ヒナタイノコヅチ ヒナタイノコヅチの概要

ヒナタイノコヅチ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/07 07:53 UTC 版)

ヒナタイノコヅチ
愛媛県広見町、2001年10月8日)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
: ナデシコ目 Caryophyllales
: ヒユ科 Amaranthaceae
亜科 : Amaranthoideae
: イノコヅチ属 Achyranthes
: イノコヅチ(広義) A. bidentata
変種 : ヒナタイノコヅチ
A. b. var. fauriei
学名
Achyranthes bidentata
Blume
var. fauriei
(H.Lév. et Vaniot)[1]
シノニム

Achyranthes bidentata
Blume
var. tomentosa
(Honda) H.Hara
Achyranthes fauriei
H.Lév. et Vaniot

和名
ヒナタイノコヅチ(日向猪子槌)、ヒナタイノコズチ、オニイノコヅチ

名称

和名は、イノコヅチ(ヒカゲイノコヅチ)よりも日当たりのよい場所に生えることに由来する。イノコヅチは漢字で「猪子槌」と書き、茎の節にある太い膨らみの形が、イノシシの子どもの大きな膝頭と、物を打ちたたく道具であるに例えられたところから来ている[2][3]

実は、衣服によくつくことから「ひっつきむし」などと呼ばれる[4]

分布・生育地

中国および日本に分布する。日本では、北海道の一部、本州四国九州に生える。各地の山野、道ばた、庭や空き地など、日当たりの良いところに自生する[5][2]

特徴

ヒナタイノコヅチの果穂
(茨城県常陸太田市 2022年9月)

は地中深くに伸び、まばらにひげ状に出ていて[5]、引き抜きにくい。

草丈は50 - 100センチメートルに生長する[2]は丸くなく角張った方形で、節が高く、節で対生に枝を出す[5][2]対生、楕円形、葉先は尖り、表面にまばらに毛がある[5]

期は夏(8 - 9月)で、茎の枝先に穂状花序で、目立たない緑色の小花を咲かせる[5][2]花びらはなく、5本の雄しべがある[2]

秋に結実し、果実は3個の針状の苞に包まれ下向きに下がる[5]。苞の先端が鋭く尖っており、人の衣服の体に付着し運ばれて散布される[5][2]

とてもよく似た類似植物に、半日陰に多くややほっそりしたヒカゲイノコヅチがあり、ヒナタイノコヅチと混生していることも多く区別が難しい[6]。ヒカゲイノコヅチは葉質が薄く、毛が少ないのに対して、ヒナタイノコヅチでは、茎が太くややがっちりしていて毛が多く、葉は厚く尖っていて、花が密につき花柄が太くて短いことで区別される[5][7][4][6][8]

利用

本種または A. bidentata(本種の基本種)のを、晩秋に地上部が枯れたはじめた頃に採取して、水洗いして天日乾燥させたものが、牛膝(ごしつ)という生薬になる[5]。牛膝は、根が太く多肉質のが良品とされている[5]。最も良質なのは中国産の川牛漆(せんごしつ)といわれており、日本では、ヒナタイノコズチのうち、太い根をもつ系統を選んで栽培されている[5]

期待される薬効は、浄血、月経不順利尿腹痛関節痛強壮、産前後の諸病などで、5 - 8グラム (g) の根を水400 ccで半量になるまで煎じた液を、1日3度分服することで利用される[5]。乳房の腫れには、煎液または生葉汁で湿布する利用方もある[5]。牛膝は牛膝散、折衝飲などの漢方方剤に使われる。


  1. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)”. 2012年6月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月26日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g 田中修 2007, p. 158.
  3. ^ 亀田龍吉 2012, p. 92.
  4. ^ a b 亀田龍吉 2012, p. 93.
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m 馬場篤 1996.
  6. ^ a b 稲垣栄洋 2018, p. 175.
  7. ^ 田中修 2007, p. 159.
  8. ^ 菱山忠三郎 2014, p. 161.


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