シャア・アズナブル
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その他の活躍
シャア本人は登場しないが、宇宙世紀0110年、サナリィにおいてガンダムF90が開発され、その2号機にはシャアの戦闘データがプログラムされた疑似人格コンピューター[22] "TYPE C.A" が搭載されている。これは通常のMSの3倍の反応速度で動くことを可能としている[23][22]。そしてF90をテストベッドとした実験は、宇宙世紀0122年までの長きにわたり繰り返されている。
このほか、シャアの記憶を封じ込めたチップが登場する作品がある。
- 小説『ガイア・ギア』
- 宇宙世紀200年代、シャアはこの時代かつての宇宙移民者独立運動のリーダーとして語り継がれ[24]、彼の「遺産」を受け継ぐ者としてアフランシ・シャアという青年が登場する。劇中ではアフランシの脳内にはシャアの意識、記憶を封じ込めたセルチップが埋め込まれているので、時折アフランシの脳内でシャアの声が響く(ラジオドラマ(CDドラマ)ではアフランシの脳内のシャアの声を池田秀一が担当)。
ザビ家との因縁
父ジオン・ダイクンを暗殺したといわれるザビ家への憎しみは強く、父の同志であり家族を保護することになったジンバ・ラルが、彼と妹アルテイシアに口癖のように吹き込んだ謀殺説は、後にシャアの行動の根幹として残った。
ザビ家の末弟ガルマとは友情を育み、同時に次兄ドズル(『THE ORIGIN』では次兄はサスロで、3番目の兄がドズル)からも信頼されていたが、ガルマを守れなかった一件で左遷されて以降はドズルとは接触を絶った。しかし『若き彗星の肖像』では、ドズルはアクシズにおいてシャア専用のMAゼロ・ジ・アールの開発を推進している。キシリアは本人曰く四歳くらいの頃に遊んであげていたこともあり、シャアがキャスバルであることを知りながら懐刀として麾下に置いていた。
シャアは、ガルマ謀殺の後はザビ家への復讐よりはニュータイプへの関心を強め、自身もニュータイプ能力を開花させるに至った。テレビ版最終話のア・バオア・クーにおいて、妹セイラに「敵はザビ家ではなかったの?」と聞かれ、「ザビ家打倒なぞ、もう、ついでのことなのだ、ジオンなき後はニュータイプの時代だ」と返答している。しかし、シャアは結局ア・バオア・クー内部での混乱に乗じて直接キシリアを手にかけている。
ザビ家の遺児にして、かつての上官ドズルの娘であるミネバ・ザビには、まだ赤ん坊であったことやザビ家への復讐に区切りをつけたことで害意を持たず、普通の子供としての育成に協力し、ミネバからはハマーン以上に信頼されていた。だが、ハマーンが彼女を「ザビ家の統治がスペースノイドひいては人類のため」として傀儡君主に育てたことへの怒りが、ハマーンとの決別に繋がる。後にシャアはグリプス戦役終盤に彼女を連れ出し、スウィート・ウォーターでの暮らしのなかでハマーンの刷り込みを解消した。その後の彼女との関係は語られていない。
- 『THE ORIGIN』ではシャアのザビ家に対する復讐への行動理念は、全く別の解釈がされている。本編(テレビ版)では父の死に対する復讐であったが、『THE ORIGIN』では母の死に対する復讐になっている。『THE ORIGIN』原作者の安彦良和は、映画『逆襲のシャア』を克明に見ていないと前置きした上で、シャアが怪しいメッセンジャーになったと感じていた。父の死に対する復讐では、シャアのこれだけ歪んだ心性をしていることに説明がつかないと思えた。そこで本編(テレビ版)には名前も登場しない母親を登場させ、シャアの中で幼児期の強烈なトラウマを作った。だから『THE ORIGIN』のシャアはマザコンでずっと幼児性を引きずっていると安彦氏は表現している[25]。それを踏まえて『THE ORIGIN』でのシャアは母と引き離されたことから母親への愛情を渇望する傾向にあった。そしてザビ家の刺客に襲われ、それに追い打ちをかけるかのようにサイド3で母が死亡したことが、まだ少年であったシャアの精神を摩耗させ、疑心暗鬼の彼にザビ家と無関係な男を殺そうともさせた。結果として、彼は復讐のため面持ちの似た本物のシャアに成り済ましてサイド3へ潜り込み、両親の復讐劇に身を投じた。
- なぜこのようなシャアの過去をパラレル作品である本作で作り出したかについて、原作者の安彦良和いわく「シャアが本来ネガティブな存在であるはずなのに、『機動戦士Ζガンダム』以降はいつの間にかポジティブな人物にされていると感じていた。デザインを担当していたから『Ζ』の絵コンテを読んでいたが自分はシャアが何をしたいのか掴むことが出来なかった。シャアが主役っぽく動き出すことで物語が破綻してきているように感じた。だからシャアは反面教師にならなければいけないキャラクターであるから、シャアはヒーローだと思っているファンの誤解を解くために過去を描いてみた。」ということである。そして漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、編集部が「いっそ一周して第一話に戻るまでやりましょう」と言い出したのもあって、結局過去編で6巻分も使うことになったのだと言う[26]。
シャアを取り巻く人々
- 周囲への影響力
- シャアは、そのずば抜けた実力で部下からは絶対的な信頼と畏怖を受けており、後にはその出自も加わって絶大なカリスマ性をも身につけている。これによって第二次ネオ・ジオン抗争では多くの新生ネオ・ジオン兵士を魅了した。
- シャアが反乱で消息を絶ってからも彼の影響は少なからず残り、特にスペースノイドの間にはシャアを連邦の圧政に対抗した英雄と見なす傾向もあった。『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』では、シャアの地球を保全するという思想を受け継いだマフティー・ナビーユ・エリン(正体はハサウェイ・ノア)なる人物が登場する。
- 友人関係
- 一年戦争時は復讐を第一に考えて行動していたため、これといった友情を育んではいなかったきらいがある。その中でガルマ・ザビはシャアの親友とされているが、その真偽は未だに明らかにはされていない。シャアはガルマのことを「いい友人だった」と語っているが、事実を見るかぎりガルマとの交友はザビ家への復讐の足掛かりであり、彼の謀殺に至る行動の裏の心情は不明なままである。
- 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、「復讐の後になんの高揚感もなく、ただ自分を信じていた友を裏切ったという空しさだけが残り、自分に嗤ったのです」とキシリアに告げるシーンが追加されている。また、士官学校時代からのガルマとの交流も詳細に描かれている。なお、真のシャア・アズナブルとの交際は打算に裏打ちされたものでしかなく、アニメ版ではシャアの正体を知った上で接近するリノ・フェルナンデスを謀殺するなど、その他の友情の芽は敢えて摘んでいた。
- 『逆襲のシャア』では、シャアがライバルとして認めたのはアムロ・レイだけである。
- 劇場版『Ζ』では、エゥーゴの一員であるヘンケン・ベッケナーのエマ・シーンに対する恋愛成就を陰で応援しており、二人への親愛を見せている。テレビ版でもアムロやブライト他、エゥーゴ関係者とは腹蔵のない会話を交わしていた。
- ジオン時代から部下からは尊敬と信頼を集めており、エゥーゴでもカミーユ・ビダンとは強い信頼関係を培うと共に、自分とアムロのような過ちを踏んで欲しくないと願った。しかし、その願いも虚しくカミーユはパプテマス・シロッコとの戦いの果てに精神が崩壊し、ハマーンとの決別と共にネオ・ジオン再興の原因の一つにもなる。
- 指導者としてはブレックス・フォーラ准将を尊敬しており、その死に立ち会った際には涙を見せて悲しんでいる。アクシズ時代を描いた『若き彗星の肖像』では、マハラジャ・カーンの無血によるスペースノイドの独立自治という理想に惹かれ、彼の指導する穏健派に協力していた。彼の死後、シャア本人は幼い頃に暗殺された父の面影をマハラジャに重ねていたと自己分析している。
- 第二次ネオ・ジオン抗争では、アムロと互角に戦って勝つことが自身にとって真の勝利であると定義し、サイコフレームの技術を意図的にアナハイム・エレクトロニクスのフォン・ブラウン工場へと流出させνガンダムに搭載させている。
- 女性関係
- ララァ・スンの類稀な才能が、シャアがニュータイプの能力に興味を見出した原点である。そして戦場で、シャアの目の前でララァがアムロとニュータイプ同士の共感を起こし、戦闘の結果死亡したことがアムロとの確執の一因である。彼女を亡くしてから14年後に「ああ…私を導いてほしかった…」と回想しており、シャアの中でララァを失った悲しみは未だに癒えず、未練な気持ちを引きずっていた。
- エゥーゴ所属中、レコア・ロンドと一時期に接触はあったが、彼女の想いを受け止めることはできなかった。
- ハマーン・カーンとは共にニュータイプ主導の世界を望んだが、その方針の違いが原因で決別してしまった。『若き彗星の肖像』では、そのハマーンの親しい友人であったナタリー・ビアンキと恋仲になると共に、彼女はシャアの子を身籠もっていたが、後に暗殺されることとなり、ハマーンが彼女を見殺しにしたことやミネバ・ザビを「偏見の塊」に育てたことが決別の一因にもなる。
- 第二次ネオ・ジオン抗争時の副官ナナイ・ミゲルはシャアの愛人であった。
- 天才的なNTとしての力を発揮し始めたクェス・パラヤはかつてのララァ・スンを想起させ傍に置いていたが、彼女の求めていた父親代わりにはなれなかった。
- シャアは様々な女性と重要な関係を持っているが、これらは家族を失い愛に餓えた反動ではないかと言われてもいる[27]。漫画『機動戦士ムーンガンダム』では連邦情報局により、母の愛を実感できなかったことから女性に対して母性を求めるが、反面愛情を感じさせてくれなかった母を憎んでもいて、そのことから女性を道具扱いすることにも躊躇がないと分析され、さらに「女に甘やかされるとダメになる典型」と評されている。
- シャアの子孫
- 『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』では、ハマーン・カーンの侍女であるナタリー・ビアンキ中尉がシャアの子を身籠もるが、ハマーンの嫉妬による裏切りにより母子ともに死亡した。
- なお、『機動戦士Vガンダム』に登場する主人公ウッソ・エヴィンの母親ミューラ・ミゲルと、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場するシャアの恋人であった女性ナナイ・ミゲルは、両者ともファミリーネームが「ミゲル」であることから、ファンの間ではウッソはナナイとシャアの子孫(孫もしくは曾孫)では? と噂された。『ガンダムエース』誌にて「シャアの末裔説」の存在について公式な書籍で初めて言及された[要出典]。ここでは、ナナイ・ミゲル (Nanai Miguel) とミューラ・ミゲル (Myra Miggell) の「ミゲル」のアルファベットの綴りが違うことが言及され、ウッソとミューラがシャアの末裔ではないかという指摘は富野監督から否定されている。
注釈
- ^ 英文表記の初出は、サウンドトラック『機動戦士ガンダムIII アムロよ…』の販促用ポスター[4]。
- ^ 初期の資料ではスペルがQuattro Vaginaとなっていた。
- ^ 「宇宙世紀余話」より。「第6機動大隊」は書籍『戦略戦術大図鑑』が初出。
- ^ ガルマが初めてホワイトベースと戦ったテレビ版第6話のシャアは「彼(ガルマ)がガンダムと戦って死ぬもよし、危うい所を私が出て救うもよしと思っていたが」と独白しており、当初は今すぐに殺す意図はなかったことがわかる。
- ^ マグネット・コーティング処理される前日の戦闘では互角の戦いだったので、シャアは「昨日までのガンダムとは違う」と驚愕している。
- ^ 「ヘルメットがなければ即死だった」と言っているように、ヘルメットのバイザーシールドと仮面で二重の防護になっていたため致命傷は免れる。アムロはシャアの剣に左肩を刺されている。
- ^ 角のある特徴的なヘルメット姿の人物のシルエットがブリッジに確認できるが、その人物がシャアであるかは示されていない。
- ^ デザイン担当のことぶきつかさによれば、同ゲームは "UC NEXT 0100" の一環であり、オリジナル部分の物語に関しては宇宙世紀の正史扱いとなるとしている[12]。
- ^ シャア・アズナブルの正体がジオン・ズム・ダイクンの遺児・キャスバルであることは、ダカール演説によって初めて世に知られたとする解釈がある[17]が、『Ζガンダム』本編の第5話「父と子と…」におけるカミーユの発言から、シャアがジオン・ダイクンの実子であり、一年戦争において復讐のためにザビ家打倒を目論んでいたことは、物語の開幕時点ですでに世間に知られていたと思われる[18]。
- ^ 現実にドイツ語圏の大学には伝統的にメンズーアと呼ばれる慣習があり、真剣を用いたフェンシングの試合とそれによる向う傷を名誉なものと称揚する慣習がある。
- ^ 正式な出撃でないケースでは、カミーユの父フランクリンが逃亡を図った際にノーマルスーツなしでガンダムMk-IIに搭乗した描写がある。なお、この場面は正史とされるアニメ版の中でシャアが「ガンダム」を称するモビルスーツに搭乗した唯一の例でもあった。
- ^ 「シャア専用」は創通により商標登録もされている(登録番号第4973642号)。
- ^ 歌手アズナヴールとシャアの関係については、日本テレビ系列『スッキリ!!』(2010年11月2日放送)でも紹介。
出典
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- ^ a b c d 倉田幸雄(編)「アニメキャラリサーチ シャア・アズナブル 機動戦士Ζガンダム」『アニメディア』1986年2月号、学習研究社、1986年2月1日、75頁、雑誌01579-2。
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- ^ “CHARACTER”. 機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式サイト. 2019年7月16日閲覧。
- ^ “シャア・アズナブルは、なぜあんなにややこしいのか?”. ギズモード・ジャパン (2016年5月20日). 2019年7月16日閲覧。
- ^ 『機動戦士Ζガンダム 第二部 アムロ・レイ』カバーページの説明文より
- ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック 2巻』収録の「誕生」より。
- ^ 第2話「ガンダム破壊命令」より。
- ^ 『機動戦士ガンダム』第24話、キリシア・ザビとジオン軍高級将校との会話より。
- ^ 小説『密会 アムロとララァ』62ページ
- ^ ガンダムエース02 2022, p. 527, 「《ことぶきつかさ》の出来るまで」第54回.
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- ^ 『月刊ガンダムエース』 2014年7月号 特別付録 機動戦士ガンダムUC メモリアルBOOK II 「機動戦士ガンダムUC」完結 福井晴敏インタビュー
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- ^ “マクドナルドで6月22日から「ガンダム」コラボ開始 見せてもらおうか、地球のハンバーガーの性能とやらを ようこそ「シャア専用マクドナルド」へ。”. ねとらぼ. 2022年6月15日閲覧。
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