こ‐づかい〔‐づかひ〕【小遣い】
読み方:こづかい
「小遣い銭」の略。
小遣い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/04/02 14:22 UTC 版)
小遣い(こづかい、小遣[1]、英:pocket money、allowance)とは、特定の使徒を限定せずに、個人が自由な裁量で消費するために割り当てられた金銭である。正式名称は「小遣い銭(こづかいせん)」[2]。日本においては、児童・生徒が保護者から受領する金銭を指すだけでなく、家計を一括管理している世帯において、配偶者や被雇用者(会社員等)が自由に使える「個人割当予算」を指す概念としても定着している[3]。これらは単なる消費の手段にとどまらず、家庭内における金融教育や、社会経済状況を反映する指標としての側面を併せ持つ[4][5]。
丁寧な言い方として接頭辞を付けて「お小遣い」と言う場合も多い。
概要
日本におけるお小遣いの慣習は、親子のコミュニケーションや自立に向けた訓練、さらには世帯内での資金分配の手段として広く普及している[6][7]。その支給形態は、毎月一定額を渡す「定額制」、手伝いや成績への対価とする「報酬制」、必要時にその都度渡す「随時制」の3種が主であり、子供の性格や発達段階に応じて選択される[8][9][10]。また、成人世帯においては、一方が家計を管理し他方に定額を渡す「お小遣い制」のほか、共働きの増加に伴い、生活費以外を各自で管理する「別財布制」も増加傾向にある[11][12]。
お小遣いは、限られた資源の中で優先順位を決定する意思決定能力を養う場として機能する[13]。消費者教育の観点からは、衝動買いによる失敗や、目的のための貯蓄を通じた忍耐力の育成が重視されている[14]。児童期に適切な管理経験を持つ者は、将来的に高い資産形成意識を持つ傾向がある[15]。特に2022年度からの高校での金融教育義務化に伴い、投資やリスク管理の概念をお小遣いを通じて学ぶ重要性が再認識されている[16][17]。
お小遣いを管理するにあたって主に使用されるのはお小遣い帳である[18]。仕組みは家計簿に似ている。収支(入ってきたお金、使ったお金、残ったお金)を可視化することで、金銭管理が容易になる。
相場
小学校低学年では月額500円から1,000円未満、高学年で1,000円から2,000円、中学生で3,000円から5,000円、高校生で5,000円から10,000円程度が一般的な中央値とされる[19][20]。また、正月に贈られる「お年玉」は、小・中学生で年間3万円から5万円に達するケースが多く、これを年間のお小遣いの一部としてどう管理させるかが教育上の論点となる[3][20]。会社員層のお小遣いは、1990年前後のバブル期には月額平均約7万円を超えていたが、長期的な経済停滞により近年は3万円台から4万円台前半で推移している[3]。この金額には昼食代が含まれることが多く、物価高騰の影響で一食を500円以内に抑える節約志向が顕著である。一部の層では、副業や「ポイ活」によってお小遣いの不足分を補完する動きも見られる[21][12]。
現代における変化
IT技術の進展により、現金(手渡し)に加えて「キャッシュレス化」も見られる。QRコード決済や専用のデビットカードを利用することで親は支出をコントロールでき、決済業者にとっても子どものうちから顧客として囲い込めるる利点がある[22]。
子どものお小遣いの受け渡しは依然として現金が主流であるが、キャッシュレス手段の利用は徐々に広がっている。博報堂教育財団こども研究所が2026年に公表した調査によれば、お小遣いのもらい方として「現金」は小学生・中学生ともに9割前後を占める一方、中学生では「QRコード・バーコード決済アプリ」で受け取る者も17.1%に達した[23]。これは、お小遣いがなお現金中心でありつつも、年齢の上昇に伴って受け取り方や管理方法がデジタル化しつつあることを示している。
この変化を後押ししているのが、保護者による管理機能を備えた金融サービスの登場である。2025年には、6歳から17歳を対象とする親子連携型の金融アプリ「Revolut」が日本で提供を開始し、保護者が送金や利用状況の確認を行える仕組みが導入された[24]。この種のサービスは、現金の単純な代替にとどまらず、子どもの金銭管理を保護者が見守りながら支援する手段として位置づけられている。
保護者の意識にも変化がみられる。2025年の調査では、子どもが使う上で安全な決済手段として「キャッシュレス」を挙げる回答が57.9%となり、「現金」を上回った。また、家庭内でキャッシュレス教育が必要であるとする回答も69.0%に達した[25]。その一方で、子どものキャッシュレス利用については金銭感覚が身につきにくいとの懸念も指摘されており、利便性への期待と教育上の不安が併存している。
また、物価上昇はお小遣い額そのものにも影響を及ぼしている。2026年公表の調査では、小学生の1か月平均額は1,657円、中学生は3,234円であり、2023年調査よりそれぞれ増加した[26]。保護者のうち約4割が1年前より総額が増えたと回答しており、その理由として「学年が上がった」に加えて「物価高への対応」が挙げられている[26]。この点で、お小遣いは家庭内の慣行であると同時に、社会経済状況を反映する指標としての性格も強めている。
脚注
- ^ 日本国語大辞典, 精選版. “小遣(こづかい)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2026年3月13日閲覧。
- ^ 日本国語大辞典, デジタル大辞泉,精選版. “小遣い銭(コヅカイセン)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2026年3月13日閲覧。
- ^ a b c “「100点取ったらお小遣いあげる」で育った子どもの末路”. ダイヤモンド・オンライン (2025年11月8日). 2026年3月13日閲覧。
- ^ 呉, 宣児; 竹尾, 和子; 片, 成男; 高橋, 登; 山本, 登志哉; サトウ, タツヤ (2012). “日韓中越における子ども達のお金・お小遣い・金銭感覚: 豊かさと人間関係の構造”. 発達心理学研究 23 (4): 415–427. doi:10.11201/jjdp.23.415.
- ^ “子どものお小遣い、平均額はいくら?子どもの管理能力を養う方法とは”. オリックス銀行. 2026年3月13日閲覧。
- ^ “お小遣いがほしいと言っている | 子育てIdeaBox | NPO法人 ハートフルコミュニケーション”. www.heartful-com.org. 2026年3月13日閲覧。
- ^ “子どものお小遣い相場が知りたい!お金の管理能力を習得させる渡し方も合わせて解説|iyomemo(いよめも)”. iyomemo. 2026年3月13日閲覧。
- ^ “小学生のお小遣いはいくら渡す?学年別の平均金額や使い方、渡し方などを知っておこう”. さちかち. 2026年3月13日閲覧。
- ^ “子どものお小遣いの考え方・使い方|親子のマネー教室|Popyful(ポピフル) ポピー子育て応援サイト”. www.popy.jp (2025年7月15日). 2026年3月13日閲覧。
- ^ “『投資の超基本』の著者が考案した最強のおこづかい帳はコレ! 今すぐ始められる子どものお金教育”. コクリコ|講談社. 2026年3月13日閲覧。
- ^ “親からのお小遣い、それって実は贈与になるかもしれません”. そうぞくガイド (2025年12月16日). 2026年3月13日閲覧。
- ^ a b “【調査結果】Z世代362人に聞いた!お小遣い帳をつけている人は少数派?全体の約2割ということが判明|「コのほけん!」”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES (2023年2月16日). 2026年3月13日閲覧。
- ^ 鶴薗, 佳菜子; 山口, 泰史; 鈴木, 翔; 武田, 真梨子; 須藤, 康介 (2013-03). “家庭の教育戦略としてのおこづかい : 全国小中学生データの計量分析”. 東京大学大学院教育学研究科紀要 52: 157–167. doi:10.15083/00031074. ISSN 1342-1050.
- ^ 竹尾, 和子; 片, 成男; 高橋, 登 (2004). “お金のやりとりから見た子どもの親子関係と友達関係–大阪調査から”. 発達研究 : (公財)発達科学研究教育センター紀要 = Human developmental research : CODER annual report 18: 1–13. ISSN 0916-1422.
- ^ 青木, 香保里; 北山, 雄三; 木谷, 圭一; 八木, 俊也 (2016-06). “親からの所得移転が子の消費計画に及ぼす影響についての分析”. 大阪大学経済学 66 (1): 72–73. doi:10.18910/57214.
- ^ “新選組の土方歳三が少女に渡した貨幣公開 戊辰戦争中の「お小遣い」:朝日新聞”. 朝日新聞 (2025年10月2日). 2026年3月13日閲覧。
- ^ “「夫のお小遣い額を把握していない」妻が約4割…世帯年収1000万円以上の夫のお小遣いはいくら?(まいどなニュース)”. Yahoo!ニュース. 2026年3月13日閲覧。
- ^ 小井戸, あや乃; 大藪, 千穂 (2022). “小学校の修学旅行版「おこづかいちょう」を用いた金融経済教育”. 中部消費者教育論集 18: 23–36. doi:10.50844/jjacechubu.18.0_23.
- ^ “小学生のお小遣いはいくら渡す?学年別の平均金額や使い方、渡し方などを知っておこう”. さちかち. 2026年3月13日閲覧。
- ^ a b “令和5年のおこづかい事情 | トピックス調査”. 博報堂教育財団こども研究所 (2023年9月11日). 2026年3月13日閲覧。
- ^ “お小遣い減少や昼食代上昇で苦しい!働く人の賢い節約術をご紹介 - ちょっと得する知識 - ミドルシニアマガジン”. マイナビミドルシニア. 2026年3月13日閲覧。
- ^ Inc, Nikkei (2026年3月13日). “キャッシュレスの黒船が変えるお小遣い文化 決済額1年で12倍”. 日本経済新聞. 2026年3月13日閲覧。
- ^ “小中学生に聞いたおこづかい事情調査”. 博報堂教育財団こども研究所 (2026年3月18日). 2026年3月31日閲覧。
- ^ “6〜17歳向け「Revolut」を日本で新たに提供開始”. PR TIMES (2025年3月25日). 2026年3月31日閲覧。
- ^ “TIS、「親子のキャッシュレス調査」を実施!子どもが使って安全な決済手段は「キャッシュレス派」が57.9%と「現金派」を上回る”. TIS株式会社 (2025年5月20日). 2026年3月31日閲覧。
- ^ a b “小中学生に聞いたおこづかい事情調査”. 博報堂教育財団こども研究所 (2026年3月18日). 2026年3月31日閲覧。
関連項目
外部リンク
「小遣い」の例文・使い方・用例・文例
- 私の月々の小遣いは5千円です
- 一ヶ月もお小遣いをもらえなかった。
- 私はあなたに小遣いをあげます。
- これはちょっとした小遣い稼ぎである。
- お小遣いで服を買いました。
- もしかしたら小遣いの額が減らされるかもしれません。
- 昨日お小遣いをもらいました。
- 彼らは私にお小遣いをくれた。
- お小遣いを稼ぐ。
- あなたは小遣いを主に何に使いますか。
- 私は毎月お小遣いを親からもらっています。
- 私は毎月母から小遣いをもらいます。
- お小遣いをちょうだい
- 父親は彼に小遣いを週10ドル与えている。
- 彼女の父親は毎月彼女に多額の小遣いをやる余裕がある。
- 小遣いの増額を父に掛け合った。
- 私は小遣いが不足している。
- 子供は必要以上の小遣いを手に入れるべきではない。
- 子供が小遣いをせがみます。
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