TBPの分解生成物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/17 03:46 UTC 版)
一回の分離操作でウランやプルトニウムの核分裂生成物の大部分を除去できるが、他のアクチノイドの核分裂生成物は十分に分離できない。これは、分離操作中に溶質から照射される放射線により、リン酸トリブチルの一部がリン酸ジブチルに分解してしまうためである。リン酸ジブチルは多くの金属と錯体を形成するため、有機溶媒相に核分裂生成物が紛れ込んでしまう。このため、分離操作を何度か行うのが普通である。最初の操作で放射性物質の大半が除去できるので、以降の操作では放射線によるリン酸トリブチルの分解が抑えられ、分離をうまく進めることが出来る。 リン酸ジアルキルはさまざまな金属と錯体を形成し、時には金属錯体重合体をも形成する。 これらの配位高分子は、工程内で固体微粒子が発生する原因となる。下図左はカドミウムのリン酸ジエチル錯体重合体である。燃料棒の溶解液や溶解残渣(PUREXラフィネートとも呼ばれる)に含まれるカドミウム濃度は非常に低い。右はランタノイド(ネオジム)のリン酸ジエチル錯体重合体であり、溶解液に含まれるネオジムの濃度はカドミウムと異なり非常に高い。 カドミウムのリン酸ジエチル錯体重合体 ネオジムのリン酸ジエチル錯体重合体 下図はウランとリン酸トリブチルおよびリン酸ジブチルの錯体重合体である。リン酸ジブチル配位子が酸性であるため、溶媒抽出法よりもイオン交換による液液抽出法が有利となる。これは酸性の液中では希硝酸による抽出がうまくいかないためである。
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