グランド・ブダペスト・ホテル グランド・ブダペスト・ホテルの概要

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > グランド・ブダペスト・ホテルの解説 > グランド・ブダペスト・ホテルの概要 

グランド・ブダペスト・ホテル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/08 03:12 UTC 版)

グランド・ブダペスト・ホテル
The Grand Budapest Hotel
監督 ウェス・アンダーソン
脚本 ウェス・アンダーソン
原案 ウェス・アンダーソン
ヒューゴ・ギネス
製作 ウェス・アンダーソン
スコット・ルーディン
ジェレミー・ドーソン
スティーヴン・レイルズ
出演者 レイフ・ファインズ
F・マーリー・エイブラハム
マチュー・アマルリック
エイドリアン・ブロディ
ウィレム・デフォー
ジェフ・ゴールドブラム
ハーヴェイ・カイテル
ジュード・ロウ
ビル・マーレイ
エドワード・ノートン
シアーシャ・ローナン
ジェイソン・シュワルツマン
レア・セドゥ
ティルダ・スウィントン
トム・ウィルキンソン
オーウェン・ウィルソン
トニー・レヴォロリ
音楽 アレクサンドル・デスプラ
撮影 ロバート・D・イェーマン
編集 バーニー・ピリング
製作会社 American Empirical Pictures
スコット・ルーディン・プロダクションズ
Indian Paintbrush
バーベルスベルク・スタジオ
配給 フォックス・サーチライト
20世紀フォックス
公開 2014年2月6日(Berlinale)
2014年3月7日
2014年6月6日
上映時間 100分
製作国 ドイツ
アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $25,000,000[1]
興行収入 $174,801,324[1]
3億4532万円[2]
テンプレートを表示

ヨーロッパ大陸の東端にあるという仮想の国ズブロフカ共和国が物語の舞台であり[4]、歴史的なトピックスがパロディとして登場する。また、時間軸は1932年と1968年、1985年の3つであり(これに冒頭及び最後の「現在」を加えると4つ)、1.37:1、1.85:1、2.35:1の3種類のアスペクト比を使い分けることで入れ子構造を表現している。

本作品は、アンダーソンが脚本を書くに当たって影響を受けた「シュテファン・ツヴァイクの著作」に献辞が捧げられている。

あらすじ

本作は架空の中欧の国ズブロフカ共和国を舞台とする。

劇中冒頭、現代。ズブロフカのオールド・ルッツ墓地に眠るある国民的作家の墓の前で、女性が彼の著作『グランド・ブダペスト・ホテル』を読み始める。次に1985年に生前の彼が、この作品は1968年8月に、ズブロフカ国内のアルプス麓の町ネベルスバートにある、かつて栄華を誇るも今は寂れた「グランド・ブダペスト・ホテル」に滞在中に聞いた話が元であると解説する。そして、その1968年に若き作家が、ホテルのオーナーで移民から国一番の富豪となったゼロ・ムスタファとの出会いが描かれ、そのゼロから聞いた話として、以下、小説の基になったホテルボーイ(ロビーボーイ)時代のゼロと、その上司で初代コンシェルジュであったグスタヴ・Hの物語が展開される。

1932年、移民で無一文の少年ゼロはグランド・ブダペスト・ホテルのボーイとして働き始める。このホテルはヨーロッパ各国から富裕層や貴族が集まる名門ホテルだが所有者は不明であり、ホテルの顔で、カリスマを持つ初老のコンシェルジュのグスタヴによって仕切られていた。ゼロはグスタヴに気に入られ、彼の下で仕事を学んでいく。また菓子職人のアガサと出会い、付き合うようになる。

ある日、大富豪でホテルの常連客である高齢の伯爵夫人マダム・Dが、強い不安があるためルッツにある自邸まで一緒に帰って欲しいとグスタヴに頼み込む。結局、これを断ったグスタヴであったが、約1ヶ月後の1932年10月19日、新聞記事に彼女の死亡記事が載っているのを見つける。グスタヴはゼロを伴い、急ぎ彼女の屋敷であるルッツ城へと列車で向かう。戦争が間近で鉄道は軍の検問が敷かれており、市民権がないゼロは捕まりそうになる。グスタヴが抗議したところ、駆けつけた現場責任者のヘンケルスが彼と面識があり、臨時通行証を発行してもらい事なきを得る。ルッツ城ではマダムの息子ドミトリーを筆頭に莫大な遺産目当てに親族が集まっている。遺言執行人の弁護士コヴァックスは相続の手続きには時間が掛かると説明した上で、その大半はドミトリーら息子・娘たちに相続されるものの、故人の希望により、大変な価値がある絵画「少年と林檎」はグスタヴに遺贈されると説明する。これにドミトリーは怒り、彼の側近ジョプリングはグスタヴを殴りつける。

夜、グスタヴはドミトリーに先んじて「少年と林檎」を持ち去ることを決め、マダムの執事セルジュの協力を得る。その際、セルジュは密かに謎の書簡を絵画の包みに忍ばせる。帰りの列車の中、グスタヴは協力の見返りとしてゼロに報酬を渡すことを決め、その際に軽い気持ちでもし自分が死んだ場合はゼロに遺産をすべて遺贈するという契約書(遺言書)を作成する(この時点でグスタヴに財産はほぼない)。

ホテルに帰りつき、グスタヴが金庫に絵画をしまった直後、警察の訪問を受ける。実はマダムの死は殺人であり、グスタヴは殺人容疑で逮捕され、第19犯罪者拘留所に収容される。すべては遺産を独り占めにしたいドミトリーの陰謀であり、彼はジョプリングを使ってコヴァックスら自身に不都合な関係者を次々に殺害していく。セルジュは失踪し、無実を証明する者がいなくなったグスタヴは、囚人仲間らと脱獄を計画する。所外のゼロやアガサの手助けもあって脱獄を果たしたグスタフは、ホテル・コンシェルジュのネットワーク「鍵の秘密結社」を使ってゼロと共に逃亡生活を送りつつ、セルジュの行方を探して山上の修道院へと向かう。一方、セルジュの姉がセルジュ に送った電報によってそれぞれジョプリングとヘンケルスにも向かう場所がバレてしまう。

修道院でグスタヴはセルジュと再会し、彼からマダムが殺された場合に有効になる秘密の遺言書が存在することを明かされる。直後にセルジュはジョプリングに殺されて遺言書の場所や内容は不明のままとなり、グスタヴらは逃げたジョプリングの後を追う。返り討ちになりそうになるもゼロがジョプリングを崖から突き落とし、窮地を脱する。ヘンケルスも駆けつけ、もはや手がないグスタヴは、ホテルの「少年と林檎」を回収して、それを売った金でマルタへ亡命しようとする。

絵画を回収するためホテルへ帰ってきたグスタヴ、ゼロ、アガサの3人であったが、ホテルは占領軍に接収されていた。アガサが「少年と林檎」を金庫から回収しようとするが運悪くドミトリーが現れ、絵画を持ち運ぼうとする彼女に気づく。グスタヴらもホテル内に潜入してドミトリーとの攻防戦が始まり、最終的には全員が駆けつけたヘンケルスに逮捕される。その際に絵画の包みの中にマダムの遺言書があることが判明する。遺言書には、マダムが殺された場合に限り、その莫大な財産のすべてをグスタヴに遺贈するとあり、その莫大な遺産の中には、オーナーが不明であったグランド・ブダペスト・ホテルも含まれていた。マダム殺しを含めた悪事が露見したドミトリーは失踪する。そしてグスタヴ立ち合いの下、ゼロとアガサは結婚式を挙げ、物語は大団円を迎える。

しかし、平穏は長続きせず、戦争が始まる。グスタヴはゼロ夫婦を連れて列車でルッツに向かおうとするも、軍の検問を受ける。しかし、臨時通行証は無視され、抗議したグスタヴは銃殺刑に処されてしまう。さらにプロイセン風邪の流行により、アガサと息子も間もなく死亡する。残されたゼロは、かつて作った遺言書によってグスタヴの財産を相続し、国一番の富豪となったのだが、戦後、ズブロフカは共産国家となったために、その大半は1968年までに国有化されてしまっていた。国と交渉して唯一手元に残せたのが、この寂れたグランド・ブダペスト・ホテルであった。

ホテルを手元に残した動機について、作家はゼロにグスタヴのためかと問うが、彼はこれを否定し、亡きアガサとの思い出のためだと答える。そして「グスタヴ・スイート」という名の小さな使用人部屋へと帰っていく。

キャスト

※括弧内は日本語吹替

その他の声の吹き替え
松島昭浩野川雅史タナカサキコ

  1. ^ a b The Grand Budapest Hotel”. Box Office Mojo. 2018年9月12日閲覧。
  2. ^ キネマ旬報」2015年3月下旬号 73頁
  3. ^ 即完売した「グランド・ブダペスト・ホテル」のメイキング本がソフトカバーで再び登場 - ライブドアニュース
  4. ^ Discover the History of THE GRAND BUDAPEST HOTEL with Akademie Zubrowka”. Fox Searchlight (2014年1月28日). 2014年2月9日閲覧。
  5. ^ Wes Anderson Adds Ralph Fiennes for ‘Grand Budapest Hotel’; Angela Lansbury Drops Out”. Screen Rant (2012年10月14日). 2014年2月9日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q THE GRAND BUDAPEST HOTEL – Meet the Cast of Characters”. YouTube (2014年2月9日). 2014年2月9日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h i j k Wes Anderson Reveals Full ‘Grand Budapest Hotel’ Cast”. Screen Rant (2012年12月27日). 2014年2月9日閲覧。
  8. ^ Saoirse Ronan Talks THE HOST, How She Compares to Her Character, Making Each of Her Roles Distinctive, Wes Anderson’s THE GRAND BUDAPEST HOTEL & More”. Collider (2013年3月25日). 2014年2月9日閲覧。
  9. ^ Lea Seydoux Books Role In Wes Anderson's 'The Grand Budapest Hotel,' Saoirse Ronan Reveals Details About Her Part”. The Playlist (2013年4月2日). 2013年4月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月29日閲覧。
  10. ^ a b Wes Anderson's 'Grand Budapest Hotel' Story Revealed; Fox Searchlight to Distribute”. Hollywood Reporter (2013年3月28日). 2014年2月9日閲覧。
  11. ^ a b Wes Anderson’s ‘Grand Budapest Hotel’ To Bow March 7, 2014”. Deadline (2007年4月24日). 2014年2月9日閲覧。
  12. ^ First look at Wes Anderson's The Grand Budapest Hotel: beards, motorcycles, and purple suits”. JoBlo.com (2013年3月8日). 2014年2月9日閲覧。
  13. ^ a b Matt 2016 31-32頁
  14. ^ Wes Anderson’s The Grand Budapest Hotel to Open the 64th Berlinale”. Internationale Filmfestspiele Berlin (2013年11月5日). 2013年11月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年2月9日閲覧。
  15. ^ ウェス・アンダーソン監督最新作『グランド・ブダペスト・ホテル』が世界各国で大ヒット!予告編も解禁”. TimeWarp (2014年3月13日). 2014年3月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月29日閲覧。
  16. ^ 『アナと雪の女王』13週目も1位!『グランド・ブダペスト・ホテル』は10位初登場【映画週末興行成績】 シネマトゥディ 2014年6月10日
  17. ^ グランド・ブダペスト・ホテル - Box Office Mojo(英語)
  18. ^ The Grand Budapest Hotel (2014)”. Rotten Tomatoes. 2022年8月29日閲覧。
  19. ^ The Grand Budapest Hotel”. Metacritic. 2014年6月26日閲覧。
  20. ^ “鬼才エドガー・ライト監督が選ぶ2014年トップ10映画発表!”. シネマトゥデイ. (2014年12月5日). https://www.cinematoday.jp/news/N0068692 2014年12月5日閲覧。 
  21. ^ “英サイト&サウンド誌が選ぶ2014年の映画ベスト20 「風立ちぬ」は18位タイ”. 映画.com. (2014年12月8日). http://eiga.com/news/20141208/5/ 2014年12月8日閲覧。 
  22. ^ 「ローリング・ストーン」誌が選ぶ2014年の映画ベスト10”. 映画.com (2014年12月29日). 2015年1月5日閲覧。
  23. ^ “メガヒット作はワースト!?「2014年の映画ベスト10&ワースト5」発表”. クランクイン. (2014年12月21日). https://www.crank-in.net/news/34291 2014年12月21日閲覧。 
  24. ^ “米タイム誌が選ぶ2014年の映画トップ10”. クランクイン. (2014年12月28日). http://eiga.com/news/20141228/13/ 2015年1月23日閲覧。 
  25. ^ Preise der Internationalen Jury”. Internationale Filmfestspiele Berlin. 2014年2月16日閲覧。
  26. ^ ニューヨーク映画批評家協会賞発表”. 映画.com (2014年12月2日). 2014年12月3日閲覧。
  27. ^ "Birdman" Leads 2014 CFCA Nominations”. Chicago Film Critics Association. 2014年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月29日閲覧。
  28. ^ 第20回放送映画批評家協会賞発表!作品賞は『6才のボクが、大人になるまで。』”. シネマトゥデイ (2015年1月19日). 2015年1月19日閲覧。
  29. ^ 2015 Golden Globe Awards: Winners List”. CNN (2015年2月22日). 2015年1月10日閲覧。
  30. ^ ADG賞は「グランド・ブダペスト・ホテル」「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「バードマン」”. 映画.com (2015年2月2日). 2015年2月3日閲覧。
  31. ^ アメリカ映画編集者協会『6才のボクが、大人になるまで。』に最優秀編集賞!”. シネマトゥデイ (2015年2月3日). 2015年2月4日閲覧。
  32. ^ 米脚本家組合賞に「グランド・ブダペスト・ホテル」「イミテーション・ゲーム」”. 映画.com (2015年2月16日). 2015年2月17日閲覧。
  33. ^ 『バードマン』がまた受賞!コスチューム・デザイナーズ組合賞発表”. シネマトゥデイ (2015年2月22日). 2015年2月23日閲覧。
  34. ^ 『グランド・ブダペスト・ホテル』『ワイルド』がロケーションで表彰!”. シネマトゥデイ (2015年3月9日). 2015年3月11日閲覧。
  35. ^ “「グランド・ブダペスト・ホテル」の世界を紐解くメイキング本、3000部限定発売”. 映画ナタリー. (2016年12月19日). https://natalie.mu/eiga/news/213678 2016年12月19日閲覧。 


「グランド・ブダペスト・ホテル」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「グランド・ブダペスト・ホテル」の関連用語

グランド・ブダペスト・ホテルのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



グランド・ブダペスト・ホテルのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのグランド・ブダペスト・ホテル (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS