エンガー 歴史

エンガー

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歴史

エンガーの参事会教会

800年から1599年

800年頃にヴィドゥキントとその血縁者が 3 人一緒に葬られた。その墓は、歴史的な参事会教会の内陣に埋葬されている[13]。エンガーはオットー大帝の寄進状の中で948年に初めて記録されている。 13世紀にはハインリヒ獅子公に権限を委譲されたリッペ家が代官としてエンガーを拠点に統治した[14]1305年に戦闘によってエンガー城が破壊された[15]。エンガーは1408年にラーフェンスベルク伯領となった。在俗参事会員による参事会教会は、1414年に「安全性の理由から」防衛施設で護られたヘルフォルトに移転した。この教会は947年以前にヴィドゥキントの末裔でハインリヒ1世の妃であるマティルデ1世によって創設された。マティルデ王妃の死後、968年オットー1世はこの参事会教会をマクデブルク大司教に委譲した。これにより、フルダで作成され、マクデブルクで製本されたコデックス・ウィテキンデウスをエンガーの参事会が獲得した経緯が理解できる。参事会教会の移転により、この福音書はヘルフォルトに移された。このコデックスは、1647年ブランデンブルク選帝侯領となったヘルフォルトの忠誠を誓う贈り物として、17世紀に選帝侯に贈られた。これ以後、この史料はベルリン国立図書館に収蔵されている[13]

1600年から1814年

エンガーは1614年にラーフェンスベルクとともにブランデンブルク=プロイセン領となった。1719年10月20日、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム1世によってエンガーは(プロイシシュ・オルデンドルフおよびビュンデとともに)市に昇格した。1747年5月2日エンガーで大火が起き、多くの死者が出た。この火災では、ビュンダー通り、バーンホーフ通り、ブラント通り、レンタイ通りを中心に 53棟が消失した。七年戦争の課程で、1757年に初めてフランスがこの町を占領した。1807年には事実上フランスの一部であるヴェストファーレン王国領となり、1811年にフランス領に編入された。

1815年から1932年

1815年にエンガーはプロイセンに返還され、初めはビュンデ郡、後にはヘルフォルト郡に属した。1873年1月19日に福音主義の病院が開業した。その3年前から福音主義ルター派教会組織は、収容所内に傷病者を保護するために8症のベッドを借り上げていた。1898年に、この街で初めて電灯が点った。エネルギーは、蒸気力を用い、以前から存在していた水車のミュラー・リーペによって、風車を補完的に用いて生産された。2年後の1900年8月10日にヘルフォルト軽便鉄道が開業した[16]。エンガーの市会議員らも乗客として乗り込んだその一番列車は、帰路にエッチングハウゼンの高台で脱線した。1901年にはイェレンベック、シルデッシェを経由してビーレフェルダー・クライスバーンホーフまでのビーレフェルダー・クライス鉄道(全長 16 km)がこれに続いて開業した[17]1903年8月7日、教会前広場で盛大な祭が開催された。祝賀ムードの中ヴィテキント記念碑が披露された。このヴィルヘルム様式の像は、現在ではその支柱の上にはない。第一次世界大戦により、アムト・エンガーでは 408 人が死亡した。その犠牲者を追悼する記念碑が墓地に設けられている。1925年から1928年の間に屋外プールが建設されスポーツ広場が整備された。

1933年から1945年

1934年にビュンデのガス製造工場と結ばれ、ガスの供給が始まった。3年後の1937年にゴミ回収車が家庭ゴミの回収を開始した。1939年、エンガーにヴィドゥキント記念施設がオープンした。その背景には、この街を国家社会主義的世界観のアイデンティティを確認する街に仕立て上げようとする国家社会主義者の意図が働いていた。国家社会主義の考え方によれば、ヴィドゥキントの事蹟はそれにふさわしいものであった[18]。ヴィドゥキント崇拝の目に見える形のシンボルが教会広場のヴィドゥキント記念碑であった。第二次世界大戦中の兵器原料の不足・高騰のため、この記念碑は1942年に台座から撤去された。

1946年から現在

1948年にこの街の市民はエンガー建設1000年祭をパレードなどで祝った。1954年にビーレフェルト軽便鉄道が営業を停止し、1966年4月にヘルフォルト軽便鉄道もこれに続いた。1969年、ノルトライン=ヴェストファーレン州の地域再編に伴い、エンガー市が再編された。アムト・エンガーが廃止され、ジーレ、ヴェスターエンガー、ドライエン、ペディングハウゼン、オルディングハウゼン、ヘリングハウゼン(西部)、ベルケ=シュタインベック、ベーゼンカンプの各町村がエンガー市に合併した[19]。1970年から1973年にかけてエンガーの歴史的な参事会教会が修復された。これと並行して大規模な考古学的発掘調査が行われた[13]

エンガーとヴィドゥキントとのつながり

ヴィドゥキントがエンガーに葬られているという記述は13世紀の史料に初めて記載されている。MG D. Chr. II, S. 398 と よばれる史料で、特別出版された Widukindstadt Enger(1973年)中で引用されている。また、エンガーの参事会教会には11世紀に製作されたレリーフがある。16世紀のルネサンス様式の棺にはヴィドゥキントに関する銘が見られる。現在、人類学者が参事会教会から発掘された骨片の調査を行っている。それによれば、2人の成人は 88 % の確率で片親が異なる兄弟であり、別の若い男性は 98 % の確率でこの兄弟どちらかの息子であるとされた。一般の人々や、多くの研究者が解明したい謎は、内陣中央の墓に葬られているのはヴィドゥキントなのか?という点である。有力な学説は、ヴィドゥキントであると考えても不都合な点はない、というものである。ただし、強調すべきは、この説は状況証拠に基づくものに過ぎないという事である。教会の最も古い部分の基礎枠内にはもう一人女性が埋葬されている。この女性はヴィドゥキントの家族の一員で、女性後継者であるされている。

市名の由来と意味

市名 (Enger) の由来ははっきりとしない。一つの見方は、ヴィドゥキントの伝説から、市名とオストヴェストファーレン地方にあったザクセン人のエンゲルン族(Engern、アングリヴァリアー族とも呼ばれる)とを関連づける見方である。しかし、この説は言語学的見地からは、裏付けのとれない、または受け容れられない説である。ヴィルヘルム・ヴァイツは1938年に刊行された著書 Vom sächsischen Volksführer Widukind und der Kultstätte Enger の中で、「(エンガー)は947年 (!) に "Angari" として初めて文献に記録されている。他に "Angara"、"Angera"、"Angere"といった表記が見られる。"Engern"、"Engere"、"Enger" といった表記は14世紀から現れる。おそらくこの村はザクセン族の支部族であるエンゲルン族の領域に他ならなかった。"Angri" は 湿った沼沢のある牧草地を示すものである(anger = 草地および放牧地、arar = 小川)」[20]としている。市名は、おそらく、現在のエンガー沼沢地およびボルダムバッハ川沿いの集落の場所を示すものであった。


  1. ^ Bevölkerung der Gemeinden Nordrhein-Westfalens am 31. Dezember 2020 – Fortschreibung des Bevölkerungsstandes auf Basis des Zensus vom 9. Mai 2011
  2. ^ Max Mangold, ed (2005). Duden, Aussprachewörterbuch (6 ed.). Dudenverl. p. 306. ISBN 978-3-411-04066-7 
  3. ^ Namenszusätze stiften Identität / Kommunalminister Jäger genehmigt die ersten Zusatzbezeichnungen bei Städten und Gemeinden(2013年12月24日 閲覧)
  4. ^ Bolldammbach, Bereich Bahnhofstr.: Verbesserung der Ufersicherung(2013年12月24日 閲覧)
  5. ^ Naturschutzgebiet "Enger Bruch", Bezirksregierung Detmold(2013年12月27日 閲覧)
  6. ^ Erdwärme nutzen: Geothermiestudie liefert Planungsgrundlage (PDF)(2013年12月27日 閲覧)
  7. ^ a b Kommunalprofil Enger, Stadt, Information und Technik Nordrhein-Westfalen. Geschäftsbereich Statistik (PDF)(2013年12月27日)
  8. ^ a b Hauptsatzung der Stadt Enger, 2004年11月9日付け (PDF)(2013年12月27日 閲覧)
  9. ^ a b Zahlen, Daten, Fakten, Stadt Enger(2013年12月27日 閲覧)
  10. ^ 気温
  11. ^ 降水量
  12. ^ 日照時間
  13. ^ a b c Stiftskirche, Stadt Enger(2013年12月27日 閲覧)
  14. ^ Gustav Engel: Dorf, Stadt und Amt Enger; Enger 1981; pp. 27 -.
  15. ^ Stiftskirche Enger, Broschüre der Ev. Luth. Kirchengemeinde Enger, p. 27 (Baugeschichte)
  16. ^ Die Herforder Kleinbahnen - vergangene Zeiten...(2013年12月27日 閲覧)
  17. ^ Erinnerungen an die Bielefelder Kreisbahnen(2013年12月27日 閲覧)
  18. ^ a b Widukind-Museum Enger, Museumsinitiative OWL(2014年1月4日 閲覧)
  19. ^ Martin Bünermann (1970), Die Gemeinden des ersten Neugliederungsprogramms in Nordrhein-Westfalen (ドイツ語), Köln: Deutscher Gemeindeverlag, p. 74
  20. ^ Wilhelm Weitz: Vom sächsischen Volksführer Widukind und der Kultstätte Enger. Eine kurzgefaßte, für alle deutschen Volksgenossen verständliche Einführung in die kämpferische Vergangenheit des Widukindlandes. Herausgegeben von der Stadt Enger in Westfalen, Enger, Bielefeld 1938
  21. ^ a b Die Gemeinden und Kreise nach der kommunalen Gebietsreform in Nordrhein-Westfalen (ドイツ語), Köln: Deutscher Gemeindeverlag, 1975, p. 102, ISBN 3-555-30092-X
  22. ^ Schüler an allgemein bildenden Schulen in NRW nach der Religionszugehörigkeit (PDF), p.5(2014年1月4日 閲覧)
  23. ^ Kommunalwahlen - Kommunalwahlen am 30.08.2009 - Wahl der Räte der kreisangehörigen Gemeinden - Enger, Stadt, Die Landeswahlleiterin des Landes Nordrhein-Westfalen](2014年1月4日 閲覧)
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  25. ^ Kommunalwahlen - Kommunalwahlen 2004 - Wahl der Bürgermeister(innen) der kreisangehörigen Gemeinden - Enger, Stadt, Die Landeswahlleiterin des Landes Nordrhein-Westfalen](2014年1月4日 閲覧)
  26. ^ Kommunalwahlen - Kommunalwahlen am 30.08.2009 - Wahl der Bürgermeister(innen) der kreisangehörigen Gemeinden - Enger, Stadt, Die Landeswahlleiterin des Landes Nordrhein-Westfalen](2014年1月4日 閲覧)
  27. ^ Heraldry of the World: Enger(2014年1月4日 閲覧)
  28. ^ Lichtennsteinplatz, Stadt Emger(2014年1月4日 閲覧)
  29. ^ Widukind Museum Enger(2014年1月5日 閲覧)
  30. ^ Gerberei Museum Enger(2014年1月5日 閲覧)
  31. ^ Gerberei-Museum(2014年1月5日 閲覧)
  32. ^ Gerbereimuseum Enger, Museumsinitiative OWL(2014年1月5日 閲覧)
  33. ^ Kleinbahnmuseum Enger e.V., Museumsinitiative OWL(2014年1月7日 閲覧)
  34. ^ Neues FORUM Enger e.V.(2014年1月7日 閲覧)
  35. ^ Ferienregion Wittekindsland(2014年1月7日 閲覧)
  36. ^ Naturschutzgebiet Asbeke-/Kinzbachtal, Naturschutzgebiete im Kreis Herford(2014年1月8日 閲覧)
  37. ^ Naturschutzgebiet Enger Bruch, Naturschutzgebiete im Kreis Herford(2014年1月8日 閲覧)
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  40. ^ TuS Grün Weiß Pödinghausen e.V.(2014年1月9日 閲覧)
  41. ^ TSV RW Dreyen 1913 e.V.(2014年1月9日 閲覧)
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  45. ^ Zeitung WESTFALEN-BLATT(2014年1月9日 閲覧)
  46. ^ Selbstbestimmtes Leben Fördern, Lukas Krankenhaus Bünde(2014年1月9日 閲覧)
  47. ^ Freiwillige Feuerwehr der Stadt Enger(2014年1月9日 閲覧)





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