Taira no Tokukoとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Taira no Tokukoの意味・解説 

平徳子

(Taira no Tokuko から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/01 13:32 UTC 版)

平 徳子(たいら の とくし/のりこ[注釈 1]1155年久寿2年〉- 1214年1月25日建保元年12月13日〉)は、日本の第80代天皇高倉天皇皇后中宮)。女院院号建礼門院(けんれいもんいん)。


注釈

  1. ^ 名前の読みに関して、小説やドラマなどでは「とくこ」と読まれる場合が多いが、当時の人名が重箱読みされることはまずあり得ないため、無理がある(読みが分からない女性名を音読みする歴史学の慣習に従えば「とくし」であるが、当時本人がそう呼ばれた訳ではない)。女性の名前についての研究をまとめた『日本の女性名』[1]では「のりこ」の読みを採用している。しかしながら、必ずしも角田説の「のりこ」の読みは一般的ではなく、小説のみならず中世史研究者の書籍でも依然「とくこ」[2]または「とくし」[3]と読みのルビが打たれている。
  2. ^ 「御年廿四」との記述がある[4]
  3. ^ 「徳子」という名は藤原永範がこの時に選んだものである。
  4. ^ 小督局の父・藤原成範は院近臣だったが治承三年の政変で処罰されず、後白河の幽閉された鳥羽殿への伺候も認められ清盛の信頼が厚かった。範子内親王は徳子の猶子となっている[9]。徳子は他にも後白河の第十一皇子・真禎を猶子とし[10]、後白河の第九皇子・道法法親王や高倉の第三皇女・潔子内親王についても身辺の世話をしていることが確認できる[11]。これらは徳子の養育という形で、平氏が高倉天皇の皇子女や後嗣と成り得る存在を監視下に置いたものと考えられる。
  5. ^ 右衛門尉・行高を東宮進物所預に任命[13]、譲位当日の東宮御所選定について指示[14]藤原光長の五位蔵人補任[15]など。もっとも徳子は自らの口出しは越権行為であり、本来は高倉上皇が行うべきものと控え目な態度を示している[14]
  6. ^ 匈奴には父子が同じ女性と婚姻する「寡婦相続婚」「父子一妻婚」の風習があったが、漢民族は父子の別を重んじる儒教的見地からこの風習に激しい嫌悪感を抱いていた。九条兼実が「およそ言語の及ぶ所にあらざるものなり」と愕然としたのも、同じ価値観を持っていたためと考えられる。
  7. ^ 他にも閑院や最勝光院も高倉上皇から徳子に相続されたとみられている。その背景として建春門院没後に後白河院が自己の皇子(高倉天皇の異母弟)を天皇の養子として譲位を行わせて平家の影響力を弱めようとしたことがあげられ、高倉天皇(後に上皇)もこれに対抗するために自己の所領の集積に努めた。そして自らの死に先立ち、安徳天皇の母でもある徳子にそれらを継承させて自己の皇統の存続を図ったとみられている[21]
  8. ^ ただし、佐伯智広は閑院は高倉上皇から徳子に相続された御所で、安徳天皇の閑院遷幸を取り仕切ったのは徳子の中宮職であったとする[24]
  9. ^ 徳子の処遇について諮問を受けた九条兼実は、「武士に附けらるる事一切候ふべからず。古来女房の罪科聞かざる事なり。然るべき片山里辺に座せらるべきか」と返答している[28]
  10. ^ 吉田の僧坊の主について、『平家物語』は慶恵、『吾妻鏡』4月28日条は実憲とする。
  11. ^ 『吉記』同日条によれば出家の戒師は大原の本成房湛ごう(へんが「學」、つくりが「攴」)だが、『平家物語』は長楽寺の阿証坊印西とする。守覚法親王が書いたとされる『左記』には安徳天皇の御直衣を持っている「長楽寺聖人」の記述があり、この所伝が『平家物語』に取り入れられたと考えられる。長楽寺はこの御直衣を幡(旗)にして現在でも伝えている。
  12. ^ 『平家物語』の壇ノ浦の場面では「浪の下にも都の候ぞ」となっている。
  13. ^ 『竜畜経』という名の経典は現存せず、具体的にどの経典を指すのかは不明。
  14. ^ 『平家物語』の徳子と後白河法皇との問答は2500文字以上あるため、本文の会話文はその大意。
  15. ^ 与謝野晶子は建礼門院を偲んで次の歌を残した。

    ほととぎす 治承寿永のおん国母(こくも) 三十にして経よます寺
    春の夜に 小雨そぼふる大原や 花に狐の ぬる寂光院

出典

  1. ^ 角田文衛著、教育社、1980年
  2. ^ 上杉和彦明治大学教授『戦争の日本史 6 源平の争乱』(吉川弘文館 2007年)、関幸彦鶴見大学教授『図説 合戦地図で読む源平争乱』(青春出版社、2004年)など。
  3. ^ 奥富敬之早稲田大学講師「歴史群像シリーズ 平清盛」
  4. ^ 『山槐記』治承2年6月28日条
  5. ^ 玉葉』『兵範記』同日条
  6. ^ 『玉葉』11月28日条
  7. ^ 『兵範記』同日条
  8. ^ 『玉葉』同日条
  9. ^ 『山槐記』治承2年6月17日条
  10. ^ 『山槐記』治承2年6月19日条
  11. ^ 『山槐記』治承3年4月16日条、4月23日条
  12. ^ 『玉葉』4月14日条
  13. ^ 『山槐記』2月19日条
  14. ^ a b 『山槐記』2月17日条
  15. ^ 『山槐記』2月28日、29日条
  16. ^ 『玉葉』『山槐記』同日条
  17. ^ 『玉葉』12月19日条
  18. ^ 『山槐記』12月24日条
  19. ^ 『玉葉』正月13日条
  20. ^ 『玉葉』正月29日条
  21. ^ 佐伯智広「高倉皇統の所領伝領」(初出:『日本史研究』549号(2008年)/所収:佐伯『中世前期の政治構造と王家』(東京大学出版会、2015年) ISBN 978-4-13-026238-5))
  22. ^ 『吉記』4月10日条
  23. ^ 明月記』12月1日条
  24. ^ 佐伯「高倉皇統の所領伝領」
  25. ^ 『玉葉』『吉記』8月14日条
  26. ^ a b 『平家物語』
  27. ^ 『吉記』7月25日条
  28. ^ 『玉葉』4月21日条
  29. ^ 『古今集』読人知らず
  30. ^ 『建礼門院右京大夫集』
  31. ^ 玉葉和歌集
  32. ^ 『明月記』12月14日条
  33. ^ 角田文衛「建礼門院の後半生」『日本歴史』306、1973年。『王朝の明暗-平安時代史の研究 第2冊 』所収 東京堂出版、1977年。


「平徳子」の続きの解説一覧

「Taira no Tokuko」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

Taira no Tokukoのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Taira no Tokukoのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの平徳子 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS