三角行列
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/12 19:16 UTC 版)
定義と簡単な性質
下三角行列または左三角行列は
上半かつ下半三角な行列は対角行列といい、また三角行列に相似な行列は三角化可能であると言う。
上三角(resp. 下三角)であるという性質は様々な行列演算に関して保たれる:
- 二つの上(resp. 下)三角行列の和は上(resp. 下)三角行列である;
- 二つの上(resp. 下)三角行列の積は上(resp. 下)三角行列である;
- 正則上(resp. 下)三角行列の逆行列は上(resp. 下)三角である;
- 上(resp. 下)三角のスカラー倍は上(resp. 下)三角である。
これらの事実により、与えられたサイズの上(resp. 下)三角行列の全体は、同じサイズの正方行列の成す結合多元環(行列環)の部分多元環を成すことがわかる。さらに加えて、リー括弧積を交換子 [A, B] ≔ AB − BA を与えれば、同じサイズの正方行列全体の成すリー環の部分リー環としても見ることもできる。この上(resp. 下)三角行列全体の成すリー環は可解リー環であり、またしばしば全行列リー環のボレル部分リー環とも呼ばれる。
上記の記述においては下半と上半を混ぜた演算を行ってはならない(その場合、一般には三角行列にならない)。例えば上三角行列と下三角行列の和は任意の行列となり得るし、下三角行列と上三角行列との積も三角行列でないものになり得る。
注釈
出典
- ^ a b Axler 1996, pp. 86–87, 169.
- ^ Herstein 1975, pp. 285–290.
- ^ Borel subgroup in nLab
- ^ parabolic subgroup in nLab
- ^ Heisenberg group in nLab
三角行列と同じ種類の言葉
- 三角行列のページへのリンク