X-DAYとは? わかりやすく解説

エックス‐デー

《(和)X+day近い将来重大な出来事がおきると予想される日。また、計画実行の日。→エックス4


X Day

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/10 13:39 UTC 版)

X Day』(エックス・デイ)は、三原順漫画。原子力発電に伴う環境問題を取り上げた『Die Energie 5.2☆11.8』の続編にあたる。やはり核時代に生きる人間たちのドラマを、日常の中でとらえた[1]作品。異国アメリカの様々な(1980年代の)『今』を、ほぼリアルタイムで伝えてみせた[2]

概要

初出は、1982年白泉社の少女漫画雑誌『ララ』だが、掲載されたのは、47ページの予定のところ31ページの未完成原稿で、最後のページに作者のお詫び文があった[2]。その後1985年に、270ページの長編として単行本が刊行された。

Die Energie 5.2☆11.8』『踊りたいのに』と同一世界観上の物語であり、時系列上では、Die Energie 5.2☆11.8の直後にあたり、最後の物語になる。『踊りたいのに』の主人公レベッカは、本作ではロザリンのセリフに「レヴィ」として登場している(ルドルフは『踊りたいのに』の最終ページに一こまだけ登場している)[3]

『ムーン・ライティング』シリーズとの関係

ダドリーを中心とした家系図:ムーン・ライティング・シリーズとX Day

本作主人公の「ダドリ−・トレーヴァ―」は、『ムーン・ライティング』シリーズの「DD」と名前は同じであるが、姓が『X Day』では「Travor」、『ムーン・ライティング』シリーズでは、「Traver」と、スペルが異なっているというのが、作者による公式な設定である[3]。家系図的な設定はかなり重なっており、両作品ともダドリーは、ピーターとエレの次男として育てられたが、実際には長男クリントの双子の妹が産んだ私生児で、2人は祖父母、クリントは伯父に当たる(右図参照)。なお、ダドリーは本作及び『Die Energie 5.2☆11.8』では「ダドリー」と呼ばれ「DD」と呼ばれることはないが、『踊りたいのに』ではD・Dと呼ばれている。

あらすじ

ダドリー・トレヴァーは、父親のトマト畑を継ぐと言って会社を辞め、兄の家にに呼ばれる。飛行機で預けたトランクが出てこない。 13歳年上の兄クリントの家では、兄は出世し仕事が多忙で毎日帰宅が遅く出張も多く、内緒で愛人もいる。 兄の奥さんナンシーは、旦那の不在と難しい年ごろの子供たちに手を焼いて隠れキッチンドリンカー。 長女のアデルは、敏感な年ごろの中学生で、父親似の攻撃的性格と言われ、母親に自分が持て余されている事に傷つき混乱している。 末っ子長男のスコットは、物事から逃げたがり減らず口だけ多くお人よしなところがダドリー似と、親に心配されている。 もう一人、隣から預かっている幼い子供のニュートがいて、彼は両親が、大自然を求めてカナダの田舎に移住していたが、ある時妹が病気になり、母親も看病疲れで倒れ、遠い親戚だったお隣が休暇旅行直前に急に預かる事になり、旅行の間だけダドリーの兄の家が預かっていた。

ダドリーの父親は、納品していた缶詰工場が6ヶ月先に閉鎖すると、銀行ローンが支払えなくなり土地と家を銀行に取られる。そこでダドリーは、父親の借入金返済資金を稼ぐために、友人の協力を得て鉱山会社に風説の流布・相場操縦のポンプ・アンド・ダンプ詐欺をしかけ、詐欺罪が成立しないよう、高額マージンを要求して鉱山会社に断らるよう仕向け、一儲けを仕込む。 ニュートが、鉱物持ち込み日をDデーと書いたダドリーのメモを見て、カレンダーを数えて自分の誕生日11月14日がXデーだとカレンダーに印をつける。 アデルは何かとダドリーに絡む。子供たちと話をしていて、ダドリーは、自分が「楽しい」がどんな感じだったか思い出せない事に気が付く。

ダドリーは、学生時代にコンピュータを駆使し政治家の政策立案や選挙戦略を作る計数屋のウォーレン氏のもとでアルバイトをし、ウォール街の金融テクニックやコンピュータ犯罪のテクニックを仕込まれ、ある政治家の政策のために熱中して働いたが、その政治家は選挙で勝つために真逆の政策を打ち出した事に失望し、惰性で看護師のリズと付き合ったが、彼女の勤務する病院は、麻薬を横流ししておりリズも麻薬を打っていた。ある日リズは純度の高い麻薬を打ち、ダドリーの家の前で亡くなる。事情を知っていると疑われたダドリーもさらわれて麻薬中毒にされ、しばらく気楽な麻薬中毒者でいたが、友人のルドルフに監禁されて薬を抜かれて、更生した過去があった。

計数屋のウォーレン氏が、仕事の誘いにダドリーに会いに来るが、ダドリーは断る。 ウォーレン氏は、ダドリーに「憎んでもいない人の依頼にNOというのを初めて聞いた」と言い、ダドリーの、「丁度育児書や精神分析が、それに振り回されて自分の判断では子供をそだてられないような親を増やしてしまったのと同じように、「世論に過敏になり政治生命を守るための方策ばかりを考える連中ばかりを作ってしまう不安」を、認める。ダドリーは帰りに車で道を歩いているアデルを拾う。アデルは、セラピストが嫌で本当は母親と話をしたいけれど、母親が自分を苦手がるので母親を傷つけないためにセラピストに通っており、過度なセラピスト依存文化に疑問を感じているダドリーは、「一人で我慢し続ける寂しさに慣れてしまうべきではない」と忠告をする。

帰宅すると兄が在宅しており、息子のスコットがダドリーにそっくりだと怒り、「いつだって利用されて損させられて」とダドリーを責め、ダドリーは兄と喧嘩する。ダドリーはニュートに、自分は親の畑を継ぐという強迫観念で、目的に所有されようとしていると話す。 ダドリーの学生時代からの友人かつ元同僚のルドルフも、ダドリーに洋服を届けに来ていて、ニュートの話を聞いて、それがソ連の原子力衛星がカナダに墜落して破片を探したモーニングライト作戦の事だと気が付き、ニュートの一家は放射能汚染を受けており、他の家族の生存も怪しい事を指摘する。

翌週ダドリーは仕掛けた株を売り抜けて一儲けする。前の会社を辞めた原因を作ったワイスが現れ、証拠のフイルムを譲れとダドリーに銃を突きつける。ダドリーは逆に銃を奪い、腹を立てて、ルドルフに、会社を辞める前に偶然ワイスの横領を見つけ、前支店長に報告したところ、前支店長がワイスとつるんで、ダドリーに分け前と昇進を持ちかけてきたこと、トランクが見つかれば中に証拠フィルムがある事を話す。

ダドリーは小切手を持って両親の家に行くが、父親は、自分を幸せにしておける口実として、自分のやってきた事の始末は自分でするといい、お金を受け取らない。ダドリーは親の畑を継ぐ強迫観念を失う。ニュートの体調が悪化して余命が長くない事がわかり、ナンシーは隣人から勧められたセラピストを子供たちに勧めるが、本当は母親と話したいアデルは反発する。スコットは表向き母親に合わせておいて、夜中に家を抜け出し年上の友人達と遊びに行く。

ダドリーは残る強迫観念のワイスに嫌がらせをしようと、ワイスの留守中に家に花と包装をした銃を自ら届ける。ルドルフは会社で支店長にワイスの調査を申し出、自分で何故オレは奴と付き合っているんだ?と怒る。 父親の浮気を知り家出したアデルが、ダドリーを探しにルドルフのところへやってきて、ルドルフとロザリンドの前で、自分はがダドリーの姪ではなくいとこで、父親の双子の妹がダドリーを産んだ年より上になっている事を告白してしまう。ロザリンドに慰められ、ダドリーが好きな事、でもセラピストと話をして、その気持ちを暴かれるのが怖い事を話す。

翌日ダドリーが、メリンダ宅から飲みに出たところで、殺気ある怪しい男に尾行されている事に気が付く。秘密の逃げ道を通って、薬中時代の知り合いかくまってもらうが、怪しい男が無差別に数人殺し、更にダドリーを探して出てきたメリンダとトニーを尾行するのを見て、制止を振り切って後を追い、レストランでサブマシンガンと撃ち合う。その頃兄の家でも、スコットが年上の友人達の喧嘩に巻き込まれて重症を負い入院し、ナンシーのアルコール依存症も発覚し、療養所に入院する。

ダドリーは、入口階段から落ちて軽症で済んだ。トニーも銃を撃ち、怪しい男は死んだ。退院後、ダドリーは、ワイスが車の転落事故で亡くなった事を知る。快気祝いにロザリンとルドルフと食事と飲みに出かけ、強迫観念がなくなった自由を持て余しながら、ダドリーは、すっかり幸福な人間になる。 アデルは、父親に愛人の事を知っている事を言う。そしてセラピストに「私は周囲の人達と嫌がられずに相談にのって貰えるような関係をつくれる人間になりたい。それを自分でやってみたい。」と、もうセラピーを受けない事を伝える。

ダドリーのトランクが出てきて、中にあったワイスの横領証拠のフィルムはルドルフに任せ、ダドリーはアデルを連れてカナダに行き、ニュートが飼っていた犬の兄弟犬を連れて帰る。ニュートは自分の犬に会えたと喜び、ほどなく亡くなる。兄もダドリーに優しくなり、ダドリーは、兄にルドルフの口利きで前職に復職できる事を伝える。アデルは明日母親を訪ねる事にする。スコットは年上の友人からの電話に、今夜は断るが、また今度と言う。テレビのニュースが、またソ連の原子炉衛星が軌道を外れ、墜落する予定である事を伝えているところで、物語が終わる。

登場人物

ダドリーとその知人たち

ダドリー
ダドリー・デヴィット・トレヴァー。男性。30代くらい。人当たりがよく、誰とでも友達になれる。有能なコンピュータ技術者(プログラマ)。電力会社でルドルフの同僚だったが、親のトマト畑を継ぐといって会社を辞めた。実は後でワイスの横領を見つけて支店長に報告したところ、支店長がワイスと一緒に懐柔してきた事が原因と判明。親のために株を仕掛けて儲けたが、親が受け取らず畑を継ぐ事を諦めた。終了時にはルドルフの口利きで、前職に復職の見込み。
学生時代に世論調査・統計調査に基づく選挙対策を行う計数屋のアルバイトをした際に、金融やコンピュータ侵入手口等を学ぶ。麻薬中毒だった時期がある。実は兄クリントの双子の妹が13歳で生んだ子供で、兄は叔父、両親は祖父母。独身主義。
ルドルフ
ルドルフ・ロッシュ。男性。30代くらい。ダドリーの学生時代からの友人かつ辞めた勤務先の同僚。麻薬中毒時代のダドリーを監禁して更生させ、何かとダドリーの面倒を見る。ダドリーからワイス横領の話を聞き、支店長に調査とダドリーの復職を交渉する。
電力会社幹部候補のエリート。自分でもダドリーのために嘘をつける事を、なぜだと自分で怒る。ロザリンからは、鈍いと怒られている。ダドリー曰く、お互い礼をわきまえる努力をしなくなってから久しい友達。聞きたい台詞は言ってくれないが、聞きたがるような音楽は、どこからでも上手く見つけてくる。
ロザリン
ロザリン・ブラッシュ。ルドルフの隣人で看護婦。家出してきたアデールを、ルドルフの変わりに預かり、アデールの相談相手となる。ダドリーへの恋心に苦しむアデールに、自分もルドルフが好きだが、彼は鈍感で他に意中の女性がいると話す。
ラズ
女性。若い時にダドリーが成り行きで付き合っていた看護師。計数屋のバイトで協力した政治家の転向で荒れたダドリーが、事故を起こして入院した病院の看護師で、退院後ダドリーと同棲した。麻薬に手を出していたためダドリーは突き放したが、高純度麻薬を打ちダドリーのアパートの前で死亡。ダドリーも薬中になるきっかけを作った。
ボブ
中年男性。ダドリーのO・U鉱山への陰謀の片棒。「念願の自分の店」をもつために加担した。口が堅く秘密は守るが、ダドリーが持っている横領の証拠をもみ消したいワイスに聞かれてダドリーをワイスに引き合わせてしまう。
メリンダ
女性。ダドリーの昔の知り合い。ダドリーが銀行のシステムにはいるために、注文室に居た彼女に声をかけコンピュータの手引書を見せてもらった。そのことで彼氏のディックと喧嘩して別れ、ダドリーと関係を持つ。ダドリーを自分の部屋に泊め、ワイスの会社を調べるダドリーに協力する。アデールのためにルドルフがダドリーを探している事を知って、飲みに出たダドリーを追って街に出たところ、ダドリーを狙うヒットマンに目を付けられる。
ミスター・ウォーレン
男性。政治家を当選させる事を生業とする計数屋。若い時のダドリーを雇って、ある政治家の元に送り込み仕事をさせた。ダドリーに「トロイの木馬」や「落し戸」(バックドアのこと)のようなコンピュータ犯罪(クラッキング)の手法も教える。電力会社を辞めたダドリーに、仕事の声をかけ、兄の家に滞在しているダドリーを追って近くの町まで説得に来るが、失敗。

トレヴァー家

クリント・トレヴァー家と関連人物

クリント
クリント・トレヴァー。クリント・トレヴァー。戸籍上のダドリーの兄。ダドリーの13歳年上。会社勤務。出世を繰り返し仕事は好調だが、毎日帰宅が遅く出張も多い。実は愛人がいる。実際にはダドリーの伯父で、双子の妹が13歳で産んだ子がダドリーにあたる。昔からダドリーに厳しく当たる。
ナンシー
ナンシー・トレヴァー。ナンシー・トレヴァー。女性。クリントの妻。主婦。クリントが仕事で不在しがちなため、一人で子育てに悩み、セラピストに依存する隠れキッチンドリンカー。スコットの事故後発覚し、療養施設に入る。
アデール
アデール・トレヴァー。女。クリント・ナンシー夫妻の長女、スコットの姉。ダドリーお気に入りの姪。攻撃的なところが父クリントにそっくりと言われ、母親と上手に話せず、自分を失いかけていた。本当はいとこのダドリーに肉親に対するもの以上の好意を抱いているが、表向きは叔父として、口に出す事ができず、セラピストが、ダドリーへの好意を暴いて、心理学的な説明で整理してしまうのではないかと恐れている。物語最後に、自分で解決を取り組むと宣言して、セラピーを辞める。
スコット
スコット・トレヴァー。少年。クリント・ナンシー夫妻の長男、アデールの弟。揉め事から逃げたがるところ、他人に損させられるところがダドリーにそっくりと両親に言われている。表向きは愛想が良いが、夜間に夜間に無断で外出し、年上のグループと付き合い、敵対グループとけんかで重症を負い入院する。
ニュート
幼い少年。クリントの隣家の親戚の子で、カナダ在住だったが妹が病気になり母親も看病疲れになって、旅行に行く直前の隣家に預けられ、更にクリント家が代わりに預かった子。ダドリーの「10月25日 D Day」と書いたメモを見て、自分の誕生日(11月14日)を「X Day」と言う。「コスモス954号」墜落による破片を釣りで拾ったらしく、飼い犬ジェイクを含んだ家族全員が被曝。彼もやがて体調を崩し、肺炎で逝去する。

実家・トレヴァー家

ピーター
ピーター・トレヴァー。クリントとダドリーの父だが、本当はダドリーの祖父かつ養父。長年納品していた缶詰工場の閉鎖で、自宅と農場は銀行に取られる事になったが、銀行と交渉して自分とエレが暮らす町はずれの小さな家は残るようにした。「自分のやってきたことの始末は自分でつける」として、ダドリーが持ってきた小切手を受け取らなかった。
エレ
エレ・トレヴァー。女性。ピーターの妻、クリントの母、ダドリーの祖母かつ養母。かぼちゃ料理が得意。自分たちの死後のダドリーとクリントとの仲を案じる。

ダドリーを狙う者たち

ワイス
男性。ダドリーが勤めていた電力会社の(元)幹部社員。ダドリーが能率分析の報告書を書くため古い書類を調べる中で横領が発覚してしまい、ダドリーが支店長に報告した際には、支店長と共にダドリーを分け前と出世で懐柔しようとして、ダドリーが辞めるきっかけを作った。ダドリー退職後、別の不正が発覚し、会社を自主退職。しかしダドリーが横領証拠のマイクロフィルムを持っている事を知っていて、ダドリーを探し出し銃で脅す。その時の銃をダドリーが逆に取り上げ、後でプレゼントとして家に返却した事に激昂して、家を出たまま行方不明になる。2週間後に事故死体で発見される。
O・U鉱山関係者
詐欺だと気が付き、交渉代理のボブに対して、「鉱石を掘り出した者」を教えるよう暴力的に要求する。
ディック
メリンダの(元)交際相手。メリンダがダドリーの仲を嫉妬し、ダドリーに『金はなくとも血はあるだろう』と電話で脅迫する。
ヒットマン
サブマシンガンの入った楽器ケース状のかばんと銃を持ち歩き、ダドリーを尾行した殺し屋。道で出会った人も無差別に殺し、メリンダとトニーを見つけると尾行して、メリンダ達が入ったレストランに入る。客席でサブマシンガンを組み立てたところで、ダドリーが追い付き、撃ち合いとなって射殺された。

作品の評価

村上智彦は、サンデー毎日1986年5月25日号に、ぼくらの生きる時代の不安に、として「エックスデー」を、「みなどこかしら不安定な精神を抱えながら生きている。(中略)物語は決して、原子力利用の危険性を超え高に告発するわけではない。読者は主人公達の心の不安を執拗に追ううち、その背景に横たわるぼくらの生きる時代の抱える不安に、静かに思いを至らせるのだ。」と評した[1]

藤本由香里は、「(三原順の倫理である)「ごまかさないこと、向き合うこと」は、後期になるとしだいに「複雑で対処するのが難しい問題に対して、専門家の意見を聞いてわかったような気になることも」をも射程に含む。子供の問題をカウンセラー頼みにする親と、専門家の意見すら大きく分かれる原子力発電の問題を組み合わせて語る「エックスデー」シリーズは、その典型だ。」と評した[4]

岡野美代子(雑誌編集者)は、本作を「三原マンガの一頂点を示す傑作」と評し、「ダドリーの過去のエピソードはもはや言うに及ばず、崩壊の兆しを見せる兄一家の物語と、原子炉衛生墜落事故に絡むニュートの物語までもが、精密かつ巧妙に織り込まれている。職人芸を思わせる、手の込んだ寄木細工のようなプロットは、三原作品の大きな魅力だ。無論、プロットのみが「XDay」の特徴ではない。細部に至るまで手抜きのないバックグランウド描写もまたそうである。理念を欠いて票集めに汲々とする政治家、あらゆる分野において力を持ち始めた専門家の存在、行き場をなくしてキッチンドリンカーに陥る主婦、ウォール街を席巻せんとする新型のファイナンス理論・・(中略)込み入ったストーリー展開をこなしてなお余力ある三原さんのペンは、さらに複雑な人間の内面をも巧みに描き出す。いや、むしろそれこそが三原さんの真骨頂。三原さんの人間の感情をつぶさに描写した作家はいない。(中略)三原さんはダドリーたちに執拗に「?」を繰り返させる。人間自身に、あるいはその社会に潜む解けない謎を、時には真理を、次から次へと見つけ出しては並べてみせる。」と評した[2]

書誌情報

  • 『X Day』1985年5月初版、白泉社 ISBN 978-4592130512
  • 『X Day』(文庫版)1999年3月初版、白泉社 ISBN 978-4592883807
    • 「今は静かな」とともに収録
    • 解説 岡野美代子(雑誌編集者)「手の込んだ寄木細工のような…」(付録)

脚注

  1. ^ a b 村上知彦「ぼくらの生きる時代の不安に」『サンデー毎日』1986年5月25日号、毎日新聞出版
  2. ^ a b c 岡野美代子『X Day』(文庫版) 付録解説「手の込んだ寄木細工のような…」 白泉社 1999年3月 ISBN 978-4592883807
  3. ^ a b 三原順『ムーン・ライティング2』 あとがき 白泉社 ‎ 1986年5月 ISBN 978-4592130871
  4. ^ 藤本由香里『総特集 三原順』三原順の倫理 127頁 河出書房新社 2015年4月 ISBN 978-4-309-27579-6

Xデー (曖昧さ回避)

(X-DAY から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/16 00:03 UTC 版)

Xデー

  • Xデー - 近い将来に重大な出来事が起きると予想される日、または計画実行の日を指す俗称。
  • X Day - 三原順の漫画作品。
  • X-DAY - 茅原実里の楽曲。アルバム『D-Formation』に収録。
  • 余命検索サービス X-DAY - ナムコが1994年に発売したアーケードゲーム(エレメカ)。
  • 相棒シリーズ X DAY - 2013年に公開された日本映画。テレビドラマ『相棒』のスピンオフ作品。
  • X-DAY 黙示録英語版 - 2016年の映画。ジョエル・ノヴォア英語版監督作品。

「X Day」の例文・使い方・用例・文例

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