事前確認制度(APA)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/15 06:44 UTC 版)
「移転価格税制」の記事における「事前確認制度(APA)」の解説
移転価格課税リスクをあらかじめ回避するために、取引に先立って企業が課税当局との間で、国外関連者との取引価格が独立企業間価格であるとの確認を得る制度があり、これをAPA(事前確認制度、英: Advance Pricing Arrangement、米国では Agreement)という。APAは大きく分けて2種類あり、ひとつは、国外関連取引当事者一方とその所在する国の当局とのみで行う「ユニラテラルAPA」で、もう一つは当事者双方がそれぞれの所在地国の当局とで行う、「バイラテラルAPA」である。バイラテラルAPAは両所在地国の当局間の相互協議での合意が前提であることから、合意され、その合意にしたがって国外関連取引を行う限り、国際的二重課税のリスクはなくなる。一方、ユニラテラルAPAは、一方の所在地国内での確認であり、他方の所在地国がその確認を認めるとは限らないことから、国際的二重課税のリスクは残るが、国外関連者が香港、台湾など租税条約締結国、地域以外に所在する場合はそれなりに有効な手段である。 日本の事前確認制度は、pre-confirmationと呼ばれ、納税者と課税庁の間で行う「行政指導」として事前の「事実上の」確認に止まり、たとえ課税庁が確認をしたとしても爾後に更正処分等の所得再計算が行われることもあるが、米国ではAPAの合意に法的拘束力が与えられており、一口にAPAといっても国によって具体的仕組みはさまざまであることに注意する必要がある。
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