特定小電力無線局の機器には技適マークが表示されている。
携帯電話・PHS中継装置、通信機能抑止装置
携帯電話・PHS中継装置は、電気通信事業者が免許を取得し設置するもので技適マークが表示されている。その他の者は設置することはできない。
通信機能抑止装置は、劇場コンサートホールなど静粛を必要とする、その他病院ATMなど携帯電話等の使用が望ましくない場所を管理する事業者が特別業務の局(従前は実験試験局)の免許を取得し、装置を据え付けて使用するもので、予備免許を取得し落成検査[注 5]に合格し第三級陸上特殊無線技士以上の無線従事者による管理のもとに運用する。持ち運べる形状のものは、不特定の範囲の携帯電話・PHSの機能を抑止するので免許されない。

注釈

  1. ^ 電波法は無線機の使用を規制するものであり、売買や流通の規制は経済産業省の管轄である。
  2. ^ メールによる相談(関東総合通信局)に見るように、一般的な相談と同様の形式でも受け付ける。
  3. ^ 警察や消防などの官公署のみならず民間の医療機関警備業者なども含まれる。
  4. ^ 気象庁以外の民間気象会社も含まれる。
  5. ^ 登録検査等事業者等の点検により一部省略できる。

出典

  1. ^ 監視FAQQ14 違法局という言葉も聞きますが、違法局と不法局との違いは?(関東総合通信局 - 電波環境)を参照
  2. ^ 電波法 第4条 - e-Gov法令検索
  3. ^ 電波法 第27条の18第1項 - e-Gov法令検索
  4. ^ 電波法施行規則 第6条第1項第1号 - e-Gov法令検索
  5. ^ 海外から持ち込まれる携帯電話・BWA端末、Wi-Fi端末等の利用 総務省電波利用ホームページ - その他
  6. ^ 技適未取得機器を用いた実験等の特例制度 総務省電波利用ホームページ - その他
  7. ^ 不法無線局防止のための重点対策の実施結果について -不法三悪ゼロ・プログラムの実施-(北海道電気通信監理局 平成9年広報資料 12月9日付) - ウェイバックマシン(1999年2月19日アーカイブ分)
  8. ^ 『総務省』2011年6月号(総務省 - 広報誌)(2011年6月7日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF) 13頁
  9. ^ 不法無線局の特徴(総務省電波利用ホームページ - 電波監理の概要)(2013年1月15日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project1
  10. ^ a b 第2部第5章第3節情報通信政策の展開(3)電波利用環境の整備ウ 電波の混信・妨害の予防(総務省情報通信統計データベース - 情報通信白書)
  11. ^ 平成23年総務省告示第225号 電波の規正に関する通報を送信する局の運用(電波産業会 - 情報提供業務) - ウェイバックマシン(2016年3月4日アーカイブ分) (PDF)
  12. ^ 電波法 第102条の13 - e-Gov法令検索
  13. ^ 電波法 第102条の14 - e-Gov法令検索
  14. ^ 電波法 第102条の15 - e-Gov法令検索
  15. ^ 電波法施行規則 第51条の2 - e-Gov法令検索
  16. ^ 『不法局探索に新兵器登場!!』JR1WA管理団体(CQ ham radio 1991年5月号 p.373)
  17. ^ 報告書 各種様式のファイル I1 電波法第80条の報告(東海総合通信局
  18. ^ 総務省|関東総合通信局|メールによる相談”. 総務省. 2022年1月14日閲覧。
  19. ^ ビジネスパーソンが知っておくべき110番の基礎知識”. ITmedia エンタープライズ. 2022年1月16日閲覧。
  20. ^ 電波法 第5条第3項第1号 - e-Gov法令検索
  21. ^ 電波法 第42条第2号 - e-Gov法令検索
  22. ^ 電波法 第79条第1項第1号 - e-Gov法令検索
  23. ^ 海外で販売されているトランシーバーについて(モトローラ・ソリューションズ - 特定小電力トランシーバー - 製品のサポート) - ウェイバックマシン(2015年10月17日アーカイブ分)
  24. ^ 平成25年総務省告示第139号 電波法施行規則第6条第4項第4号(3)及び(5)の規定に基づく小電力データ通信システムの無線局の無線設備の使用場所 総務省電波利用ホームページ - 総務省電波関係法令集
  25. ^ 周波数割当計画の第2表 27.5MHz-10000MHz
  26. ^ 昭和25年法律第131号
  27. ^ 昭和56年法律第49号による電波法改正の施行
  28. ^ 平成4年郵政省告示第392号、以後の改正を経て平成23年総務省告示第225号に至る
  29. ^ 平成5年法律第71号による電波法改正の施行
  30. ^ 平成5年郵政省令第61号による電波法施行規則改正の施行
  31. ^ 平成8年郵政省令第17号による電波法施行規則改正
  32. ^ 平成8年郵政省告示第412号、以後の改正を経て平成23年総務省告示第225号に至る
  33. ^ 平成13年総務省告示第396号、以後の改正を経て平成23年総務省告示第225号に至る。
  34. ^ 平成16年法律第47号による電波法改正の施行
  35. ^ 上記電波法改正時の第110条改正
  36. ^ 無線設備試買テストの実施(総務省報道資料 平成25年6月7日)(2013年7月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  37. ^ 平成25年総務省令第62号による電波法施行規則改正
  38. ^ 平成27年法律第26号による電波法改正および平成27年総務省令第105号による電波法施行規則改正の施行
  39. ^ 令和元年法律第6号による電波法改正および令和元年総務省令第58号による電波法施行規則等改正
  40. ^ 情報通信白書 総務省情報通信統計データベース(出現数と措置数が確認できる平成6年版以降)
  41. ^ 電波監視 総務省情報通信統計データベース - 分野別データ
  42. ^ a b 不法無線局等の出現数・措置数 総務省電波利用ホームページ - 電波監視


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