インターネット上で最も不思議な曲とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > インターネット上で最も不思議な曲の意味・解説 

インターネット上で最も不思議な曲

(Subways of Your Mind から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/01 06:30 UTC 版)

Subways of Your Mind
FEXの楽曲
リリース 2024年
録音 1983年
ジャンル ニューウェーブポストパンク
時間 2分55秒(ラジオ版) 3分54秒(デモ版)
作詞者 Ture Rückwardt
作曲者 Ture Rückwardt, Michael Hädrich
音楽・音声外部リンク
全曲を試聴
FEX - Subways of your Mind (original cassette DEMO version) - FEX band 公式YouTube
Subways of Your Mind (Original version of TMMS) - Zebralution GmbH提供のYouTubeアートトラック

インターネット上で最も不思議な曲(インターネットじょうでもっともふしぎなきょく、英語: The Most Mysterious Song on the Internet)とは、日本アメリカ欧州インターネット文化圏において話題となっていた楽曲の通称である。ドイツのグループFEX英語版が1983年頃に録音した「Subways of Your Mind」という曲であることが2024年に判明した[1]が、それまでは誰が作詞作曲をしたのか、誰が歌っているのか、いつ録音されたのか、どこのレーベルから発売されたのかが一切不明だとされて調査や考察の題材となっていた。

「インターネット上で最も不思議な曲」は便宜上のニックネームであった[注 1]。2007年頃からこの曲の詳細な情報に関してSNSや動画サイトで捜索が続けられていた[1][2][3]

海外の大手メディアにも取り上げられており、日本でも「ミステリアス・ソング」として知られていた。

概要

捜索の開始

2019年9月に記載されたアメリカ合衆国のローリング・ストーンの記事によると、この楽曲はダリアス・Sという男性が1984年にドイツの公共ラジオ局NDRで聴いたラジオ番組を録音した際に実際に放送されていた曲だという[4]。録音した理由について、ダリアスは音楽を好んでおり、録音した曲を聞く事を昔から好んでいたからである。音楽好きであるためラジオで流れたほとんどの楽曲は知っていたが、この曲のみ知らなかった。

録音者ダリアス・Sの妹であるリディア・Hがこの曲の正体を知りたいと思って調べてみたものの、一切の情報が分からなかった。2007年、リディアは著作権に違反しないよう本楽曲を編集した曲をいくつかのニュースサイトやフォーラムに投稿したとされる。それを聴いた人たちの中にこの曲を知っている者は誰一人としていなかった。

2007年7月、リディアにコンタクトをとった人物によって本楽曲のフルバージョンがYouTubeに投稿された。放送当時のラジオDJも捜索に乗り出したが、本人曰くその曲の記憶が一切無く、会社やラジオ局にも情報が無い。そして、かつてラジオで流した曲のリストはとっくの昔に破棄してしまっていた[4]

一緒にカセットに録音された曲のほとんどが1984年頃にリリースされたため、この曲は1984年から1986年辺りに作成されたと推測された。YouTubeに投稿されてからより多くの人に注目され、真相解明の試みが長らく続けられた。

下から3行目の「? - Blind the wind」が本楽曲のアーティスト・曲名としてリストに入れられているが、正式な曲名もアーティスト名も全く不明であった。

歌詞

音質が悪く、曲の歌詞は一切不明とされていた。ドイツ語またはオーストラリア英語のアクセントに似ているとされていたが、実際にはドイツ語訛りの英語で歌われていたことが判明しており、YouTubeには、歌詞をよりよく理解できるように速度やキーを修正した曲が多く投稿されている。歌詞が書かれているサイトもあるが全て憶測であった。

曲の世界観について、冷戦共産主義東ドイツベルリンの壁)について歌っているという説や、歌手が別居や他の個人的なテーマについて歌っているとする説などが存在した[4]

発見

2024年11月4日、Redditユーザーのu/marijn1412によって、この曲がドイツのグループFEXの「Subways of Your Mind」という曲であることが判明した。 Hörfestのバンドを調べているときに、このユーザーはドイツの新聞Nordwest-Zeitungドイツ語版に掲載されているFEXのバンドメンバーに連絡を取った。ユーザーによると、バンドメンバーはFEXが本楽曲の作者であることを認めており、本楽曲をリリースする予定であると述べている[5][6]。2025年1月に7インチシングル盤のレコードが発売された[7][2]。またそれと同時期に、正体不明の曲として出回っていたバージョンの高音質版もメンバーとその家族によって発見されデジタル配信された[8][9]のち、3月に「TMMS Version」としてレコードが発売された[10]

同様の事例

本楽曲のように、作品が公開されている、または存在した記録があるにもかかわらず、詳細情報が不明である作品、あるいは不明だった作品について取り上げる。作品が一般に公開されておらず、作品が存在したという公的記録さえも残っていないケースについては、単なる都市伝説に過ぎない可能性があるため、ここでは取り上げない[注 2]

楽曲

  • 「秋葉原で買ったカセットテープに入ってた曲」
    • 本楽曲と同じく、いつどこで誰が作詞作曲歌唱した曲なのか一切の情報が不明であった日本語の楽曲の通称。とある日本のネットユーザが1990年代に購入したカセットテープに収録されていた。2007年にニコニコ動画に音源が投稿された[11]。2022年には同じ購入元とされる別のテープから「わがまま」という新たな詳細不明の曲も発見された[12]が、そちらは2024年4月末に水瀬紗羅という歌手による「夢でもいいから」だったことが判明した[13]
  • Ulterior Motives (Everyone Knows That)」 - Christopher Saint Booth & Philip Adrian Booth (1986年)
    • 本楽曲や先述の「秋葉原で買ったカセットテープに入ってた曲」と同じく一切の情報が不明な英語の楽曲の通称。2021年に17秒ほどの長さのサンプルがWatZatSongに投稿され、現在に至るまでRedditなどで情報の捜索が行われていた[14]。しかし、2024年4月に、1986年公開のポルノ映画"Angels of Passion"で使用された楽曲"Ulterior Motives"であることが判明し、フルバージョンがYouTube上にアップされた[15]
  • Ready 'n' Steady英語版」- D.A. (1979年)
    • 長きにわたって一切の詳細情報が不明だった楽曲。音楽チャートBillboard Hot 100にランクインしなかった楽曲を掲載するビルボード発表のチャート「Bubbling Under the Hot 100」に、1979年に3週のみランクインされていたが、楽曲情報はおろかレコードの存在すら確認できなかったため、そもそもこの楽曲は存在しないとまで言われていた。2016年に存在が確認され楽曲情報も明らかになっている[16]

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ 英語圏では「Like the Wind」「Blind the Wind」「Check It In, Check It Out」「Take It In, Take It Out」などの便宜上の曲名で呼ばれることもあった。
  2. ^ 例として、アニメ『ドラえもん』において1984年に「タレント」というサブタイトルの回が放送されたとする目撃証言がネット上に書き込まれているが、該当回の映像が存在せず放送された公的記録も無く都市伝説に過ぎない可能性がある。

出典

  1. ^ a b 長年インターネット上で最も正体不明の楽曲として扱われてきた曲の出自が明らかに | NME Japan” (jp). nme-jp.com. 2024年11月8日閲覧。
  2. ^ a b 【NOISE/AVANT】「THE MOST MYSTERIOUS SONG ON THE INTERNET (インターネット上で最も不思議な曲) 」としてバズっていたアノ曲の正体は独産ポスト・パンク&公式7"化! FEX / SUBWAYS OF YOUR MIND”. ディスクユニオン (2025年2月6日). 2025年5月28日閲覧。
  3. ^ 何もかもが謎に包まれたインターネットで最もミステリアスな曲。12年以上たっても真相は闇に包まれたまま”. ニコニコニュース. 2021年9月2日閲覧。
  4. ^ a b c 何もかもが謎に包まれたインターネットで最もミステリアスな曲。12年以上たっても真相は闇に包まれたまま (2019年10月5日) - エキサイトニュース(3/4)”. エキサイトニュース. 2021年9月2日閲覧。
  5. ^ Fraisse, Corentin (2024年11月4日). “La 'chanson la plus mystérieuse d'Internet' a été trouvée !” (フランス語). Tsugi. https://www.tsugi.fr/la-chanson-plus-mysterieuse-dinternet-a-ete-trouvee/ 
  6. ^ Gault, Matthew (2024年11月4日). “'The Most Mysterious Song on the Internet' Has Finally Been Identified” (英語). 404 Media. 2024年11月4日閲覧。
  7. ^ Fex – Subways Of Your Mind – Vinyl (7", 45 RPM + 2 more), 2025 [r33008148]”. Discogs. 2025年5月28日閲覧。
  8. ^ Comfortable_Glow (2025年1月13日). “📼Tape with Subways of Your Mind (TMS Version!) found📼”. r/TheMysteriousSong. 2025年5月30日閲覧。
  9. ^ FEX - Topic (2025-01-13), Subways of Your Mind (Original version of TMMS), https://www.youtube.com/watch?v=vUAldzxk_5I 2025年5月30日閲覧。 
  10. ^ Subways Of Your Mind (TMMS Version) [OFFICIAL, by FEX]”. The Outer Edge. 2025年5月30日閲覧。
  11. ^ 【リスニング注意】「秋葉原で買ったカセットテープ」収録、謎の曲とは?|ATLAS”. ATLAS (2016年11月23日). 2024年11月8日閲覧。
  12. ^ 秋葉原で買ったカセットテープ。 これは、例のラベルのやつです。 「秋葉原で買ったカセットテープに入ってた曲」の、ラベル違いのテープで、ロゴマークが同じで「ARA COMPANY LIMITED」と書いてあるもの。 わがままとタイトルがありますが、歌ってる人の名前はありませんでした。 1990年代前半購入。”. x.com. 2025年2月5日閲覧。
  13. ^ わがまま - Unknown Artist - Mysterious Japanese Song - 'Akiba Tape No. 2'”. www.youtube.com. 2025年2月5日閲覧。
  14. ^ Klee, Miles (2023年11月12日). “Internet Sleuths Want to Track Down This Mystery Pop Song. They Only Have 17 Seconds of It” (英語). Rolling Stone. 2023年12月2日閲覧。
  15. ^ Robinson, Ellie (2024年4月29日). “Viral Lost Song ‘Ulterior Motives’ Found In Obscure ‘80s Porn Flick” (英語). The Music. 2024年4月30日閲覧。
  16. ^ Crap From The Past - July 8, 2016: Paul Haney presents a world premiere of D.A.'s Ready 'N' Steady from 1979!”. Internet Archive (2016年7月8日). 2023年8月17日閲覧。

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  インターネット上で最も不思議な曲のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「インターネット上で最も不思議な曲」の関連用語

インターネット上で最も不思議な曲のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



インターネット上で最も不思議な曲のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのインターネット上で最も不思議な曲 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS