シャア・アズナブル
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シャア専用モビルスーツ
機体色
- 赤いモビルスーツ
- シャアが搭乗するモビルスーツは、通常の量産機とカラーリングが異なっており、若干ピンクがかった赤(アニメの色指定上は、ガンダムの白とバランスを取るために胴体がワインレッドないし小豆色、手足がサーモンピンク)で塗装されている。機体名は頭に「シャア専用」を付けることで区別されており、現実世界におけるガンダムの関連商品においても、シャアの専用機体と同じカラーリングのものは「シャアカラーの○○」ではなく、「シャア専用○○」という名称で発売される[注 12]。
- ただしこのピンクを主体とした配色は監督の富野の意図に沿うものではなく、むしろ後のリック・ディアスやサザビーのような赤をイメージカラーと考えていたと後年監督は語っている。ピンクの使用はそのカラーの塗料が当時サンライズで余っていたためとの説があるが、氷川竜介はシャア専用ザクのピンクがこの作品のために新規に調合された特色だと主張している[29]。また、色指定をしたスタッフが「オレがあの赤をつくったんだ!」と発言したとの説もある[30]。なお、赤ではなくピンクである理由については以下のものがある。
- 非公式設定だが、ゲーム『ギレンの野望』では、士官学校を首席卒業したシャアを妬んだ機材担当者により、赤系の下地塗装(モビルスーツに塗るかはともかくとして、サビ止め塗料の代表的な色である)しか施されていない機体をあてがわれたのが起源とされている。
- 赤以外のカラー
- 現在でも「シャア専用=赤」のイメージは強いが、シャアの乗った機体のカラーリングが、全て「赤」だったわけではない。例えば、開発途中だったジオングは、角の色こそ赤いもののグレーとダークブルーである。また百式は、耐ビームコーティング塗装を施していたため金色だった。また逆に『Ζガンダム』以降はシャア機以外にも赤いMSが多数登場しており、あさのまさひこは当時『モデルグラフィックス』誌上にて「『ガンダム』における「赤」のシンボル性が解っていない」「シャアはダカールで正体をバラした後に、百式を赤く塗り替えるべきだ」と発言している。なお、『Ζガンダム』における赤いMSの乱発は、またしても赤の塗料が大量に余っていたのが理由だとの説もあるが、真偽は明らかではない。
- 劇中では、紺と黒の「ティターンズ・ブルー」を嫌ったエゥーゴのパイロット達が、リック・ディアスの制式塗装を紺から「評判の高い」(クワトロ機の)赤に変更したことになっている。また、ティターンズ側にも(マラサイなど)赤色系統の機体が多くなり、シンボルカラーとしての効果が薄くなってしまったため、百式は新たなシンボルカラーとして金色に輝く機体となった、との説もある。これについて富野は、『Ζガンダム』企画中に「もう『赤い彗星』の異名は古いんじゃないか。『黄金のシャア』にしよう[33]。」と発言していたことが明らかにされている。『GUNDAM EVOLVE 12』および、漫画『機動戦士ガンダム U.C.戦記 追憶のシャア・アズナブル』ではアストナージ・メドッソに百式を赤くするかどうか聞かれたが、最終的には金色のままにすることを決めている。
その他の特徴
- 頭の角
- 彼の乗る機体には多くの場合角が装着されている。これは彼専用という訳ではなく、ジオン軍の小隊隊長仕様のMSにほぼ共通しているものであり、後に「指揮通信用ブレードアンテナ」という設定が付与されているが、作中では彼が搭乗するザクIIが初めての角ありMSとして描写されたため、「シャアの機体=赤くて角付き」という印象が強く持たれることとなった。
- 実際には、シャア専用の機体で純粋に角付きといえるものはザクIIとゲルググの2種類しかない。角ありのジオングやサザビーは角なしの量産機がないため区別が出来ず、ズゴックはそもそも角がない(付けていない)機体である。リック・ディアスには後付設定として、一般機と異なったモノアイガードや膝装甲が設定されている。百式は連邦系デザインのため映像上は角はないが、永野護によるノベライズ単行本の表紙イラストではジオン系の角が認められる。
- パーソナルマーク
- 彼のパーソナルマークはしばらく設定されず、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』にてキャスバル・ダイクン(もしくはシャア・ダイクン)の頭文字である「CD」を機体に描いたのが公式設定としては最初である。後に、プラモデル「マスターグレード MS-06S ザクII」においてA(アズナブルの頭文字だが、この名で彼を呼ぶ者はほとんどなく、富野作品に共通するファーストネーム重視の原則にも外れている)の文字上に鷲が翼を広げているマークが設定されるが、漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では尾を引く彗星が機体に描かれている。
通常の3倍のスピード
テレビ・シリーズ『機動戦士ガンダム』第2話内で、ホワイトベースのオペレーター、オスカー・ダブリンにより、同艦に迫るシャア専用ザクが通常のザクの3倍のスピードで接近していると報告された。パオロ・カシアス艦長はこの「3倍の速度で接近」という報告を聞いただけでそれがシャアのザクであると特定した。
『ガンダムセンチュリー』(みのり書房)や『エンターテインメントバイブル1MS大図鑑機動戦士ガンダム』(バンダイ)では、シャアの乗機MS-06Sの推力は06Fの1.3倍程度と記され、またこの06Sは量産されており、シャア以外にも黒い三連星などの使用例があるものとされた。
一方、アニメーション脚本上で「3倍」とされた点については、母艦から戦域への戦略機動である移動速度が「3倍の速度で接近」という事実はなかったことにされ、対艦攻撃の際の艦から艦、隕石から隕石への跳躍速度であることに変更された。『第08MS小隊』に収録された映像特典「宇宙世紀余話」でもシャアのルウム戦役での逸話「5隻飛び」として再解説がなされた。これによれば、「3倍」とはシャアの乗るMSの推進力の噴射と同時に戦艦や隕石を次の標的へ向かう際の踏み蹴る足場として利用するといった、MSの人型兵器である利点を器用に使うことで「赤い彗星」「3倍の速度」といった渾名が生まれたこととされた。
なお、『機動戦士ガンダムUC』に登場する「赤い彗星の再来」と渾名されるフル・フロンタルにも、この隕石などを踏み切る際の足場に利用する加速技術という観点で描写され、発進位置からの直線的移動としては描かれていない。資料や関連ゲーム作品によっては「3倍」ではなく「30パーセント」となっていることもある[34]。
注釈
- ^ 英文表記の初出は、サウンドトラック『機動戦士ガンダムIII アムロよ…』の販促用ポスター[4]。
- ^ 初期の資料ではスペルがQuattro Vaginaとなっていた。
- ^ 「宇宙世紀余話」より。「第6機動大隊」は書籍『戦略戦術大図鑑』が初出。
- ^ ガルマが初めてホワイトベースと戦ったテレビ版第6話のシャアは「彼(ガルマ)がガンダムと戦って死ぬもよし、危うい所を私が出て救うもよしと思っていたが」と独白しており、当初は今すぐに殺す意図はなかったことがわかる。
- ^ マグネット・コーティング処理される前日の戦闘では互角の戦いだったので、シャアは「昨日までのガンダムとは違う」と驚愕している。
- ^ 「ヘルメットがなければ即死だった」と言っているように、ヘルメットのバイザーシールドと仮面で二重の防護になっていたため致命傷は免れる。アムロはシャアの剣に左肩を刺されている。
- ^ 角のある特徴的なヘルメット姿の人物のシルエットがブリッジに確認できるが、その人物がシャアであるかは示されていない。
- ^ デザイン担当のことぶきつかさによれば、同ゲームは "UC NEXT 0100" の一環であり、オリジナル部分の物語に関しては宇宙世紀の正史扱いとなるとしている[12]。
- ^ シャア・アズナブルの正体がジオン・ズム・ダイクンの遺児・キャスバルであることは、ダカール演説によって初めて世に知られたとする解釈がある[17]が、『Ζガンダム』本編の第5話「父と子と…」におけるカミーユの発言から、シャアがジオン・ダイクンの実子であり、一年戦争において復讐のためにザビ家打倒を目論んでいたことは、物語の開幕時点ですでに世間に知られていたと思われる[18]。
- ^ 現実にドイツ語圏の大学には伝統的にメンズーアと呼ばれる慣習があり、真剣を用いたフェンシングの試合とそれによる向う傷を名誉なものと称揚する慣習がある。
- ^ 正式な出撃でないケースでは、カミーユの父フランクリンが逃亡を図った際にノーマルスーツなしでガンダムMk-IIに搭乗した描写がある。なお、この場面は正史とされるアニメ版の中でシャアが「ガンダム」を称するモビルスーツに搭乗した唯一の例でもあった。
- ^ 「シャア専用」は創通により商標登録もされている(登録番号第4973642号)。
- ^ 歌手アズナヴールとシャアの関係については、日本テレビ系列『スッキリ!!』(2010年11月2日放送)でも紹介。
出典
- ^ 記録全集2 1980, p. 140, 「人物対比図2」.
- ^ a b c d 倉田幸雄(編)「アニメキャラリサーチ シャア・アズナブル 機動戦士Ζガンダム」『アニメディア』1986年2月号、学習研究社、1986年2月1日、75頁、雑誌01579-2。
- ^ a b アニメージュ12付録 1980.
- ^ ロマンアルバム 1980, p. 170.
- ^ “CHARACTER”. 機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式サイト. 2019年7月16日閲覧。
- ^ “シャア・アズナブルは、なぜあんなにややこしいのか?”. ギズモード・ジャパン (2016年5月20日). 2019年7月16日閲覧。
- ^ 『機動戦士Ζガンダム 第二部 アムロ・レイ』カバーページの説明文より
- ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック 2巻』収録の「誕生」より。
- ^ 第2話「ガンダム破壊命令」より。
- ^ 『機動戦士ガンダム』第24話、キリシア・ザビとジオン軍高級将校との会話より。
- ^ 小説『密会 アムロとララァ』62ページ
- ^ ガンダムエース02 2022, p. 527, 「《ことぶきつかさ》の出来るまで」第54回.
- ^ a b c d 小説逆襲のシャア後篇 1988, p. 65.
- ^ a b EBグリプス戦争編 1989, p. 63.
- ^ 漫画『機動戦士ガンダムUC 虹にのれなかった男』
- ^ “機動戦士ΖガンダムII A New Translation 恋人たち”. GUNDAM.INFO (2019年5月12日). 2020年7月15日閲覧。
- ^ 『プロジェクトファイル Ζガンダム』SBクリエイティブ、2016年10月3日、60頁。
- ^ 『評伝シャア・アズナブル -《赤い彗星》の軌跡- 上』講談社、2006年12月6日、168頁
- ^ U.C.ENGAGE Twitter 2023.
- ^ ラポート『富野語録 富野由悠季インタビュー集』143頁(初出は同社刊のアニメ雑誌『アニメック』 86年5月号より)。
- ^ ラポート『富野語録 富野由悠季インタビュー集』149頁(初出は同社刊『機動戦士Ζガンダム大事典』より)。
- ^ a b ガンダム辞典v1.5 2009, pp. 122–124.
- ^ 電撃DC(8) 1998, p. 71.
- ^ 小説『ガイア・ギア 2巻』表紙解説ページ
- ^ 2012年1月4日 第3回 「マザコンで、幼児性ひきずってる」 復讐の原点は母の死(シャア (2)) 重要なガルマの死
- ^ 『アニメーション「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」キャラクター&メカニカルワークス 上巻』7ページ
- ^ “「Q.5月12日は母の日!シャアの母になれそうなキャラクターは?」はララァ・スンが1位!【5/6~5/12】”. GUNDAM.INFO (2019年5月12日). 2020年7月12日閲覧。
- ^ 漫道コバヤシ16回 2015年5月19日
- ^ 氷川竜介著 『アニメ重箱の隅』 IRD工房(2010年) 初出は「アニメージュWeb」
- ^ 「「シャア専用ザク」の赤は、なぜ3倍強そうなのか アニメ彩色の知覚心理学 _ J-CAST会社ウォッチ(2_2)」
- ^ a b 「夢見て走れ | 桃色彗星 (2005-10-20)」
- ^ a b “『ガンダム』シャアのMSがピンクなのはナゼ? 都市伝説「絵の具が余ったから」はホント?”. マグミクス. 2023年11月17日閲覧。
- ^ 『別冊アニメディア』 「機動戦士Ζガンダム完全収録版」より。
- ^ 『機動戦士ガンダム (PlayStation 2)』のMS VIEWERの解説ボイスなど
- ^ a b c 『映画秘宝』関係者の中にいたガンダム野郎編「サンライズ企画案デスク(当時) 飯塚正夫INTERVIEW 『機動戦士ガンダム』誕生の秘密 いかにして『ガンダム』は大地に立ったか」『ガンダム・エイジ ガンプラ世代のためのガンダム読本』洋泉社、1999年4月9日、ISBN 4-89691-379-5、66頁。
- ^ [1]
- ^ “「アムロ・レイの演じ方〜古谷徹の演技・人物論〜」第7回(後編)”. Febri. 2022年12月21日閲覧。
- ^ “機動戦士ガンダムUC 公式Twitter”. 2018年4月27日閲覧。
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- ^ MSの教科書逆シャア&UC 2023, p. 140.
- ^ ジオン公国大解剖 2021, pp. 87–88.
- ^ 古橋一浩(インタビュー)「『機動戦士ガンダムUC』の始まりから終わりまで 古橋一浩監督、サンライズ小形尚弘プロデューサーインタビュー 前編」『アニメ!アニメ!』、株式会社イード、2014年6月6日 。2020年6月7日閲覧。
- ^ 『月刊ガンダムエース』 2014年7月号 特別付録 機動戦士ガンダムUC メモリアルBOOK II 「機動戦士ガンダムUC」完結 福井晴敏インタビュー
- ^ “『機動戦士ガンダムUC』福井晴敏インタビュー 5年の歳月を経て完結[後編]”. アニメ!アニメ!. 株式会社イード (2014年8月10日). 2014年8月10日閲覧。
- ^ 朝日新聞 1986年11月16日 15面(ラジオ欄)より。
- ^ “シャア大好き女優・富田靖子さん、今もガチだった「赤い彗星への想いは変わりません」”. まいどなニュース (2021年5月3日). 2022年7月4日閲覧。
- ^ “【名探偵コナン】原作者のガンダム愛が炸裂! ガンダムシリーズを彷彿とさせるコナンキャラ3選”. citrus. citrus 編集部 (2020年8月26日). 2022年7月18日閲覧。
- ^ 『女の子のための「名探偵コナン」オフィシャルファンブック ラブ・コナン』小学館、2004年4月20日、77頁。
- ^ “アムロと安室が並んだ!ガンダム THE ORIGIN×名探偵コナンのコラボポスター”. コミックナタリー. 株式会社ナターシャ (2018年5月11日). 2022年7月27日閲覧。
- ^ “マクドナルドで6月22日から「ガンダム」コラボ開始 見せてもらおうか、地球のハンバーガーの性能とやらを ようこそ「シャア専用マクドナルド」へ。”. ねとらぼ. 2022年6月15日閲覧。
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