サザビー (ガンダムシリーズ)
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ナイチンゲール
ナイチンゲール Nightingale | |
---|---|
型式番号 | MSN-04II |
全高 | 27.8m |
頭頂高 | 22.5m |
本体重量 | 48.2t |
全備重量 | 105.7t |
出力 | 6,760kW |
センサー 有効半径 |
23,420m |
武装 | 大型メガ・ビーム・ライフル 胸部バルカン砲 ビーム・トマホーク ビーム・サーベル×4 シールド マイクロミサイル×3 腹部メガ粒子砲 隠し腕(接近戦用マニピュレーター) ファンネル×10 |
搭乗者 | シャア・アズナブル |
新生ネオ・ジオンが開発したニュータイプ専用MS。総帥であるシャア・アズナブル専用機として全身が赤系統で塗装されている。小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』、及び『CCA-MSV』に登場する。オリジナルデザインは出渕裕[34][注 4]。
機体設定が2種類存在するが、デザインはどちらの設定も共通している。初出は、富野由悠季による1988年刊行の小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』。この小説は映画の初期プロットをベースにしており、作中にサザビーは存在しない。その代わりに、小説では本機にシャアが搭乗する[35]。一方、後に映画『逆襲のシャア』の内容に沿うよう「サザビーの強化発展機」として設定変更したうえで『CCA-MSV』(逆襲のシャア・モビルスーツ・バリエーション)の機体としても分類されている。
デザインと設定の公式化の経緯
初出は、劇場アニメ「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の初期プロットをもとに監督の富野由悠季自身がノベライズした小説「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」[35]。初期の企画案をもとにしているため、ナナイ・ミゲルは「メスタ・メスア」、ギュネイ・ガスは「グラーブ・ガス」などと実際の映画版とは名称が異なっており、サザビーも同様に小説では「ナイチンゲール」となっている。この小説の口絵に出渕裕によるナイチンゲールのモノクロのイラストが描かれている[注 5]。出渕は「ナイチンゲール」という名前の響きから、劇場版のサザビーそのままでなくMA的にアレンジしたと語っている[36]。そのため、サザビーに似ているところがありながらも、より巨大で威圧的なフォルムとなっている[35]。その後、人気が出たためにガレージキット用に出渕裕が新しい全身図の設定画を描き起こし[34]、B-CLUB誌でカラー画稿が掲載された。その後、模型となったり、ゲームに登場したりすることでデザインもより細かく描かれるようになり、認知度が上がって公式化されていった。2014年にはガンダムエースにて小説のコミカライズである漫画版『ベルトーチカ・チルドレン』が連載開始となり、新たに柳瀬敬之による作画用にディテールが加えられたデザインが描かれた[35]。
設定解説(ナイチンゲール)
本機はMSだが、そのシルエットはMAにも近く、サイコフレームの導入によってMSサイズでありながらニュータイプ専用MA並みのスペックを獲得[37]、各部に配置されたバーニアスラスターにより高い運動性と機動性を獲得した。計5基のプロペラント・タンク(後部アーマーに2基、背部に3基)が接続されており、稼働時間の延長と生存性の向上が図られている。サザビーよりも頭頂高がやや低く、体勢も前傾姿勢で、胴体部は前後に伸びるように大型化されているほか、四肢の関節もシーリングで覆われている。巨大な背部バーニアバインダーはファンネル・ポッドを兼ねており、α・アジールのものを小型・軽量化したファンネルを10基搭載している。また変形することで高速飛行モードに移行する。肩部アーマーにはバーニアが内蔵されており、サザビーの肩部側面の可動式スラスターを大型化したような形状である。スカートアーマー内には、グリプス戦役時代の重MSジ・Oにも装備された隠し腕(接近戦用マニピュレーター)が仕込まれており、MAクラスの巨躯でありながら近接戦闘能力も高い。シールドはサザビーとほぼ同一形状のものを携行。
2つの機体設定
- 小説『ベルトーチカ・チルドレン』に準じる設定
- 小説『ベルトーチカ・チルドレン』ではサザビー自体が存在しない世界であるため、映画のサザビーに相当する機体となっている。
- 『CCA-MSV』としての設定
- 『CCA-MSV』ではサザビーの強化発展機[38]。サザビーは重MSとしての性能を追求した機体として完成したが[39]、さらにサザビーをMSの概念から解き放ち、MAにみられるような性能を極限まで追求することをコンセプトに開発された[39]。AEがνガンダムの改良発展機であるHi-νガンダムを独自に開発した時期と前後し、ネオ・ジオン側もナイチンゲールを建造したとされるが、詳細は不明[40]。シャアはサザビーを使用したため、本機の公的な運用記録は残されていないが、[38][41][42]、のちに本機の延長線上の機体としてβ・アジールが開発される[43]。ゲームでもCCA-MSVに準じてサザビーの発展型のMSとして設定されている[35]。
武装(ナイチンゲール)
当初はメガ・ビーム・ライフルとビーム・サーベルおよびファンネルのみとされ、ゲーム『第2次スーパーロボット大戦α』などで登場する際には独自設定として胸部にメガ粒子砲が存在し、シールドにサザビーと同様にミサイルが装備されている場合があった。しかし、その後はプラモデル「RE/100 1/100 ナイチンゲール」においてシールド裏にビーム・トマホークとミサイルが配置され、漫画版『ベルトーチカ・チルドレン』においてはさらに腹部のメガ粒子砲の存在が描かれるなど、サザビーと同様の豊富な武装とギミックをもつ機体としてあつかわれるようになっている。
- 胸部バルカン砲
- 中〜近距離用の実体弾を発射する。
- ビーム・サーベル
- サザビーと同じく両手首に格納される。隠し腕を使用することで計4本のビーム・サーベルを同時に使用可能。
- マイクロミサイル
- シールド裏面に3発装備する。ターゲットを光学的に認識し、追尾可能。
- ビーム・トマホーク
- サザビーのものとほぼ同一の武装で、片刃のビーム・アックスとしても使用可能。最大出力時には大型ビーム・サーベルとして使用可能。シールド裏面にマウントする。
- シールド
- サザビーのものとほぼ同一の武装。ガンダリウム合金製であり、裏面にビーム・トマホークとマイクロミサイルをマウント可能。
- 隠し腕(接近戦用マニピュレーター)
- フロントスカート内に格納されている。
- 腹部メガ粒子砲
- 通常は装甲に覆われており、カバーを展開して使用する。
- 大型メガ・ビーム・ライフル
- 通常のビーム射撃に加え、高出力のビームを放射するランチャーモードとビーム・ショット・ライフル同様、拡散ビームを発射する散弾モードの3つの打ち分けが可能である。長距離精密射撃のためのバイポットを備え、射撃時にはスタビライザーとしても機能する[44]。
- ファンネル
- 背部のファンネル・ポッドに計10基装備する。α・アジール搭載型の大型ファンネルをリサイズしたもの。大型コンデンサーを内蔵し[45]、円筒タイプのものより威力と稼働時間に優れる。ファンネル・ポッドでのエネルギーとプロペラントの再チャージも可能。
作中での活躍(ナイチンゲール)
小説『ベルトーチカ・チルドレン』では映画版のサザビー同様、シャア・アズナブルの専用機としてアムロ・レイの乗るリ・ガズィを圧倒する。ライバル機のνガンダム[注 6]とも互角以上の戦いを繰り広げたが、最終局面では頭部フロー・システムが作動してコクピット・カプセルが射出される。
永野護版ナイチンゲール(ナハトガル)
ナハトガル Nahatgall | |
---|---|
型式番号 | MAN-104 |
全高 | 45.5m |
重量 | 612t |
装甲材質 | ディアス・シリコン |
推進機関 | プロトンドライブ・モーター×8 バックロード・フレアエジェクター×68 |
出力 | 8,700,000kw/h(930,000hp) |
武装 | 50mmガトリング・ビームキャノン ファンネル×6 660mmプロトン砲 250mmビームマシンガン |
永野護による「ナイチンゲール」は、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の企画初期段階にシャアの搭乗機として設定されていたMSで、実際の映画版のサザビーにあたる機体[46][注 7]。のちに「ナハトガル」という名称で永野自身の手により新たにデザインし直された[47]。
「ナイチンゲール」は、永野が映画のためにシャアの搭乗する最後のMSとしてデザインしたものだった。しかし、富野監督からの要望で考えた永野のMSのデザインライン[注 8]にクライアントからのOKが出ず、作品を途中降板したためにデザイン画は未公開のままだった[46][48]。その後、1998年にアニメ雑誌上で「ナイチンゲール・ジオン」という名前で頭部デザインだけが公開されていたが、全身像は不明のままだった[49]。しかし、2007年に「ナハトガル (Nahatgall)」という名称を与えられ、雑誌上で永野自身によって新たに描き直されたデザインと永野独自の設定が公開された後、2011年にはオリジナルのデザインと設定画の一部[注 9]も自身の著書の中で公開された[47][50]。
「ナハトガル」は、2007年に永野が「ナイチンゲール」をデザインし直したもの[47]。機体のカラーリングは初めて発表された『月刊ニュータイプ2007年1月号』のポスターではミントグリーンであったが、後に『機動戦士ガンダム30周年画集 天地創造』に掲載された際にはローズレッドに変更されている。
以下は、2007年版の永野による独自の設定である。
グリプス戦役終結後のハマーン・カーン率いるネオ・ジオン軍の重MSとしてアナハイム・ジュピターが開発をおこなっており、データが月のAE本社に流出した際に誤って英語で「ナイチンゲール」と呼ばれるようになったために生産が続行可能となる。対艦強襲・駆逐戦闘を主任務としたMAに近い運用を想定しており、その巨体に高い機動力を付与するプロトンドライブの放熱板が頭部から背部にかけて装備される。MAN-104の型式番号のほかに "MAN-104/MSae-39-20001-X-19D ( - 20006-X-19D)" というAE社内での統一コードをもつ(キュベレイは "MANae-103-10001-X-15B")[47]。
注釈
- ^ フロントアーマーには本名のキャスバル・ダイクン(もしくは通り名としてのシャア・ダイクン、またはその両方)のイニシャルCDをト音記号風にアレンジしたマーキングが入っている。
- ^ 6メガワットとする資料もある[13]。
- ^ 片刃の形態を「ビーム・アックス」としている資料もあり、ガンプラ「HGUC サザビー」の説明書では武装自体の呼称を「ビーム・トマホーク」、片刃のみビームを形成した形態を「ビーム・アックス」、両刃および中央部先端にビームを形成した形態を「大型ビーム・サーベル」としている[16]。
- ^ 映画企画初期に永野護が描いた同名のMSとは、まったくの別デザイン。
- ^ ただし、別ページの末弥純による口絵カラーイラストでは映画版のサザビーのデザインがそのまま使われており、解説だけがナイチンゲールのものになっている。
- ^ 漫画版『ベルトーチカ・チルドレン』ではデザインのみ2007年に出渕によりリデザインされたHi-νガンダムが使われているが、名称は「RX-93 νガンダム」のまま変更はない。
- ^ 出渕裕がのちに描いた同名のMSは、まったくの別デザイン。
- ^ 当時、富野監督と永野が考えていたMSはすべて「ごつく怖い」デザインラインで進行していたため、映画のために永野が用意したMSはすべて恐竜や怪獣をモチーフとしており、ギラ・ドーガやヤクト・ドーガにあたるデザインとともにリック・ディアスのラインを推し進めた最終形態の超重装甲のデザインとなっていた[47]。
- ^ 画稿に「"ZAC" NAITIENGEAILE」と記載され、「『死を運ぶ鳥』という意味の名が付けられた」と説明文に書かれている。また機体のイメージを表したのか、恐竜の「ステゴサウルス」という書き込みも見られる。
- ^ アゴスは機体の不具合であると主張するが、仲間からは「半人前」などと非難を浴び、以降もからかわれる原因となる。
- ^ 損傷した頭部の不気味さにより、作中ではユッタから「悪霊を乗せた顔なしの巨人」と誤認される[59]。
- ^ 「ジオン系の胴体にガンダムの頭が乗っていて、背中に月を背負っている」というコンセプトは福井晴敏の提案によるもので、そこにデザイナーの形部一平が「満月状のファンネル集合体が偶発的な要因で欠損し、欠けた月のシルエットを構成する」という設定を組み込んだ[64]。
- ^ 『機動戦士ムーンガンダム』の連載開始号である『月刊ガンダムエース』2017年11月号の表紙や、2018年に発売されたガンプラでは、本編の展開に先んじてトリコロールで配色されており[58]、のちの展開でガンダムらしい配色に塗り替えられることが予告されていた[55]。
出典
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