サザビー (ガンダムシリーズ)
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バルギル
バルギル VARGUIL | |
---|---|
型式番号 | AMS-123X[50] |
全高 | 20.9m[50] 21.7m(ガンダム・ヘッド搭載型)[51] |
全備重量 | 57.6t[50] 51.8t(ガンダム・ヘッド搭載型)[51] |
武装 | ビーム・ライフル(グレネード・ランチャー) ロング・ライフル ビーム・トマホーク兼用ビーム・サーベル ファンネル×6 |
搭乗者 | アゴス・ラガート[50] |
宇宙世紀0092年を舞台とする漫画『機動戦士ムーンガンダム』に登場するMS。主役機であるムーンガンダムの原型機で、サザビーへとつながる機体[52][53]。メカニックデザインは形部一平が担当。「バルギル」とは『ムーンガンダム』のストーリー担当である福井晴敏が考えた命名案のひとつで、ほかに挙げた候補のなかから形部一平の息子が選んだものが採用された。形部は「サザビーに繋がるような機体名にしっくり来るものがなかったため、意味をもたず語感のみを重視した名称に決めた」と語っている[54]。
設定解説(バルギル)
ネオ・ジオン再蜂起に向けて作られた指揮官用次世代ニュータイプ専用機[52][53][55]。ムーンガンダムの原型機となった[52]。ヤクト・ドーガと同時期に開発され、のちのサザビーへとつながるプロトタイプと目されている[53][56]。パイロットは、偽装貨物船「アタラント3」に所属するニュータイプ研究所出身の強化人間「アゴス・ラガート」[50]。
機体色はパープルで、サザビーを細身かつ直線的にしたような外見[52]。
ギラ・ドーガの1.5倍に強化されたジェネレーターとガンダリウム合金装甲を採用し、多数の推進器を配置しつつ軽量化を施すことで、ほかの実験機を上回る運動性能を発揮する。一方で、サイコミュ・システムの性能はサイコ・フレーム搭載機であるヤクト・ドーガに劣っており、安定性を欠いた失敗作とされている[50]。アトランタ3所属機からは次世代サイコミュ技術が取り外され、操縦席とファンネルは従来のサイコミュ式に換装される[50][53][56]。
武装(バルギル)
武装の形状や機能、配置もサザビーに似ており、グレネード・ランチャー内蔵型ビーム・ライフル、ビーム・トマホーク兼用ビーム・サーベル、背部上段左右のコンテナに内蔵されたファンネル計6基に加えて[57]、長銃身のロング・ライフルを装備する[50]。機体腕部には格闘用兵器バタフライ・エッジが備え付けられている[52]。
作中での活躍(バルギル)
『ムーンガンダム』第2話で、ロンド・ベル所属ラー・ギルス隊を撃退すべく初出撃するが、アゴスはファンネルを起動させることができず[注 10]、敵機のシータプラスに苦戦を強いられる。そこで、みずから切り落とした右ファンネル・ラックを投擲して牽制し、頭部の左顔面を潰されつつもアタラント3の窮地を救う。戦闘後は充分な修理を受けられず、損傷部分も放置されたままで運用される[51][注 11]。第6話では、戦場で遭難したジオン皇女「ミネバ・ラオ・ザビ」の捜索中、同じく宇宙を漂流中だった光族の少年ユッタ・カーシムを回収。このとき機体のサイコミュがユッタの意思を感知し、左ラック側のファンネルが起動。次いでミネバの回収にも成功する。
第9話、第10話では、ムーン・ムーンに漂着したティターンズ残党のサイコミュ搭載型MS「G-ドアーズ」の頭部(ガンダム・ヘッド)を解析する目的で、同じサイコミュ搭載機である本機に頭部が移植され、「ガンダム・ヘッド搭載型」として応急修理される{R|ga18-07" />。その際、起動した頭部の干渉を受け、機体のサイコミュ・システムを乗っ取られたことから、アゴスは、もう自分には乗りこなせないだろうと述べている[59]。
注釈
- ^ フロントアーマーには本名のキャスバル・ダイクン(もしくは通り名としてのシャア・ダイクン、またはその両方)のイニシャルCDをト音記号風にアレンジしたマーキングが入っている。
- ^ 6メガワットとする資料もある[13]。
- ^ 片刃の形態を「ビーム・アックス」としている資料もあり、ガンプラ「HGUC サザビー」の説明書では武装自体の呼称を「ビーム・トマホーク」、片刃のみビームを形成した形態を「ビーム・アックス」、両刃および中央部先端にビームを形成した形態を「大型ビーム・サーベル」としている[16]。
- ^ 映画企画初期に永野護が描いた同名のMSとは、まったくの別デザイン。
- ^ ただし、別ページの末弥純による口絵カラーイラストでは映画版のサザビーのデザインがそのまま使われており、解説だけがナイチンゲールのものになっている。
- ^ 漫画版『ベルトーチカ・チルドレン』ではデザインのみ2007年に出渕によりリデザインされたHi-νガンダムが使われているが、名称は「RX-93 νガンダム」のまま変更はない。
- ^ 出渕裕がのちに描いた同名のMSは、まったくの別デザイン。
- ^ 当時、富野監督と永野が考えていたMSはすべて「ごつく怖い」デザインラインで進行していたため、映画のために永野が用意したMSはすべて恐竜や怪獣をモチーフとしており、ギラ・ドーガやヤクト・ドーガにあたるデザインとともにリック・ディアスのラインを推し進めた最終形態の超重装甲のデザインとなっていた[46]。
- ^ 画稿に「"ZAC" NAITIENGEAILE」と記載され、「『死を運ぶ鳥』という意味の名が付けられた」と説明文に書かれている。また機体のイメージを表したのか、恐竜の「ステゴサウルス」という書き込みも見られる。
- ^ アゴスは機体の不具合であると主張するが、仲間からは「半人前」などと非難を浴び、以降もからかわれる原因となる。
- ^ 損傷した頭部の不気味さにより、作中ではユッタから「悪霊を乗せた顔なしの巨人」と誤認される[58]。
- ^ 「ジオン系の胴体にガンダムの頭が乗っていて、背中に月を背負っている」というコンセプトは福井晴敏の提案によるもので、そこにデザイナーの形部一平が「満月状のファンネル集合体が偶発的な要因で欠損し、欠けた月のシルエットを構成する」という設定を組み込んだ[63]。
- ^ 『機動戦士ムーンガンダム』の連載開始号である『月刊ガンダムエース』2017年11月号の表紙や、2018年に発売されたガンプラでは、本編の展開に先んじてトリコロールで配色されており[57]、のちの展開でガンダムらしい配色に塗り替えられることが予告されていた[54]。
出典
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