V-A相互作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 04:29 UTC 版)
本来のフェルミの理論においては、ベクトル型の相互作用のみが考えられていたが、弱い相互作用におけるパリティ対称性の破れなどの実験事実から、弱い相互作用の正しい記述にはベクトルカレントと軸性ベクトルカレントの両方が考慮されていなければならない。中性子のベータ崩壊について、ベクトルカレントと軸性ベクトルカレントの両方を含むハドロンカレント密度、レプトンカレント密度の(係数を無視した)表記は以下のようになる。 V μ c † ( x ) = ψ ¯ p ( x ) γ μ ( 1 − γ 5 ) ψ n ( x ) {\displaystyle V_{\mu }^{c\dagger }(x)={\bar {\psi }}_{p}(x)\gamma _{\mu }(1-\gamma _{5})\psi _{n}(x)} l μ c † ( x ) = ψ ¯ e ( x ) γ μ ( 1 − γ 5 ) ψ ν ( x ) {\displaystyle l_{\mu }^{c\dagger }(x)={\bar {\psi }}_{e}(x)\gamma _{\mu }(1-\gamma _{5})\psi _{\nu }(x)} ここで、γ5に比例する項が軸性ベクトルカレントである。これらのカレントは、ガンマ行列の符号の表式に因んで、V-A型カレントと呼ばれる。 これらのカレントによるハミルトニアンは以下のよう表される。 H V − A ( x ) = G F 2 [ ( ψ ¯ e ( x ) γ μ ( 1 − γ 5 ) ψ ν ( x ) ) ( ψ ¯ p ( x ) γ μ ( g V − g A γ 5 ) ψ n ( x ) ) + h . c . ] {\displaystyle H_{V-A}(x)={\frac {G_{F}}{\sqrt {2}}}\left[\left({\bar {\psi }}_{e}(x)\gamma ^{\mu }(1-\gamma _{5})\psi _{\nu }(x)\right)\left({\bar {\psi }}_{p}(x)\gamma _{\mu }(g_{V}-g_{A}\gamma _{5})\psi _{n}(x)\right)+\mathrm {h.c.} \right]} ここで、導入された係数gVとgAは、レプトンカレントに対するハドロンカレントの相互作用の強さを決定する係数である。ベクトルカレントの係数は、CVC仮説より、レプトンカレントの係数とほとんど等しくなる(上式に当てはめれば、gV~1)。一方、軸性ベクトルカレントの係数は強い相互作用の影響により、1から若干ずれた値をとる。
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