不法無線局
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/19 22:55 UTC 版)
報告
不法無線局または違法無線局を認めた無線局の免許人または登録人は、電波法第80条第2号の規定により、総務大臣に報告しなければならない。具体的には、電波法施行規則第42条の3により無線局を所轄する総合通信局(沖縄総合通信事務所を含む。以下同じ。)に、文書をもって報告する(「80条報告」と呼ぶ。)。この規定は、無線局の免許人または登録人以外の者が、文書以外の方法で報告することを妨げるものではない[注 2]。
必要事項は次の通りであるが、不明なものは記入しなくてよい。
専用の書式[17]もあるが、これにこだわらなくともよい。
メールフォームからの報告
関東総合通信局では2014年以降、メールフォーム[18]での通報が可能となった。 メールフォームから送信すると、総務省のサーバーから内容確認のメールが折り返されてくるため、報告した日時や内容を証拠として残すことができる。
通報
80条報告はあくまで総合通信局に対する「報告」でしかないため、調査や摘発が行われるまで時間がかかったり、そのまま放置される事も多々ある。
よって、実際に不法,違法無線局の開設により、電波障害や通信が妨害される等の被害や、不法に設置された無線局の目撃、音声等による脅迫や嫌がらせを受けた場合は、他の一般的な犯罪と同様、110番通報[19]により犯行現場に警察を向かわせたり、被害届を提出し犯罪捜査を求める事ができる。
特にアマチュア無線の場合、個人情報保護法が成立した2003年以降も、JARL(日本アマチュア無線連盟)がコールサインから個人の住所、氏名、電話番号、を探す事のできる「日本アマチュア無線局名録」や「JARL会員局名録」の販売を続けており、バックナンバーもネットオークション等で販売され誰でも入手できるため、不幸にも不法局に遭遇しコールサインを聞かれてしまった場合、犯罪者が簡単にアマチュア無線家の個人情報を調べることができてしまう。もし何らかのトラブルが発生した際は早急に110番通報を行う事で、自宅周辺の見回りの強化や、トラック,ダンプ車両等に対する取り締まりの強化を求める事ができる。
取締りと罰則・行政処分
- 取締り
不法無線局に対する取締りは、総合通信局が行う。総合通信局は、司法官庁ではなく行政官庁であり、特別司法警察職員はいないため、取締りは警察あるいは海上保安庁の協力を得て、合同取締りの体裁で行われる。
また、合同取締りとは別に警察あるいは海上保安庁が独自の取締りを行っている。この時に押収された無線設備については、総合通信局に鑑定の依頼をしており、送信可能な周波数及び空中線電力等を測定し、その結果及び当該機器を使用するための免許の有無等が捜査機関に報告される。
- 罰則
不法無線局の開設については、電波法第110条第1項第1号に「免許または登録を受けずに無線局を開設した者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金」と規定している。
また、同法第108条の2第1項には「電気通信業務又は放送の業務の用に供する無線局の無線設備又は人命若しくは財産の保護[注 3]、治安の維持、気象業務[注 4]、電気事業に係る電気の供給の業務若しくは鉄道事業に係る列車の運行の業務の用に供する無線設備を損壊し、又はこれに物品を接触し、その他その無線設備の機能に障害を与えて無線通信を妨害した者は、5年以下の懲役又は250万円以下の罰金」と規定している。
- 第108条の2は不法無線局に限らずすべての無線局に適用され、第2項により未遂も同罪であることから「運用」をしなくとも「開設」しただけで対象となり、刑法第234条の威力業務妨害の「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」より重く処罰される可能性がある。
無線従事者が不法無線局または違法無線局を開設した場合は、「法知識がありながら違法行為を行った」という事で、無資格者に比べて量刑が重くなる。
没収された無線機器は、メーカーや不正改造の有無に関係なく破砕処理される。
罰則とは別に
- 不法無線局または違法無線局を開設し、電波法に規定する刑の執行後または執行猶予期間満了から2年間を経過しない者は、無線局や無線従事者の免許を受けられないことがある[20][21]。
- 無線従事者が不法無線局または違法無線局を開設した場合は、無線従事者の免許の取消し又は3ヶ月以内の業務停止の行政処分の対象にもなる[22]。
注釈
出典
- ^ 監視FAQQ14 違法局という言葉も聞きますが、違法局と不法局との違いは?(関東総合通信局 - 電波環境)を参照
- ^ 電波法 第4条 - e-Gov法令検索
- ^ 電波法 第27条の18第1項 - e-Gov法令検索
- ^ 電波法施行規則 第6条第1項第1号 - e-Gov法令検索
- ^ 海外から持ち込まれる携帯電話・BWA端末、Wi-Fi端末等の利用 総務省電波利用ホームページ - その他
- ^ 技適未取得機器を用いた実験等の特例制度 総務省電波利用ホームページ - その他
- ^ 不法無線局防止のための重点対策の実施結果について -不法三悪ゼロ・プログラムの実施-(北海道電気通信監理局 平成9年広報資料 12月9日付) - ウェイバックマシン(1999年2月19日アーカイブ分)
- ^ 『総務省』2011年6月号(総務省 - 広報誌)(2011年6月7日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF) 13頁
- ^ 不法無線局の特徴(総務省電波利用ホームページ - 電波監理の概要)(2013年1月15日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project1
- ^ a b 第2部第5章第3節情報通信政策の展開(3)電波利用環境の整備ウ 電波の混信・妨害の予防(総務省情報通信統計データベース - 情報通信白書)
- ^ 平成23年総務省告示第225号 電波の規正に関する通報を送信する局の運用(電波産業会 - 情報提供業務) - ウェイバックマシン(2016年3月4日アーカイブ分) (PDF)
- ^ 電波法 第102条の13 - e-Gov法令検索
- ^ 電波法 第102条の14 - e-Gov法令検索
- ^ 電波法 第102条の15 - e-Gov法令検索
- ^ 電波法施行規則 第51条の2 - e-Gov法令検索
- ^ 『不法局探索に新兵器登場!!』JR1WA管理団体(CQ ham radio 1991年5月号 p.373)
- ^ 報告書 各種様式のファイル I1 電波法第80条の報告(東海総合通信局)
- ^ “総務省|関東総合通信局|メールによる相談”. 総務省. 2022年1月14日閲覧。
- ^ “ビジネスパーソンが知っておくべき110番の基礎知識”. ITmedia エンタープライズ. 2022年1月16日閲覧。
- ^ 電波法 第5条第3項第1号 - e-Gov法令検索
- ^ 電波法 第42条第2号 - e-Gov法令検索
- ^ 電波法 第79条第1項第1号 - e-Gov法令検索
- ^ 海外で販売されているトランシーバーについて(モトローラ・ソリューションズ - 特定小電力トランシーバー - 製品のサポート) - ウェイバックマシン(2015年10月17日アーカイブ分)
- ^ 平成25年総務省告示第139号 電波法施行規則第6条第4項第4号(3)及び(5)の規定に基づく小電力データ通信システムの無線局の無線設備の使用場所 総務省電波利用ホームページ - 総務省電波関係法令集
- ^ 周波数割当計画の第2表 27.5MHz-10000MHz
- ^ 昭和25年法律第131号
- ^ 昭和56年法律第49号による電波法改正の施行
- ^ 平成4年郵政省告示第392号、以後の改正を経て平成23年総務省告示第225号に至る
- ^ 平成5年法律第71号による電波法改正の施行
- ^ 平成5年郵政省令第61号による電波法施行規則改正の施行
- ^ 平成8年郵政省令第17号による電波法施行規則改正
- ^ 平成8年郵政省告示第412号、以後の改正を経て平成23年総務省告示第225号に至る
- ^ 平成13年総務省告示第396号、以後の改正を経て平成23年総務省告示第225号に至る。
- ^ 平成16年法律第47号による電波法改正の施行
- ^ 上記電波法改正時の第110条改正
- ^ 無線設備試買テストの実施(総務省報道資料 平成25年6月7日)(2013年7月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- ^ 平成25年総務省令第62号による電波法施行規則改正
- ^ 平成27年法律第26号による電波法改正および平成27年総務省令第105号による電波法施行規則改正の施行
- ^ 令和元年法律第6号による電波法改正および令和元年総務省令第58号による電波法施行規則等改正
- ^ 情報通信白書 総務省情報通信統計データベース(出現数と措置数が確認できる平成6年版以降)
- ^ 電波監視 総務省情報通信統計データベース - 分野別データ
- ^ a b 不法無線局等の出現数・措置数 総務省電波利用ホームページ - 電波監視
不法無線局と同じ種類の言葉
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