p = 0 の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/11 09:20 UTC 版)
p = 0 に対しては、(有限次元の場合の例ではないが)l0-ノルムと呼ばれるものと、もう一つ l0-「ノルム」と呼ばれるものがある。 l0-ノルムの数学的な定義は、バナッハの著書 Theory of Linear Operations で確立された。数列空間 l0 は、無限列全体の成す無限次元空間で F-ノルム ( x n ) ↦ ∑ n 2 − n | x n | 1 + | x n | {\displaystyle (x_{n})\mapsto \sum _{n}{2^{-n}|x_{n}| \over 1+|x_{n}|}} によって与えられる完備距離位相を持つ(このことは Stefan Rolewicz の著書 Metric Linear Spaces で論じられている)。この意味での l0-ノルム空間は、関数解析学や確率論、調和解析などの分野で研究されている。 もう一つのほうはデヴィッド・ドノホ(英語版)が l0-「ノルム」と呼んだもので、ベクトル x の非ゼロ成分の数を返すものである。00 = 0 と定義するならば、各元 x の l0「ノルム」の値は | x 1 | 0 + | x 2 | 0 + ⋯ + | x n | 0 {\displaystyle |x_{1}|^{0}+|x_{2}|^{0}+\dotsb +|x_{n}|^{0}} に等しく、即ち Rn において(0 < p < 1 なる)p ノルムの p ↓ 0 とした極限と見ることができるので、—これは斉次的でないから真のノルムではないけれども—用語の濫用により単に "0-ノルム" のように呼ぶ数学者も少なくない。これら性質の欠落によってノルムとはならないにも拘らず、この非ゼロ成分を数え上げる「ノルム」は計算科学や情報理論、統計学 - 特に信号処理における圧縮センシングや計算的調和解析において、用いられている。
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