WXIIIとは? わかりやすく解説

WXIII 機動警察パトレイバー

(WXIII から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/06/08 14:12 UTC 版)

機動警察パトレイバー > WXIII 機動警察パトレイバー
WXIII 機動警察パトレイバー
WXIII: Patlabor the Movie 3
監督 高山文彦総監督
遠藤卓司
脚本 とり・みき
原案 ゆうきまさみ
原作 ヘッドギア
製作総指揮 高山文彦
出演者 綿引勝彦
平田広明
田中敦子
音楽 川井憲次
撮影 白井久男
編集 瀬山武司
制作会社 マッドハウス
製作会社 バンダイビジュアル
東北新社
配給 松竹
公開 2002年3月30日
上映時間 100分
製作国 日本
言語 日本語
前作 機動警察パトレイバー 2 the Movie
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WXIII 機動警察パトレイバー』(ウェイステッドサーティーン きどうけいさつパトレイバー)は、2001年製作、2002年3月30日に公開された日本アニメーション映画作品[1]。『機動警察パトレイバー』の劇場公開アニメ作品第3弾。同時上映は『ミニパト』のシャッフル上映(1〜3話のうちのどれか一作)。

タイトルの「WXIII」とは、廃棄物(英語でWasted)13号(XIII)を指している。

概要

13号と呼ばれる謎の巨大生物を巡る陰謀と、それらを追う刑事2人の物語。人を襲う怪物を目撃した刑事の久住と秦は、事件を追ううち研究員冴子の秘密と禁忌の実験を知る。その裏では軍事的領域のアプローチが着々と進行していた。

声の出演は、綿引勝彦平田広明田中敦子大林隆介など[2]

本作品は、漫画版のエピソード「廃棄物13号」と「STRIKE BACK(逆襲)」を原作とするが、主役やヒロインをはじめ、ストーリーや設定なども大幅に変更された[3]。そのほか、時代性の変化が反映されている[4]

企画自体は1995年ごろ着手されている。当初はOVAシリーズとして制作予定だったが[5]、劇場作品にフォーマットを移すなど、完成までに複雑な経緯があった[6]。また、いわゆるスピンオフであり、第二小隊のメンバーなど従来の登場人物から離れ、オリジナルの刑事を主人公に据えている[6]

あらすじ

2000年[注 1]、東京湾に輸送機(フロンティア航空236便)が墜落し、乗員全員が死亡する事故が発生した。事故後、東京湾岸の各所で何者かによるレイバー襲撃事件が続発する。警視庁城南署の刑事である久住と秦は各所で聞き込み捜査を進め、墜落事件の後に巨大なハゼが釣れていたこと、墜落した輸送機の貨物コンテナに不審な点があることなどを突き止める。

その後、6月8日の雨の夜に若者の集うディスコクラブ「バビロン」で、車に乗ったカップルの惨殺死体が発見される。時を同じくして、「バビロン」の近隣にあるバビロン工区の水上コンテナ備蓄基地で突如警報が作動し、施設内の停電とともに内部の職員と連絡がとれなくなる事態が発生した。

近くを走行中のパトカー(城南4)に偶然乗っていた久住と秦は、警備員の通報を受けパトカーに乗る警官らと現場に急行。警備員たちと共に施設内部へと分け入った。そこで彼らが遭遇したのは、廃棄物13号(WXIII)と名付けられた異形の怪物だった。

登場人物

※各登場人物の詳細は機動警察パトレイバーの登場人物を参照。

久住 武史
声 - 綿引勝彦[2]
本作品オリジナルのキャラクター。警視庁城南警察署捜査課に勤務する中年の刑事。年相応の貫禄と経験、さらに高い洞察力の持つ。聞き込みを重視する昔気質の刑事で、後藤とは旧知の仲。左足を骨折しており歩行が困難な状態[7]
秦 真一郎
声 - 平田広明[2]
本作品オリジナルのキャラクター。久住と同じ城南署捜査課の刑事で、共に事件の捜査に当たる。28歳の独身[8]
岬 冴子
声 - 田中敦子[2]
ニシワキセルを発見した西脇順一博士の娘で、東都生物医学研究所主任。病死した娘に異常なほど執着しており、娘のがん細胞とニシワキセルの合成生物13号を育成する[9]
岬 一美
声 - 鈴木里彩
冴子の娘。6歳のときにがんで他界している[10]
栗栖 敏郎
声 - 穂積隆信[2]
財団法人東都生物医学研究所の所長、61歳[11]。ニシワキセル研究の第一人者であり、西脇博士と共に南極探検や研究所設立を行っている[11]
宮ノ森 静夫
声 - 拡森信吾[2]
東都生物医学研究所の研究員[12]
石原 悟郎
声 - 森田順平[2]
陸上自衛隊一等陸佐[13]。自衛隊装備局武器需品課所属[14]。廃棄物シリーズ研究のスポンサーとして事件に関わる[13]
マイケル・パッケンジー
アメリカ陸軍大佐[13]。石原と同じく廃棄物シリーズ研究のスポンサー[13]
後藤 喜一
声 - 大林隆之介[2]
警視庁特車二課第二小隊隊長。久住とは旧知の間柄だが、本作品までの3年間会っていなかった。久住の行く先々で部下を送り、情報を提供する[15]
泉 野明
声 - 冨永みーな[2]
特車二課第二小隊隊員。13号との対決において、登場する1号機の応用の高さにより、13号が着込んだカウル(外装)を剥がし押さえ込む役割を担った[16]
太田 功
声 - 池水通洋[2]
特車二課第二小隊隊員。13号に使用する特殊弾丸「ウイルス弾頭」が1発しかないことを踏まえ、弾頭がより射撃能力の高い彼の2号機に装備されると[16]、太田は「一発あれば十分です」と答え、命中させている[17][注 2]
篠原 遊馬
声 - 古川登志夫[2]
特車二課第二小隊隊員。
進士 幹泰
声 - 二又一成[2]
特車二課第二小隊隊員。

廃棄物13号

本作に登場する全長およそ20メートルの巨大な怪物[注 3]、別名ベイカーズ・ダズン[19]。ニシワキセルに冴子の娘・一美のがん細胞を組み込んで生まれた人工生物で、冴子は「あの子」と呼ぶ[19]。強靭な生命力[注 4][注 5]と狂暴な捕食性をもち、光を嫌う性質がある。とある超音波に反応し、シャフト製のレイバー用超伝導モーターやレコードなどに引き寄せられた[19]。作中では、セイレーンIIの外装を鎧のように着込むシーンがあり、知能は高いとされている[21]

頭部にある2本の触手の先端には、暗がりでのみ発光する球体が付いている[19]。これを利用し獲物などを判別する仕草があるが[21]、基本的には聴覚に頼った行動を取る[20]幼生体時は後脚が未成熟なため前脚を使って移動し、成長体となれば立ち上がれるほど後脚が発達する[22]。手のような形状の太く長い尾の先は、物をつかむことが可能[21]。歯には門歯・犬歯など哺乳類のような区別があり[22]、歯並びなども人間的である。最終局面では、胸部に乳房らしき器官が見られ、人間の細胞が含まれていることが強調された。原作では甲殻類のような外皮で多脚。爬虫類のような複眼と歯を持ち、触手も数本ある[20]

脚本のとり・みきによれば、13号が特殊な超音波に反応する設定は、山下達郎のラジオで聴いたレコードとCDの違いや、『ウルトラQ』に登場する怪獣ラゴンの設定などから着想を得ている[23]

キャスト

スタッフ

製作

1995年、総監督の高山文彦と脚本のとり・みき(以下、とり)に企画参加の依頼が寄せられた。スーパーバイザーである出渕裕は、漫画版のエピソード「廃棄物13号」を原作にすると決めており、当初は前後編2本の単体OVAという企画だった[注 6]。登場人物については、完全なスピンオフという指示があり、従来のメインである第二小隊は登場させず、脇役もしくはオリジナルキャラクターを主人公に据える趣旨だった。高山によれば『劇場版2』で片がついた第二小隊は出せないためのスピンオフ企画だが、OVAなら気楽だと思い承諾したという。とりは、パトレイバーというビッグタイトルだが、メディアミックスかつOVAには出渕の脚本作品もあり、自分が書くものがひとつあっても良いのではと承諾している[注 7]。また、第二小隊のいないほぼオリジナルでいくと出渕が決めていたから既存スタッフではなく自分や高山に声が掛かったのではと述べている。結果的に第二小隊は登場しているが、途中で劇場版へと企画がシフトしたため映画用の初稿で登場させたものを高山が削り、とりが増やしてを繰り返して完成形となっている。とりはこの件について「(高山は)潔くないと思って削ったのではないか」と述べている[6]

とりによれば、脚本は初稿完成前の時点から苦労があったという。出渕は、完成した脚本を監督が後から変更する流れにはせず、各々が初めに提案したアイデアを脚本に落とし込む方法を考えた[6]。しかし、それぞれの嗜好や意見がまとまらず苦心したという[注 8]。最終的には、高山の改変案ならば了承するつもりだったとりが一旦書き上げることを提案し、1998年ごろに初稿ができあがった。同時期にOVAから劇場版へと企画変更されている。それに伴って、高山はダイアログを大幅に変更したが、脚本の大まかなシークエンスなど構成自体に手は加えていない[6]。円滑に進行できた箇所として、高山らは「物語の導入部」「久住が冴子を犯人として指摘し、秦が反発するシーン」「13号出現シーン」を挙げている。ハリウッド的な見せ方や演出を嫌い、特に13号出現シーンは逆光や衝撃音などを省き、あえて何もせずリアリティを求めたという[23][注 9]

高山は、出渕が想定した本作のジャンルは怪獣映画ではなく怪獣の出るSF映画ではないかと述べている[23]。出渕は、怪獣もののテイストをアニメで試したかったが、オリジナル企画では却下されるためパトレイバーで試みたという。また、怪獣映画の可能性についての提言であると同時に、自身が子どものころに好きだったジャンルへの恩返しだと位置づけている[5]。とりは、2人だけならバランスを欠くところ、高山・出渕と自分の3人がいたから別々のベクトルが調和できたと語っている[23]。また本作の脚本執筆は「自分自身についての怪獣映画に対する憑きもの落とし」とのこと[5]

本作は、アニメがセル撮影メインからデジタルに移行する過程における最後期の作品だが、観覧車など動きがスローな部分はCGが使用された。予算の都合で当初の予定よりCGカットは少し減らされている。また高山は、仮にワンカットのみCGが使用できるならば、秦が写真を見るシーンに使っただろうと話している[23][注 10]

高山は2009年のインタビューにて、公開当時にあった電話ボックスに貼られたピンクチラシなどの風景は記録する価値があるとして作品に取り入れており、現存しない風俗のタイムカプセルとして機能する作品になったと語っている[23]

本作の評価と成果について、高山ととりは一様に「(その後の環境は)何も変わらない」と語った。フランスの映画祭をはじめ作品の評価は高かったため「これを観た映画関係者から脚本の仕事が来るのでは」という声も上がったが、オファーはまったくなかったという[23]

韓国映画『グエムル-漢江の怪物-』は本作との類似点の多さから盗作疑惑が指摘されたが、日韓両国の配給関係者は否定している[24][25]

脚注

注釈

  1. 本作の世界線における和暦は「昭和75年」。
  2. フォワード2人の役割と結果は原作では正反対になっている[16]
  3. 立ち姿勢(尾は含まず)は、全高およそ8メートルのイングラムとほぼ同サイズ[18]
  4. 前実験体の12号は実験カプセルから出ることすらかなわなかった[19]
  5. ちぎれた肉片から小型の別個体が再生している[20]
  6. 企画発足当初は、本作が仮に成功した場合、久住・秦とゆうきまさみの短編作品の登場人物を絡めたOVAシリーズの展開も想定されていた[5]
  7. 劇場版企画ならば断っていた[6]
  8. とりと高山によれば、出渕のピュアなアイデアに驚きつつも、その感性のおかげで円滑に進行することもあったという[6]
  9. イングラム登場シーンは、出渕が描いているため逆光になっている[23]
  10. 最初のプランは、手描きでは高難度な、カメラが部屋に残る秦を置いて外に出て行くシーンだったため[23]

出典

  1. WXIII 機動警察パトレイバー:作品情報・声優・キャスト・あらすじ”. 映画.com. 2025年10月20日閲覧。
  2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 WXIII 機動警察パトレイバー - PATWEB - バンダイビジュアル PATLABOR OFFICIAL WEB SITE”. バンダイナムコアーツ. 2019年1月29日閲覧。
  3. ポストメディア編集部 2009, p. 131.
  4. ポストメディア編集部 2009, p. 138.
  5. 1 2 3 4 「トクサツ遺伝子研究所拡大版 ゆうきまさみ・出渕裕・とり・みきインタビュー」『宇宙船』Vol.100(2002年5月号)、朝日ソノラマ、2002年5月1日、90-91頁、雑誌コード:01843-05。
  6. 1 2 3 4 5 6 7 ポストメディア編集部 2009, p. 60.
  7. ポストメディア編集部 2009, p. 70.
  8. ポストメディア編集部 2009, p. 62.
  9. ポストメディア編集部 2009, p. 65.
  10. ポストメディア編集部 2009, p. 76.
  11. 1 2 ポストメディア編集部 2009, p. 74.
  12. ポストメディア編集部 2009, p. 75.
  13. 1 2 3 4 ポストメディア編集部 2009, p. 72.
  14. 予告編および本編映像から
  15. ポストメディア編集部 2009, p. 80.
  16. 1 2 3 ポストメディア編集部 2009, p. 137.
  17. ポストメディア編集部 2009, p. 84.
  18. ポストメディア編集部 2009, p. 15.
  19. 1 2 3 4 5 ポストメディア編集部 2009, p. 12.
  20. 1 2 3 ポストメディア編集部 2009, p. 136.
  21. 1 2 3 ポストメディア編集部 2009, p. 14.
  22. 1 2 ポストメディア編集部 2009, p. 13.
  23. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 ポストメディア編集部 2009, p. 124.
  24. 韓国の『月光宮殿』が『千と千尋の神隠し』にそっくり!? 思い出す『グエムル』の『パトレイバー』盗作疑惑… - おたぽる”. 株式会社サイゾー (2016年9月1日). 2019年1月31日閲覧。
  25. 大ヒット韓国映画「グエムル」日本アニメのパクリ!? - ウェイバックマシン(2009年2月4日アーカイブ分)

参考文献

  • ポストメディア編集部『機動警察パトレイバー 完全設定資料集 Vol.5 -劇場映画編(3)-』一迅社、2009年7月28日。ISBN 475801146X 

関連項目

外部リンク


WXIII

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 06:04 UTC 版)

イングラム (機動警察パトレイバー)」の記事における「WXIII」の解説

劇中架空の「昭和75年」(西暦2000年にあたる)の初夏舞台。ただ、イングラム登場するのは終盤だけであり、主に警察方面物語主軸になっているその時設定から基本的にゲームエディション登場したものと同じ仕様乗員ヘッドギアゲーム同様に劇場版2のもの。ただしイングラムについては以下の点が異なる。 1号機の左肩に付けられたエンブレム劇場版2のもの。 2号機劇場版2仕様頭部変更。ただし後頭部ヘルダイバー色ではない。マスターグレードプラモデル説明書では「あまりに頭部をよく壊す(部品も底をついた)太田機用に新たに設計され専用部品」、「篠原自衛隊向けに量産しているヘルダイバー規格統一することで部品調達問題軽減」、「00年度以降正式な仕様変更として採用されたもの」と解説している。 また物語設定から、1号機手首滑り止め防水電磁警棒からの逆電絶縁のためにコミック版後期劇場版2同様のグローブ着用している。2号機リボルバーによる精密射撃任務のため、着用しなかった。

※この「WXIII」の解説は、「イングラム (機動警察パトレイバー)」の解説の一部です。
「WXIII」を含む「イングラム (機動警察パトレイバー)」の記事については、「イングラム (機動警察パトレイバー)」の概要を参照ください。

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