ベクトル積とは? わかりやすく解説

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ベクトル‐せき【ベクトル積】

読み方:べくとるせき

外積(がいせき)


クロス積

(ベクトル積 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/04/04 15:03 UTC 版)

3次元ベクトル a, b のクロス積(a × b)。クロス積は、a, b のなす平行四辺形面積に等しい大きさを持ち、平行四辺形に垂直なベクトルとなる。

クロス積 クロスせき: cross productは、3次元空間(3次元有向内積空間)において定義される、2つのベクトルから新たなベクトルを与える二項演算である。

2つのベクトル a, b のクロス積は乗算記号を用いて a × b、あるいは角括弧を用いて [a, b] と表される。

呼称

「クロス積」という呼称は、積の記号に十字(×)を用いることに由来する(同様にベクトルの内積は点()を用いることからドット積と呼ばれる)。またクロス積の別称として、 ベクトル積 ベクトルせき: vector productがある。「ベクトル積」は積 a × b がベクトルとなることに由来する(同様に積 a b はスカラーとなるため、ドット積はスカラー積とも呼ばれる)。

日本語中国語では、クロス積(叉積叉积)をしばしば外積外積外积)と呼び、しばしば同義語として扱う。しかし「外積」という語は、より一般には外積代数における楔積も指し、必ずしも「クロス積」とは一致しない。 楔積とクロス積を区別するため、前者を外積と呼び後者をクロス積と呼ぶ。

outer product もまた「外積」と訳されるが、こちらは直積direct product)を意味する。

表記

2つのベクトル a, b のクロス積は、以下のように表記される。

  • 乗算記号を用いる場合:
    右手の法則によるクロス積の向き
    右手系の外積

    3次元空間上の2つのベクトル a, b のクロス積 a × b は、以下のように定義される:

    (図1)2つのベクトルのクロス積の大きさは、それらが作る平行四辺形の大きさとなる。
    (図2)3つのベクトルのクロス積は、平行六面体を定義する。

    2つのベクトルのクロス積は、2つのベクトルが作る平行四辺形の大きさに等しい(図1)。

    また、3つのベクトル abcは、平行六面体を定義する。(図2)。この平行六面体体積 Vについて、

    が成り立つ。ここで絶対値記号を付けたのは、3つのベクトルのクロス積が負になる場合を考慮してのことである。

    なお、

    である。

性質

分配律

一般に分配律

  • a × (b + c) = a × b + a × c (角括弧表記では[a, b+c] = [a, b] + [a, c]

が成り立つ。

反交換律

一般に反交換律

  • a × b = − b × a (角括弧表記では[b, a] = -[a, b]

が成り立つ。これは、行列式の交代性やリー代数反交換性からも説明できる。特に、自分自身とのベクトル積は

であり恒等的に零ベクトルである。(複零性)

内積の性質、

と異なることに注意が必要。

双線型性

行列式の多重線型性から、ベクトル積も双線型性である。任意のベクトルに abc とスカラー kl に対して

が成り立つ。特に k=l=0 であれば

である。内積(スカラー積)の場合は零ベクトルとの積はスカラーのゼロであるが、ベクトル積の場合は零ベクトルであることに注意が必要。

ヤコビ恒等式

ベクトル積による演算結果はベクトルなので、別のベクトルとのベクトル積を考えることができる。3つのベクトルのベクトル積はベクトル三重積と呼ばれている。ベクトル三重積は

となる。3つのスカラーの積と異なり、ベクトル三重積では一般に

であり、結合法則が成り立たない。ベクトル積では結合法則に代わって

の関係式が成り立つ。これを変形すれば

が得られ、ヤコビ恒等式と呼ばれている。

三重積の証明

ベクトル三重積:

ベクトルとベクトルの外積であるから、これはベクトルである。そのx 成分は

同様にして、y 成分、z 成分は、

ゆえに、

多次元への拡張

行列式を使った拡張

行列式による定義を拡張して、n 次元ベクトル空間における n - 1 項演算としてのベクトル積が

を定義できる。 完全反対称行列を用いれば

となる。

例えば、2次元のベクトル空間では単項演算として

となり、4次元ではそれぞれ三項演算として

となる。また、1次元では定数 1 となる。

多元数を使った拡張

3次元のクロス積

は、4元数)のベクトル成分( の部分)の乗算

のベクトル成分で定義できる。ちなみに、スカラー成分を符号反転した 内積になっている。

3次元のクロス積はハミルトン4元数の概念をもとにして、ウィラード・ギブズオリヴァー・ヘヴィサイドがそれぞれ独立に、ドット積と対になる数学的概念として考案した。

これを多元数に拡張すると、n + 1 元数の乗算から n 次元でのクロス積を定義できる。つまり、実数(1元数)、複素数(2元数)、4元数、8元数の乗算から、0次元、1次元、3次元、7次元でのクロス積が定義できる(要素数が多くなるため縦ベクトルで表す)。

これら以外の次元では、必要な対称性を持つ乗算が定義できないため(これはアドルフ・フルヴィッツによって証明された)、クロス積は定義できない。また、0次元では自明なことを確認できるにすぎず、1次元のクロス積は常に零ベクトルである。

直積を使った拡張(外積)

クロス積は、直積

を使って

(*)

と定義できる。ただしここで、反対称テンソル擬ベクトルを等価

としたが、これをホッジ作用素写像として明示すると

と書ける。

(*)式はそのまま、一般次元での定義に使える。ただし、これで定義できる積は、クロス積ではなく外積と呼び、

で表す。外積は3次元ではクロス積に一致するが、同義語ではないので注意が必要である。

外積は2階の反対称テンソルであり、これはホッジ作用素により、n 次元では n - 2 階の擬テンソルに写像できる。つまり、2次元では擬スカラー(0階の擬テンソル)、3次元では擬ベクトル(1階の擬テンソル)に写像できるが、4次元以上ではテンソルとして扱うしかない。

外積(ドイツ語: äußeres Produkt)は、グラスマンによって導入されたが、当時はそれほど注目されず、彼の死後に高く評価された。

関連項目

外部リンク


ベクトル積

出典:『Wiktionary』 (2021/08/22 00:51 UTC 版)

名詞

ベクトルべくとるせき

  1. 2つ空間ベクトルから計算される2つベクトルが成す平行四辺形面積大きさとして持ち掛けられるベクトルから掛けるベクトル向かって回るときに右ねじが進む方向向きとして持つベクトル成分表示では、2つ空間ベクトル (a1, a2, a3) と (b1, b2, b3) から、(a2b3a3b2, a3b1a1b3, a1b2a2b1) で定義されるベクトル

用法

  • 「×」を用いてAB のベクトル積を A × B と記す。

類義語

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