三菱自動車水島FC 概要

三菱自動車水島FC

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/05 20:51 UTC 版)

概要

母体は三菱自動車工業水島製作所。多くの選手が期間工として働いている[1]

1946年に「三菱自工水島FC」として創部。1990年代に入ると中国サッカーリーグで強豪チームとなり、2005年シーズンからJFLに5年間参加。2010年のみ下記歴史の事情により1年間は岡山県リーグ1部、以降中国リーグに在籍している。

チームカラーは「赤」。ギリシャ語ダイヤモンドの語源であり、英語では「断固とした・強固な」という意味を有する「レッドアダマント」の愛称を持っている。マスコットキャラクターは、桃太郎をモチーフとした「桃助」、「こももちゃん」、「まもる君」。

かつては女子サッカーチーム「レッドアダマントFC」が存在していたが2008年度を以て廃止された。

歴史

1946年、終戦で荒廃した水島地区の地域レクリエーションの向上を目指して「三菱自工水島FC」として設立され、1965年から岡山サッカーリーグに在籍。県内の実業団サッカーをリードするチームとして長年活躍。1979年中国サッカーリーグ昇格を果たしたが、1982年に岡山県リーグに降格。

その後1990年に8年ぶりの中国リーグ復帰を果たしてからは常にリーグ上位に君臨。1992年に初優勝して以来2004年まで5回の優勝を達成。2004年度の第28回全国地域リーグ決勝大会で初優勝を果たし、JFL昇格が決定した。

これを機に地域密着型チーム運営を目指すことになった。ただJFL昇格後の成績は芳しくなく、多くの選手が期間工として2交替勤務で1週間おきに夜勤があるため、なかなかベストメンバーで試合ができず、チームは下位に低迷した[1]

JFL昇格1年目の2005年は勝ち点8で16チーム中最下位だった。特に後期は勝ち点を3しか上げられず、2005年から2006年にかけて15連敗を喫することになる。ちなみに三菱水島が2005年から2006年に記録した15連敗はJFLのリーグワースト記録である。

2006年も苦しい戦いとなり前期は17位と残留争いに巻き込まれたが、後期は12位と持ち直した。最終順位は17位となるも、佐川急便東京SC佐川急便大阪SCの合併で全国地域リーグ決勝大会上位チームとの入替戦の対象が18位チームだけになったこともあり、JFL残留を果たした。

2007年は前期9位と健闘し、最終成績15位で残留を果たす。

2008年は降格圏内に低迷、しかし上位チームのJ2昇格(栃木SCカターレ富山ファジアーノ岡山FC)に伴い引き続きJFL残留を果たしている。同年にはファジアーノ岡山FCとの岡山ダービーが実現した。

2008年末、世界的な経済情勢の悪化から、今後の活動について運営費削減および活動縮小が懸念された。これに対し、ホームスタジアム・岡山県笠岡陸上競技場のある笠岡市が、同クラブが地域スポーツ振興の中核的な存在であるとして活動存続を要望した[2]

2009年も引き続きJFLに在籍したものの、所属選手の半数近くが雇用保険やアルバイトで生計を立てる状況で[3]、チームも最下位に低迷。さらには遠征費どころかJFL加盟料を捻出する事が困難な状況になったため、同年9月30日JFL事務局に脱退する書面を提出、同年10月30日JFL臨時評議員会にて認められ、成績にかかわらず降格が決定した[4][5]。三菱自動車では長引く不況の影響で、社営水島病院が廃院閉鎖に追い込まれるなど、リストラ策が進められており、本業以外に対する支出に厳しい目が向けられていた。

降格以外の理由でのJFL脱退であるため、全国社会人サッカー連盟の規約上中国リーグ側から参加登録を拒否されたこともあり、2010年はさらにその下の都道府県リーグである岡山リーグ1部に参加することとなった[6]

2010年、岡山県リーグ1部を無敗で優勝。中国地域県リーグ決勝大会で準優勝し、2011年から中国リーグに昇格した。

2016年6月、三菱自動車による燃費データの改竄問題を受けて岡山県サッカー選手権大会(天皇杯県予選)への参加を辞退した[7]。10月、第52回全国社会人サッカー選手権大会で優勝。11月の全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2016では1次ラウンドを3戦全勝したが、決勝ラウンドでは3戦全敗に終わり、大会を4位で終えた。

2017年、13年ぶりに中国リーグ優勝。全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2017では、1次ラウンドBグループでFC TIAMO枚方アミティエSC京都に連敗。最終戦を待たずに1次ラウンド敗退が決まった。

2021年の中国リーグでは後半戦8試合で7勝1分の好成績を収め、最終戦でFCバレイン下関を逆転し4年ぶりの優勝を果たす。「リーグ1巡目の対戦成績」で1位となったことで出場した全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2021では、2分1敗で1次ラウンド4位に終わった。

年度別成績・歴代監督

年度 所属 順位 チーム数 勝点 試合 得点 失点 監督 クラブ名
1978 岡山県1部 2位 三菱自工水島FC
1979 中国 7位 8 7 14 3 1 10 20 22 -2
1980 7位 8 11 14 3 5 6 12 22 -10
1981 8位 8 6 14 1 4 9 8 28 -20
1982 岡山県1部 優勝
1983 優勝
1984 優勝
1985 2位
1986 優勝
1987
1988 優勝
1989 優勝
1990 中国 3位 9 22 16 9 4 3 41 22 19
1991 3位 8 22 14 6 4 4 24 17 7
1992 優勝 8 34 14 11 1 2 36 14 22
1993 2位 8 26 14 8 2 4 37 16 21
1994 2位 8 26 14 8 2 4 34 26 8
1995 2位 8 27 14 7 6 1 30 14 16
1996 3位 8 26 14 8 2 4 42 22 20
1997 4位 8 22 14 6 2PK勝,0 6 31 28 3
1998 3位 8 28 14 9 1PK敗 4 38 18 20
1999 優勝 8 35 14 11 2PK敗 1 38 18 20
2000 2位 8 31 14 8 3PK勝,1PK敗 2 46 20 26
2001 2位 7 22 12 7 1PK敗 4 24 12 12
2002 優勝 8 29 10 9 1PK勝 0 37 9 28
2003 優勝 8 37 14 12 1PK敗 1 34 7 27
2004 優勝 8 41 14 13 1PK勝 0 40 6 34 熊代正志
2005 JFL 16位 16 8 30 2 2 26 24 85 -61 三菱自動車水島FC
2006 17位 18 27 34 7 6 21 32 74 -42
2007 15位 18 35 34 11 2 21 36 53 -17
2008 18位 18 16 34 3 7 24 30 76 -46
2009 18位 18 18 34 4 6 24 28 69 -41
2010 岡山県1部 優勝 13 34 12 11 1 0 44 8 36
2011 中国 4位 10 37 18 12 1 5 47 33 14
2012 5位 10 26 18 7 5 6 45 43 2
2013 7位 10 17 18 4 5 9 26 37 -11
2014 3位 10 33 18 10 3 5 41 23 18
2015 3位 10 40 18 13 1 4 38 22 16 菅慎
2016 3位 10 32 18 10 2 6 49 25 24
2017 優勝 10 46 18 15 1 2 47 18 29
2018 2位 10 32 18 10 2 6 46 25 21
2019 2位 10 47 18 15 2 1 60 13 47
2020 新型コロナウイルスの影響により中止[8]
2021 優勝 9 35 16 11 3 2 42 10 32
2022 5位 10 28 18 7 7 4 41 16 25 山下聡也
2023 5位 10 32 18 10 2 6 30 15 15

  1. ^ a b c 山陽新聞 (2008年12月5日). “JFL三菱自水島 不振の4季目振り返って”. 2008年12月5日閲覧。
  2. ^ 中国新聞 (2008年12月23日). “笠岡市長が水島FC存続要望”. 2008年12月23日閲覧。
  3. ^ 同年1月現在で所属選手35人中、正規従業員17人。山陽新聞 (2009年1月15日). “「不況に屈さぬ」三菱自水島サッカー部 今季JFLへ始動”. 2009年1月15日閲覧。
  4. ^ 山陽新聞 (2009年11月3日). “三菱自水島JFL脱退 今季限り不況など影響”. 2009年11月5日閲覧。
  5. ^ JFL公式 (2009年11月2日). “三菱水島FCのJFLからの脱退について”. 2009年11月2日閲覧。
  6. ^ 山陽新聞 (2010年2月1日). “今季は岡山県1部 岡山社会人サッカー”. 2010年2月3日閲覧。
  7. ^ 47NEWS山陽新聞) (2016年6月14日). “サッカー三菱自水島が天皇杯辞退”. 2016年6月26日閲覧。
  8. ^ 代替大会の「CSL Championship2020」に出場。予選リーグBグループ1位(2勝1分)、決勝トーナメント準決勝敗退。





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