サバ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/05 01:33 UTC 版)
文化
食と信仰
古くから日本人になじみの深い食用魚である。縄文時代の遺跡である青森県の三内丸山遺跡でブリなどとともにサバの骨が出土した[22]。「さば」の名称は古く、一説には、小さい歯が多いことから「小(さ)歯(ば)」の意であるという。平安時代には中男作物(地方産物を納めさせる税)として貢納され、また鯖売りの行商が行われていたなどという記録がある。
鯖は1年中日本近海で漁獲されるが、特に漁獲量の多いマサバは秋が旬とされている。「秋鯖は嫁に食わすな」という嫁いびりに繋げた言葉があるが、現代では「脂肪が多いから嫁さんには良くない」という解釈もある。
現代では、語呂合わせから3月8日が「鯖の日」とされている。鯖食愛好者でつくる全日本さば連合会などにより、2014年から毎年、各地の水揚げ漁港で鯖料理の即売などを行う「鯖サミット」が開かれている[23]。また「SABAR」(サバー)[24]など鯖料理を売り物にする飲食店の展開、鳥取県岩美町とJR西日本などが連携した陸上養殖ブランド鯖「お嬢サバ」の売り込み[25]など、鯖食文化の高付加価値化が進んでいる。
徳島県海陽町には、弘法大師(空海)を本尊とする鯖大師本坊(八坂寺)という寺がある。「鯖斷ち三年祈願」と言って、願掛けした後に鯖を3年間食べないことで、病気平癒・子宝成就・心願成就の御利益があると信じられている。旅僧姿の弘法大師または行基が旅僧の姿で鯖を請うたのに、商人または馬子が荷物の鯖を与えなかったため罰せられたという伝説がある。
『おもしろ金沢学』(北國新聞社)の「棟上げのサバは天狗よけ」という項目によると、越中五箇山や飛騨白川郷といった日本海に近い山間部では、正月の膳に必ず能登の塩サバが用意された記録がある、という。氷見や新湊ではブリが「年取り魚」となっているが、山間部ではサバが使われた。
トルコ最大の都市イスタンブールでは、金角湾にかかるガラタ橋からのサバ釣りと、その横でのサバサンド屋台が名物となっている。
また鯖は天狗が苦手とするものだという[26]。
比喩
年を誤魔化す際の「鯖を読む」という言葉は、鯖が大量に捕れ、かつ鮮度低下が激しいため、漁師や魚屋が数もろくに数えず大急ぎで売りさばいたのが起源という説がある。
相撲の鯖折りの語は、釣り上げた鯖の鮮度を保つために、えらから指を入れて頭部を上方に折り曲げるという手法がよく取られたことに由来する。
英語において虎猫のうち縞模様が平行のものをマッカレルタビー(mackerel tabby)と呼ぶ。日本でもサバのような青みがかった縞の猫を鯖猫(さばねこ)と呼ぶが、これは英語ではシルバーマッカレルタビー(silver mackerel tabby)と呼ばれる。
フランスでは四月馬鹿(エイプリルフール)のことを Poisson d'avril (4月の魚)という。この「4月の魚」の意味は鯖を指しているが、これは鯖が4月に入るとたくさん釣れるためという説もある。
日本では、鯖は サーバ(主にWebサーバ)を指すインターネットスラングとしても使用される。
- ^ 世界のサバ(鯖)の漁獲量 国別ランキング・推移– Global Note
- ^ 茨城常磐のまさば|茨城県 - プライドフィッシュ
- ^ 農林水産省『大海区都道府県振興局別漁業種類別漁獲量』
- ^ “新たな資源管理、まずサバなど4魚種 水産庁”. 日本経済新聞 電子版. 2020年12月1日閲覧。
- ^ サバの輸入国から輸出国になった日本 : 小型サバをアフリカに輸出、脂の乗ったノルウェー産を輸入 nippon.com
- ^ 加工処理しきれない大量のサバを漁獲してしまう日本 資源管理も地方創生の機会も台無しに - WEDGE Infinity(ウェッジ)
- ^ スケソウやサバ、漁獲可能量見直し 「資源守る基準超す」と批判 - 勝川俊雄公式サイト
- ^ MSC取得が大ヒット 調理の幅利かせ拡販/【連載】ノルウェーサバ旋風〈4〉イオンリテール - みなと新聞 電子版
- ^ サバペディア. “サバの資源管理について | サバペディア”. umito.maruha-nichiro.co.jp. 2020年12月1日閲覧。
- ^ 越中の古寺に継承されている鯖の馴れずしの食事史的研究 調理科学 7(1), 23-29, 1974-02-20
- ^ 【トレンド】ブランドサバ、各地で大漁/鮮度管理を徹底・エサに酒かす配合/関東圏でも高級刺身「トロに負けない口溶け」『日本経済新聞』夕刊2018年5月7日(くらしナビ面)2018年5月26日閲覧。
- ^ サバペプチド
- ^ https://data.nal.usda.gov/dataset/usda-national-nutrient-database-standard-reference-legacy-release
- ^ 九州の生サバなぜ大丈夫 寄生虫アニサキスの種類原因説 太平洋と日本海側 宿主鯨類の分布影響? - 西日本新聞
- ^ アニサキス症とサバのアニサキス寄生状況 - 東京都健康安全研究センター
- ^ 日本中毒情報センター (2009年). “魚に起因するヒスタミン中毒 (サバ科類似魚類による中毒)Ver. 1.00” (PDF). 保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報. 日本中毒情報センター. 2019年10月18日閲覧。
- ^ 厚生労働省 (2019年). “ヒスタミンによる食中毒について”. 政策. 厚生労働省. 2019年10月18日閲覧。
- ^ 消費者庁 (2018年8月15日). “ヒスタミン食中毒”. 政策. 消費者庁. 2019年10月18日閲覧。
- ^ ヒスタミン食中毒(アレルギー様食中毒) 大阪府立公衆衛生研究所
- ^ 赤身魚類の貯蔵中におげるヒスタミンの消長 (PDF)
- ^ 鮮魚の保存に及ぼす酢洗いの効果 家政学雑誌 Vol.33 (1982) No.4 P167-172
- ^ 芝恒男「日本人と刺身」水産大学校 研究報告 第60巻3号(出典:樋泉岳二、三内丸山遺跡における自然環境と食生活「食べ物の考古学、学生社、2007)
- ^ 全日本さば連合会
- ^ とろさば料理専門店「SABAR」公式サイト
- ^ お嬢サバ販売開始! JR西日本プレスリリース(2017年2月28日)
- ^ “レファレンス通信 3 「天狗は鯖がお嫌い?」” (PDF). 石川県立図書館 (2010年1月4日). 2018年7月20日閲覧。
サバと同じ種類の言葉
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