ガンマ関数 ガンマ関数の概要

ガンマ関数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/14 04:32 UTC 版)

y = Γ(x) のグラフ
Γ(x + iy) の絶対値
(グラフ中「Re」は x に相当、「Im」は y に相当)

また、自然数 に対しては、ガンマ関数と の階乗との間では次の関係式が成り立つ:

互いに同値となるいくつかの定義が存在するが、1729年、数学者レオンハルト・オイラーによって無限乗積の形で、最初に導入された[1]

定義

実部が正となる複素数 に対して、次の広域積分で定義される複素関数:

ガンマ関数と呼ぶ[2]。この積分表示は、アドリアン=マリ・ルジャンドルの定義にしたがって、第二種オイラー積分とも呼ばれる。元は階乗の一般化としてオイラーが得たもので、 という記号は、1814年にルジャンドルが導入したものである[1]。それ以前にガウス などと表記していた(ただし、 である)。

一般の複素数 に対しては、解析接続もしくは次の極限で定義される。

基本的性質

または負の整数でない、かつ実部が正の任意の複素数 に対して、

となることから、 が成り立つ。またさらに、

である。これらの性質から、任意の正の整数 に対して、

より が成り立つ。その意味でガンマ関数は階乗の定義域を複素平面に拡張したものとなっている。

歴史的には、ガンマ関数は「階乗の複素数への拡張となるもの」(複素階乗)の実例として、オイラーにより考案された。階乗の複素数への拡張となる関数は無数に存在するが、正の実軸上で対数凸である解析関数という条件を付ければ、それは一意に定まりガンマ関数に他ならない(ボーア・モレルップの定理)。

右半平面においてオイラー積分で定義されたガンマ関数は全平面に有理型解析接続する。

ガンマ関数は零点を持たず、原点と負の整数に一位の極を持つ。その留数は、

である[3]

また、 に対するガンマ関数の値は、ガウス積分の結果に一致する。

これより、自然数 に対して、

が成立することがわかる。ここで 二重階乗を表す。この性質を利用して高次元の球の体積と表面積を求めることができる。また、


  1. ^ a b E. T. Whittaker and G. N. Watson (1927), Chapter XII, §12.1
  2. ^ Wolfram mathworld: Gamma Function
  3. ^ 福原 1951, p. 94.
  4. ^ 福原 1951, p. 97.
  5. ^ Springer Online Reference Works: Gamma-function
  6. ^ Schmelzer & Trefethen (2007), Computing the Gamma function using contour integrals and rational approximations
  7. ^ a b 小松 (2004)、第2章
  8. ^ 神保 2003, 定理 5.15.
  9. ^ Otto Ludwig Hölder, "Über die Eigenschaft der Gammafunction keiner algebraischen Differentialgleichung zu genügen," Math. Ann., 28, (1887) pp. 1–13. doi:10.1007/BF02430507
  10. ^ Eliakim Hastings Moore, "Concerning transcendentally transcendental functions," Math. Ann., 48 (1897), pp. 49–74. doi:10.1007/BF01446334
  11. ^ A. Ostrowski, "Neuer Beweis der Hölderschen Satzes, dass die Gammafunktion keiner algebraischen Differntialgleichung genügt." Math. Ann. 79 (1919), pp. 286–288. doi:10.1007/BF01458212
  12. ^ A. Ostrowski, "Zum Hölderschen Satz über Γ(x). Math. Ann. 94 (1925), pp. 248–251. doi:10.1007/BF01208657
  13. ^ E. W. Barnes, "The theory of the Gamma function," Messenger of Math. 29 (1900), pp. 64–128.
  14. ^ F. Hausdorff, "Zum Hölderschen Satz über Γ(x)," Math. Ann. 94 (1925), pp. 244–247. doi:10.1007/BF01208656





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