マニュアルトランスミッション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/05 14:09 UTC 版)
概要
一般的にマニュアルトランスミッション(以下MT)は、減速比が異なる歯車の組を、変速段数と同じ数だけ持つ。これに対し、代表的なオートマチックトランスミッション(以下AT)は、遊星歯車機構の動作を切替えて減速比を変更しており、変速段数とギアの組数は必ずしも一致しない。現代の自動車のMTは、運転者が任意のギア段に飛び越して変速できる一方、オートバイやレース車両のMTでは、隣り合うギア段でしか変速することができないものが多い。後者を特にシーケンシャルマニュアルトランスミッションと呼ぶ。
ATが開発され普及した結果、レトロニムとして旧来の手動変速機がMTと称されるようになった。イギリス英語ではマニュアル・ギアボックスとも呼ばれる。日本語の慣例ではMT、マニュアルなどと略称される。一部でMTを指して「ミッション」という略語が用いられる場合があるが、「ミッション」は「トランスミッション」の略であり、MTかATかを区別することにはならない[1]。
2010年代において、日本国内の自動車販売台数におけるMTの普及台数は少なく、業務用の大型車や作業用車両、趣味性が強いスポーツタイプ乗用車などに搭載されるに留まる。またスポーツタイプでも高価格帯では殆ど絶滅状態で、フェラーリ、マクラーレンといった代表的なスーパーカーメーカーではMTを全廃することも珍しくなくなった。フェラーリ最後のMT設定車であるカリフォルニアでは、英国で販売された260台のうち、MTはただ1台だけであったことからもその需要の少なさは窺える[2]。
一方、ポルシェやBMWは依然としてMT車を残しているほか、マツダはCX-8を除く全ラインナップにMTを設定するなど中低価格帯を中心に需要は多少残っている。マツダの場合アテンザは売上の10%、ロードスターに至っては75%がMTである[3]。近年はトヨタもエンジン回転数自動調節機能を持つiMT(インテリジェンス・マニュアル・トランスミッション)を開発して、一般向け乗用車に搭載するようになってきている。
注釈
出典
- ^ コトバンクにてデジタル大辞泉ならびに大辞林第三版の引用
- ^ Ferrari click-clack manual transmissions, RIP CAR MAGAZINE 2011年11月11日
- ^ 池田直渡「週刊モータージャーナル」:一周して最先端、オートマにはないMT車の“超”可能性(2/4) IT Mediaビジネス 2016年3月7日
- ^ a b c d 大車林-自動車情報辞典. 三栄書房. (2003). ISBN 4879046787
- ^ 変速機単体の重量では、依然としてシングルクラッチのMTが最も軽量である。
- ^ 絶滅危惧種か!? 大ブーム到来か!? 「MT」の行方はどっちだベストカーweb 2018年8月27日
- ^ 警察庁2014年運転免許統計 https://www.npa.go.jp/toukei/menkyo/index.htm
- ^ 若者のバイク離れに反攻、バカ売れ“Ninja250”に見るカワサキの「掴(つか)む力」!
- ^ トヨタ カローラ スポーツ 燃費・走行性能トヨタ自動車公式サイト
- ^ [3]
- ^ “アーカイブされたコピー”. 2011年8月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年10月6日閲覧。
- ^ 2010年新車販売台数MT比率(ベストカープラス6月18日増刊号の記事)
- ^ [4]
- ^ 「イタ車&フラ車はMTだ」なんて古い?WEBCG
マニュアルトランスミッションと同じ種類の言葉
- マニュアルトランスミッションのページへのリンク