coalescenceまでの時間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/19 19:41 UTC 版)
「合祖理論」の記事における「coalescenceまでの時間」の解説
合祖理論に基づいて知りたいことの一つは、遺伝子、あるいは対立遺伝子がどのような歴史を経て、現在のような集団内における分布をとるに至ったのか、ということである。このことを考える上で、MRCAまでどのくらいの世代時間がかかるかを推定したい。 二つの対立遺伝子が一世代前でcoalescenceを生じる確率は、二つの対立遺伝子が一世代前の同じ対立遺伝子から由来する確率と等しい。集団サイズN が一定の二倍体生物集団を仮定した場合、それぞれの遺伝子座には2N 個のコピーが存在するので、1/(2N )となる。逆に、coalescenceを生じない確率は1 - 1/(2N )である。(Wright - Fisher modelを仮定。) 次に連続世代で考える。現在からt - 1 世代前まで coalescenceが生じず、t 世代目でcoalescenceが生じる確率は、 P r ( t ) = ( 1 − 1 2 N ) t − 1 ( 1 2 N ) . {\displaystyle P_{r}(t)=\left(1-{\frac {1}{2N}}\right)^{t-1}\left({\frac {1}{2N}}\right).} これは幾何分布である。 N が十分に大きいとき、幾何分布は指数分布に近似されることが知られている。よって、 P r ( t ) = 1 2 N e − t − 1 2 N . {\displaystyle P_{r}(t)={\frac {1}{2N}}e^{-{\frac {t-1}{2N}}}.} 一般的に、指数分布は期待値と標準偏差が等しく、この場合2N である。したがって、coalescence が生じるまでの時間の期待値は2N 世代である。しかしながら、分散が大きいことに注意してほしい。
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